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日中は暑い日もあるが、季節は秋だ。
この花は彼岸の頃に咲くから彼岸花と呼ばれる。ゆるやかな風に揺れていた。華麗な花でまるでおいらんの髪飾りみたいだが実を結ばない。だから詩歌では曼珠沙華は悲恋の歌に使われる。
球根は薬用になるがアルカロイドという毒成分がある。田んぼの畔に植えられ、モグラやネズミの侵食を防いだ。球根はデンプンなので昔は飢饉時の非常食用に植えられた。すりつぶして水でさらすと毒素がなくなるという。しかしそれを十分にしないまま食するとそのまま彼岸に行ってしまう。
私が子供の頃は花の鮮やかすぎる赤に驚いたものだ。ふるさとの野山でも今頃は咲いているだろう。きらわれがちな花だが、花に罪はない。 |
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