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 改良型 「 VOR-2006 」
 VOR覆域計算プログラム  プログラムの概要
 SANE報告書  大型構造物によるドップラVOR方位誤差の解析法について 

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 VOR装置の基礎知識 (11.2章 VOR)   VOR地上装置と機上装置の原理   

アンテナのページ

 VOR装置のアンテナ  アルフォードアンテナ(予定)



○ 誤差計算プログラムの種類

 VOR施設の周辺にある建物や鉄塔は、VOR方位情報に誤差を発生しますが、この誤差は許容値以下でなければなりません。この誤差の大きさを予測計算するプログラムです。
 プログラムには、従来形の「VOR-2002」と、改良型の「VOR-2006」の2種類があります。

ソフト名称 VORー2002 VOR−2006
製作年月 2002年10月 2006年4月
特 徴 国交省で運用中のプログラムと同一の結果が得られる。 改良プログラム
建物1個の広がり限度角 方位方向の広がりが約10度以内であること。 広くても良い。
大型構造物の計算も可能。
複数建物の広がり限度角 方位方向の全体的な広がりが約10度以内であること。 広くても良い。
複数建物の計算頻度 約10度以上の方位で分散した建物は、個別の計算が必要である。 広くても良い。
基準点と誤差 基準点の取り方によって誤差パターンが異なる。 基準点に無関係である。
反射・回折波計算式 キルヒホッフ・ホイヘンスの計算式を使用している。 同左
反射・回折波計算法 反射・回折面を数値計算している。 同左
空中線の垂直面指向性 アルフォードとカウンターポイズを一体として計算している。 同左
建物の反射係数 反射係数の絶対値と位相角を入力できる。 同左
地面反射係数 反射係数の絶対値と位相角を入力できる。 同左
計算可能の飛行方式 オ−ビット飛行(一定高度)およびラジアル飛行。 同左
計算出力 DVORおよびCVOR方位誤差(度)、スカロッピング周波数(Hz)、
妨害波電界強度(V)、希望波電界強度(V)、強度比A
同左
建物毎の誤差出力 建物が複数ある場合に合成方位誤差が出力される。
個別の建物による方位誤差の出力はできない。
合成方位誤差および
建物毎の誤差出力ができる。
開発言語 FORTRAN 同左
OS Windows 95,98,2000,XP 同左


○ VOR覆域計算プログラム

 本プログラムは、VORの空中線電力と通達距離を計算するものです。プログラムの機能の概要を下記に示します。

ソフト名称 VOR FUKUIKI−2004
製作年月 2003年10月
特 徴 規定の受信電力を得られる垂直面覆域図を計算する。
搬送波周波数 任意である。
空中線の方式 任意の半径をもつカウンターポイズ付アルフォードアンテナ
偏 波 水平偏波
空中線地上高 任意である。
空中線電力 任意である。(既定値は6種類の空中線電力)
機上受信機の最小受信感度 -107dBw/u、90μV/m   (ICAO ANNEX10)
地球の形状 等価地球半径率が4/3の球面としている。
地面のセグメント分割 大地を乾地、沃地、湿地、海水の4種類でセグメント分割して入力する。
地面の特性番号
 番号   特性   比誘電率   導電率 
乾地 0.001
沃地 10 0.002
湿地 30 0.02
海水 81 4.0
地面反射点の決定法 入射角と反射角が等しくなる地点を算出する。
地面の反射係数 4種類のセグメント上の鏡面反射点での複素反射係数を計算する。
飛行高度の注意点 反射点の標高と飛行高度に注意を要する。
計算入力 周波数、カウンターポイズ地上高、大地セグメントの距離と特性番号
計算出力 空中線電力(W)、高度(×100ft)、通達距離(NM)、反射点(km)、
入射角(度)、反射セグメントの特性番号
開発言語 FORTRAN
OS Windows 95,98,2000,XP




  SANE報告書
    大型構造物によるドップラVOR方位誤差の解析法について

 2006年7月に電子情報通信学会SANE(宇宙航行エレクトロニクス)研究会で発表した報告書を下記に示します。従来形の「VOR-2002」と改良型の「VOR-2006」のプログラムの特徴と計算例がわかります。
 注.図A,図B,図Cは,報告書には記載していませんが,理解しやすいように補足しました。
    また,図14は,グラフを図11〜図13の中に記入したので省きました。

報告書内リンク

1. まえがき
2..新旧プログラムの機能比較
3.現用プログラムの誤差計算式と問題点 3.1.誤差計算式
3.2 問題点
4.新しい計算方法の説明と特徴
4.1 誤差計算式
4.2 この計算法の特徴
5.新プログラムの機能の検証 5.1 構造物の方位方向の広がり角度が小さいとき,現用プログラムと計算値が一致すること
5.2 基準点を1個の構造物の中心点以外のどこに取っても計算値が一致すること
5.3 異なった方位に同じ寸法の構造物をおき,基準点を各構造物の中心点に取ったときに誤差計算値が一致すること
5.4 実際の飛行検査データから得られた誤差値と,新プログラムによる計算値が一致すること
   () 信太CVORの建物反射誤差
   () FAA CVORの架空線反射誤差
6.誤差パターンが重複する場合の考察
7.むすび


1. まえがき
 VOR(VHF Omnidirectional Radio Range)は,航空機に当該施設からの方位情報を与える施設であるが, 100MHz帯の連続波を使用しているため周辺の構造物からの反射や回折により方位誤差を生じる.この方位誤差の予測計算プログラムは国土交通省のコンピュータに格納されており,VOR新設時や施設周辺に構造物が計画されたときに,予測計算が行われている.
 最近,空港周辺整備計画に伴う大型施設の建設や大型橋梁の建設計画等もあるが,現在の誤差計算プログラムは,方位角において大きな広がりをもつ大型構造物や分散した複数構造物の計算ができない制約がある.
 本報告は,方位角に関する計算上の制約を受けず,かつ,従来より高精度の誤差計算が可能な手法を提案する.あわせて,現用プログラムを使用する上での注意事項も述べる.



2..新旧プログラムの機能比較
国土交通省の現用プログラムと今回開発した新プログラムとの機能概要の比較を表1に示す

1 新旧プログラムの機能比較

    項 目     現用プログラム  新プログラム
1.構造物の方位における広 がり角度と誤差計算精度  広がり角度の増加にともない精度が劣化する.広がり角10度程度まで計算可. 精度は広がり角度に関係しない.
2.構造物の基準位置(方位と距離)指定の必要性 必要である.基準位置の方位角に基づいて誤差計算を行う. 不要である.
3.基準位置の方位角の取り方と誤差パターンの関係 関係有り. 関係なし.
4.複数構造物の一括誤差計算の可否 不可能である.(個別構造物による誤差の和として計算する.) 可能である.
5.架空線と構造物の一括計算の可否 不可能である. 可能である.
6.架空線の鏡面反射点の算出 まず鏡面反射点を求めた後,誤差計算を行う. 鏡面反射点の算出は不要である.


3.現用プログラムの誤差計算式と問題点
3.1.誤差計算式

 反射波または回折波の電界強度Er
(1)を用いて求め,この値を(2)式の誤差計算式に代入して方位誤差を求めている.(1)は電磁波動的性質を考慮したホイヘンスの原理による解であり,積分は,数値積分(シンプソン法)を用いている.

 
 

   ここで,上式中の諸量は次の通りである.

   S : 金属板の面積
   E0   空中線放射の電界強度に比例する値
   α : 入射角 
   β
: 反射角
   λ : 波長   
   k
: 2π/λ

              
              
             
ーーーーーーーーーー 図1 構造体と反射・回折波の関係図

(2)S.R.Anderson等によって求められた無指向性反射体によるドップラVORの誤差式である.
    ここで,上式中の諸量は次の通りである.
     θ : VORから見た反射体の磁方位
       θ : VORから見た航空機の磁方位
     J(x) : 第1種第1次のベッセル関数
       A = Er / Ed

             
ーーーーーーーーー       図2 誤差計算式の説明図

 
3.2 問題点
 誤差式(2)は,方位角θ1に無指向性反射体が存在しているとの前提に基づいている.しかしながら,実際の構造体はVORから見て方位角の広がりをもつため,広がり角が大きくなるにつれて誤差計算値が真の値からずれることになる.広がり角と真の値からのずれの量を検討した報告例は過去にない.



4.新しい計算方法の説明と特徴
4.1 誤差計算式
 簡単のため,3の直線導体で説明する.

              
ーーーーーーーーーー 図3 大型構造物による誤差の説明図

大型構造物では,VORから見た積分点の方位がθsからθeまで連続的に変化している.従って各積分点からの反射波および回折波はθsからθeまで連続的に変化した方位情報を含んでいる.なお,角度幅|θs−θe|を以後,見かけ角度幅Δθと呼ぶ.
 このため,まず(3)式により積分点ごとの微少誤差を求め,これを(4)式により全長にわたって線積分して全体の誤差を求める.金属板のときは面積分する.
 誤差計算式は現用の式と基本的に同じであるが,計算の順序に違いがある.構造物の見かけ角度幅が小さいときは(2)式の計算結果とほぼ一致することが予想される.

    


4.2 この計算法の特徴
 この計算法は構造物の見かけ角度幅に関係なく高精度の誤差計算が可能である.また,複数の構造物による合成誤差の計算も可能である.ただし,複数の構造物による合成誤差の計算をおこなうときは,VORから構造物までの距離の精度は,波長2.65m20分の1の約13p程度以下であることが望ましい.また反射誤差を計算するときには,構造物の反射面の偏角を正確に入力する必要がある.


5.新プログラムの機能の検証
 上記4.の計算手法に基づく誤差計算プログラムを作成し,下記の5.1から5.4の検討をおこなった結果,次の2点を確認できた.
(1) 構造物の見かけ角度幅が小さいとき,新プログラムと現プログラムの計算値は同じである.
(2) 構造物の見かけ角度幅が大きいとき,および複数の構造物が分散しているときでも新プログラムは正しい計算値を示す.

5.1 構造物の方位方向の広がり角度が小さいとき,現用プログラムと計算値が一致すること
 現用プログラムは電子航法研究所において,電波無響室でのスケールモデル実験,仙台空港でのVOR実験局仮設飛行実験および航空局の飛行検査データの解析等に基づいて作成されたものであり,広がり角度の小さい構造物に対する誤差計算の基準と考えて良い.
 図Aに示すように、VORから方位90度,距離100mの位置に,高さ20mの金属平板を偏角180度でおき,金属平板の幅を2.5m10m20m40m80mと変化したときの,現プログラムと新プログラムの誤差計算値を図4から図8に示す.



          
         
ーーーーーーー
      図A 回折体1個の配置図


 計算条件は,周波数113MHz,空中線高5m,カウンターポイズ直径30m,飛行半径27,780m(15NM),飛行高度450m1,500FT),方位角間隔は0.2度である.
 なお本報告書での現プログラムによる全ての計算は,ベッセル関数値をそのまま使用している.本省のプログラムは,安全サイドでの予測計算をおこなうためベッセル関数の包絡値を使用している.
 図4は,幅2.5mで見かけ角度幅が約1.4度と小さいため,両方の計算値はほぼ一致し,1本の線に見える.
 図5から図8は,幅の増加にともなって,新プログラムの計算値は現プログラムの計算値より誤差の最大値が相対的に小さくなり,かつ最大誤差発生方位が広がっていくことを示している.最大誤差の差は,幅10mで約5%,幅20mで約20%である.
 
            
ーーーーーーーー
図4 幅2.5m(Δθ=1.4度)の平板の回折誤差

            
ーーーーーーーー 図5 幅10m(Δθ=5.7度)の平板の回折誤差

            
ーーーーーーーー 図6 幅20m(Δθ=11.4度)の平板の回折誤差

            
ーーーーーーーー  図7 幅40m(Δθ=22.6度)の平板の回折誤差

            
ーーーーーーーー 図8 幅80m(Δθ=43.6度)の平板の回折誤差
5.2 基準点を1個の構造物の中心点以外のどこに取っても計算値が一致すること
 これは見かけ角度幅が広い大型構造物の誤差計算をおこなうために必要な条件である.
  図Bに示すようにVORから方位90度,距離100mの位置に幅20m,高さ20mの金属平板をおき ,基準点を左端,中心,右端に取ったときの,現プログラムと新プログラムの誤差計算値を 図9および10に示す.このときのVORからの見かけ角度幅は約11.4度である. 
   現プログラムでは図9に示すように基準点の位置により誤差パターンにずれが生じた.
  新プログラムでは
10に示すように誤差パターンは一致し,一本の線に見える.

        
ーーーーーーー 図B 3個の回折体の配置図および左端・中心・右端の取り方

           
  図9 基準点を平板の左端,中心,右端にとったときの現プログラムによる回折誤差




            
  図10 基準点を平板の左端,中心,右端にとったときの新プログラムによる回折誤差


5.3 異なった方位に同じ寸法の構造物をおき,基準点を各構造物の中心点に取ったときに誤差計算値が一致すること
 これは,複数の構造物による誤差計算を一括しておこなうために必要な条件である.
 図Cに示すように幅20m,高さ20mの金属平板を,方位60度,90度,120度で,半径100mの円周上に接線方向におき,基準点を各平板の中心に取った場合の,現プログラムの誤差計算値を11から13青色パターンで示す.3種類の誤差のパターンには,かなりのずれが認められる.
 方位60度,90度,120度の3つの基準点に対する新プログラムの計算値11から13赤色パターンで示す.誤差パターンは,ほとんど一致している.

            
ーーーーーーーー    図C 回折体3個の基準点の配置図

            
ーーーーーーー     図11 基準点60度の平板3個による誤差

            
ーーーーーーーー     図12 基準点90度の平板3個による誤差

            
ーーーーーーーー     図13 基準点120度の平板3個による誤差


15-1から図15-3は,新プログラムによる3個の平板の個別誤差計算値である.方位60度,90度,120度の3つの基準点に対する誤差パターンはほとんど一致している.11 図13の方位角82度および98度付近の赤色パターンのひずみは,個別誤差のローブの重なりが原因であることがわかる.なお,個別誤差は合成誤差計算時に同時に計算される.

            
       図15-1 新プログラムによる平板3枚の個別誤差(基準点60度)

           
ーーーーーーー15-2 新プログラムによる平板3枚の個別誤差(基準点90度) 

           
ーーーーーーー図15-3 新プログラムによる平板3枚の個別誤差(基準点120度)

5.4 実際の飛行検査データから得られた誤差値と,新プログラムによる計算値が一致すること
 上記の5.1.から5.3.までの検討の結果,4.で示した新しい計算方法は大型構造物に適用できることがわかった.
 さらに,米国FAAの鉄塔と架空線の飛行試験データ,電子航法研究所の報告書に記載されている電波無響室でのILSスケールモデル実験(金属平板および架空線実験)データ,および
仙台
VOR実験データ等を使用して検証をおこなった.ここでは,2例のみ記載する.

 () 信太CVORの建物反射誤差
 VORから方位111度,距離370mの位置にある幅52m,高さ7m,偏角181度の建物による現プログラムと新プログラムの誤差計算値を16に示す.VORからの見かけ角度幅は約8.5度である.方位角の計算間隔は0.5度である。
 現プログラムと新プログラムの計算値はほぼ一致した.新プログラムでは,CVORDVORと同様の計算手法を用いているので,この結果も意味があるわけである.

           
ーーーーーーー    (飛行半径7NM,飛行高度2,200ft,速度147ノット
     図16 信太CVORの建物反射誤差

  
() FAA CVORの架空線反射誤差
 VORから方位270度,距離53mの位置に左端があり,偏角0度,長さ60m,高さ9m,直径5oの架空線による現プログラムと新プログラムの誤差計算値を17に示す.方位角の計算間隔は5度である。VORからの見かけ角度幅は約48.5度である.現プログラムと新プログラムの計算値はほぼ一致した.
 現プログラムでは,航空機の位置に応じて架空線上の鏡面反射点を算出し,その方向を図2θとして誤差計算している.新プログラムでは(3)式および(4)式により計算しているため鏡面反射点を算出する必要はなくなった.

               
             (飛行半径20NM,飛行高度2,000ft,速度140ノット
ーーーーーーーーーーーーー17 FAA CVORの架空線反射誤差

6.誤差パターンが重複する場合の考察
 大型の構造物は,一般に複雑な形状をしているため,形状の異なる複数の金属平板に分割して入力することが多い.
この場合,
15に例示したように個別誤差パターンの重複が生じる.
 18は,新プログラムにより幅80m,高さ20mの金属平板を1枚として計算した場合と,幅10m8枚の平板に分割したときの個別誤差と合成誤差,2乗平均(RMS)誤差および加算誤差の計算値を示す.1枚として計算した誤差と8分割した合成誤差はほぼ一致する.しかし単なる加算誤差は,過大な誤差予測になってしまうことがわかる.

         図18 幅80mの平板の分割計算(新プログラム)

19は,現プログラムでの同様の計算結果である.現プログラムでは,8枚の平板の合成電界を求め,この値を(2)式に代入して計算している.1枚として計算した値と,8分割して計算した値とはほぼ一致している.しかし誤差の最大値は約11度であり,18の新プログラムによる合成誤差の最大値約3.5度と大きな違いがある.

           
ーーーーーーー   図19 幅80mの平板の分割計算(現プログラム)

7.むすび
 7.1 VORからみて大きな方位角幅をもつ大型構造物の誤差計算を精度良くおこなう計算方法を考案し,誤差計算プログラムを作成して検討した結果,次の結論を得た.
(1) 新しい計算プログラムは,方位角方向に広がった構造物に対する計算精度が高いこと.
(2) 分散して存在する複数の構造物に対しても,個別の誤差および合成誤差を計算できること.
(3) 複数の構造物の合成反射誤差を計算するときは,VORから構造物までの距離および反射面の偏角を正確に入力する必要があること.
 距離精度が低下すると,誤差計算値の信頼度が低下する.過小または過大な誤差予測をもたらすおそれがあること.

7.2 現用の誤差計算プログラムは次の特徴をもつことが明らかになった.
(1)    造物の見かけ角度幅の増加に伴って,真の誤差値からの偏差が大きくなること.
(2)    距離100m,高さ20mの平板では,見かけ角度幅約10度での偏差は約+20%となること.
(3)  見かけ角度幅が10度以内に存在する複数の構造物は,一括して計算しても良いこと. 
(4)    構造物の見かけ角度幅が10度以上のときは,分割して計算した方がよいこと.ただし誤差が重複する方位で誤差の単純な加算をおこなうと過大な予測につながることがある.
(5)    平板として回折誤差を計算するときは,構造物の中心に基準点をとること.

最後に,本報告の作成にあたり貴重な御助言を頂いた,航空大学校教官中村正明氏,電子航法研究所上席研究員山本憲夫氏,元電子航法研究所電子航法評価部長長岡政四氏に感謝の意を表します.

 文  
[1]    長岡政四,田中修一,松田節雄,山本憲夫,二瓶子朗,“SSB方式およびDSB方式ドプラVORのコース誤差について,”電子航法研究所報告 No.30pp.1-30, 1981.2
[2]   中村正明,石橋寅雄,山田公男,横山尚志,“ILSローカライザーにおける電波障害物の推定について,”電子航法研究所報告 No.48pp.11-26, 1985.1
[3]    山本憲夫,山田公男,“海面反射によるドップラーVORの方位変動の解析,”電子航法研究所報告 No.78pp.23-33, 1993.9
[4]    川田輝雄,“VOR位置選定基準について,”電子航法研究所報告 No.27pp.1-38, 1980.8

追加資料
  米国FAAの 「 VOR, VOR/DME and VORTAC Siting Criteria 」 は下記で閲覧できます.
     http://www.faa.gov/documentLibrary/media/Order/6820.10.pdf