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 ILS−GP

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 SANE報告書

   ILSグライドパス反射面の3次元的な起伏および多重層によるパス特性の変化

 ILS-GPのページ 1.グライドパス(GP)プログラムの概要                       
2. 1周波方式の計算検証
    (ナルリファレンス方式)
2.1 スケールモデル実験結果と計算値の比較検討
 2.1.1 障害物が無いときの偏位電流
 2.1.2 反射板による偏位電流
 2.1.3 回折板による偏位電流
 2.1.4 段差(海面段差近似)による偏位電流
 2.1.5 起伏(丘近似)による偏位電流 
2.2 仙台空港飛行実験結果と計算値の比較検討
 2.2.1 反射板による偏位電流
 2.2.2 回折板による偏位電流
 2.2.3 建造物模型による偏位電流
2.3 大分空港飛行実験結果と計算値の比較検討
 2.3.1 海面段差による偏位電流

  
3. 2周波方式の計算検証
     (キャプチャ方式)

        
3.1 仙台空港飛行実験結果と計算値の比較検討
 3.1.1 反射板による偏位電流
 3.1.2 回折板による偏位電流
 3.1.3 建造物模型による偏位電流
3.2 千歳空港飛行実験結果と計算値の比較検討
 3.2.1 前方地形のデータ
 3.2.2 2周波方式グライドパスの偏位電流
 3.2.3 ナルリファレンス方式グライドパスの偏位電流
4. SANE報告書
 
ILSグライドパス反射面の3次元的な起伏および多重層によるパス特性の変化

 基礎知識のページ

 グライドパス装置の基礎知識  (11.4章 ILS GP)  地上装置と機上装置の原理

 アンテナのページ

 グライドパスアンテナ  コーナリフレクタアンテナ




1. グライドパスプログラムの概要

 ILSグライドパス施設の前方にある建物や鉄塔等の構造物、あるいは地形の起伏や海面段差は、グライドパスの垂直誘導電波に誤差を発生しますが、この誤差は許容値以下でなければなりません。この誤差の大きさを予測計算するプログラムです。
 
 「グライドパス計算用(GP-2007)」の概要を述べます。

ソフト名称 GP−2007
製作年月 2007年12月
特 徴 国交省で運用中のプログラムと同一の結果が得られるます。
計算可能な方式 1周波方式(下記の3種類のアンテナ形式の計算ができます。)
 (1)コーナーリフレクタアンテナ(新タイプ)
 (2)コーナーリフレクタアンテナ(旧タイプ)
 (3)スケールモデル実験アンテナ(電子航法研究所報告書No.38の検証用)
2周波方式

 (1)コーナーリフレクタアンテナ(新タイプ)
 (2)コーナーリフレクタアンテナ(旧タイプ)
複数建物の計算 可能です。
反射・回折波計算式 キルヒホッフ・ホイヘンスの計算式を使用しています。
【計算条件】
 幅及び高さが数波長以上の反射・回折板の誤差計算ができます。
障害物の種類 1.反射板、回折板、構造物
 ・幅及び高さが数波長以上であること。
 ・面の反射係数を-1としている。
 ・複数の建物の計算が可能である。
2.海面段差
3.起伏地形
地面反射係数 反射係数を-1としている。
計算可能な飛行方式 任意の降下角度での進入、および一定高度での進入
オフセット空中線の計算 可能です。
計算出力 コース偏位(μA)、フラッグ(μA)、電界強度(dB)
開発言語 FORTRAN
OS Windows 95,98,2000,XP


2. 1周波方式グライドパスの実験結果と計算値の検証

 グライドパスの方式には、搬送波を1波使用する「1周波方式」と2波使用する「2周波方式」とがあります。
 1周波方式には、ナルリファレンス方式とサイドバンドリファレンス方式とがありますが、日本ではナルリファレンス方式が用いられていました。しかし現在は、1周波方式より障害物(特にアンテナ前方の地形の起伏)に対して性能の優れた2周波方式が用いられています。

(1) グライドパス周辺の障害物や地形がグライドパスの電波的特性に及ぼす影響を総合的に検討した研究報告書として、
『グライドパスに対する構造物・地形の影響について』(電子航法研究所報告No.38、1982.8、藤井直樹、落合進一、川田輝雄)があります。
 この研究では、
コンピュータによる予測計算、スケールモデル実験、実周波数の実験局による飛行実験、実際に運用中のグライドパスによる飛行データの収集解析という、段階的で緻密な検証をおこなっています。
 単に計算式をコンピュータプログラム化しただけでは、実際の予測には使用できません。このような基礎的な研究は、一時的には経費がかかりますが、一旦、誤差予測手法を確立すれば、以後の検討において経費は安価となり、検討期間も短くなります。
  この研究によって有用性を確認された誤差計算プログラムは、その後、運輸省(現国土交通省)のコンピュータに移植され、現在に至るまでグライドパス施設の新設時や、周辺の構造物増設時などにおいて、グライドパス誘導電波の乱れによる誤差を予測するために有効に使用されています。

(2) AVITECでは、最近のパーソナルコンピュータの高性能化(大メモリー容量及び高速性)にともない、Windows上で動作する誤差計算プログラムを作成しました。プログラム動作の検証は、先述の電子航法研究所報告No.38に掲載されている実験データと比較して行いました。上記の報告書の実験データを自ら取得したこと、および報告書に実験の諸元が明記されていることから、このような追加検証が可能となります。上記の報告書から引用した図には、図の下にその旨明記しました。今回の計算では、キルヒホッフ・ホイヘンスの計算式を用いましたが、今後、モーメント法等による検討を行った場合も、計算結果の検証には上の報告書の実験結果を利用したいと考えています。

以下に検証結果を示します。

2.1 スケールモデル実験結果と計算値の比較検討
 
 電波無響室において、周辺に障害物等が存在しない理想的な状況で、9.6GHzのマイクロ波を使用したナルリファレンス方式のグライドパス実験装置を用いて、約29分の1のスケールモデル実験により確認し誤差予測計算の基本的な考え方の適否を調べています。
 本スケールモデル実験装置は、電子航法研究所の中村正明氏らが送信機、受信機、アンテナ系、実験用カウンターポーズ等の全てを手作りされたものです。装置の詳細については、『地上障害によるILS電波障害の解析と模型実験』(
電子航法研究所報告No.31、1981.3、中村正明、石橋寅雄、松田節雄、山田公男、横山尚志)を参照されてください。
 実験装置の諸元は下記の通りです。
 

項 目 諸 元
送信周波数 9.6 GHz
グライドパス角度 6.69度
パス角度 1.12度
グライドパスの方式 ナルリファレンス方式
送信アンテナ 磁気ダイポールアンテナ(2個)
受信アンテナ 磁気ダイポールアンテナ
発振器 ガンダイオード
発振器出力 約200mW
カウンターポイズ 4m×4m
横1m×縦2mのアルミ板を8枚使用している。


 実験装置の配置図を
図1に示します。
 カウンターポイズ上に設置した反射板および回折板の位置を
図2に示します。

図1.スケールモデルの実験概略図 図2.反射板・回折板設置位置図
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


2.1.1 障害物が無いときの偏位電流


 障害物を設置しないときに、パス角度6.69度で、距離20m(2,000p)から0m(0p)まで降下進入したと仮定したときのパス特性の計算値を
図3に示します。
 横軸の1目盛りは1m(100p)です。スケールモデル実験装置では、アンテナから2.4m〜4.2mの間でのデータを取得していますので、2.4目盛りから4.2目盛りの間の無障害物特性を示すことになります。

図3.障害物がないときのパス特性計算値(アンテナ位置〜20m)

 スケールモデル実験装置では、アンテナから2.4m〜4.2mの間でのデータを取得しています。
図4は、図3の計算範囲のうちの2.4m(240p)〜4.2m(420p)を抜粋して拡大表示したものです。
以後のAVITEC計算値のグラフには、この特性を赤色で記入しました。

図4.障害物がないときのパス特性計算値(アンテナから2.4m〜4.2m)


 実験装置のパス幅特性の計算値を図5に示します。±75μA間のパス幅は、実測値と同じ1.12度となります。

図5.障害物がないときのパス幅特性(仰角7.86度〜5.79度)


2.1.2 反射板による偏位電流

 図6-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、@の位置に反射板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 図6-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 A図とB図のグラフの横軸の距離範囲は、比較を容易にするため同一にしてあります。
 鏡面反射範囲の3m〜3.6mで大きな誤差を生じており、鏡面反射の中心3.3m付近で最大誤差を生じています。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=125/120≒1.04となります。
 DEVの振幅の変化は、プラスのピークが両グラフとも9ポイントであり一致しています。

 なお、左端の距離240pでのDEV平均値は、実験値がほぼ0μAであるのに対し、計算値は約-4μAとなっていますが、この差の原因は、実験においてはDEVが0μAの位置を計測の基準点としたためです。
 本実験でのデータの取得は、2週間程度にわたって行ったため、毎日、電源投入後、全機器のウオーミングアップおよび調整が必要であり、この結果、各計測データの0点に若干の差が生じています。
 このため、実験値と計算値の比較は、プラス、マイナスのピーク値(PP値)で比較するのが良いと考えます。
 

図6-A.反射板@のENRI実験値および計算値      図6-B.反射板@のAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 図7-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、Aの位置に反射板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 図7-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 鏡面反射範囲の3m〜3.6mで大きな誤差を生じており、鏡面反射の中心3.3m付近で最大誤差を生じています。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=108/103≒1.05となります。
 DEVの振幅の変化は、プラスのピークが両グラフとも12ポイントであり一致しています。

図7-A.反射板AのENRI実験値および計算値 図7-B.反射板AのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 図8-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、Bの位置に反射板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 図8-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 鏡面反射範囲の3m〜3.6mで大きな誤差を生じており、鏡面反射の中心3.3m付近で最大誤差を生じています。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=71/74≒0.96となります。
 DEVの振幅の変化は、プラスのピークが両グラフとも16ポイントであり一致しています。

図8-A.反射板BのENRI実験値および計算値 図8-B.反射板BのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


 図9-Aは、幅30p、高さ15pの傾斜角60度のアルミ板をカウンターポイズ上の図2、Cの位置(@と同じ位置)に反射板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 図9-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 鏡面反射範囲の3m〜3.6mで大きな誤差を生じており、鏡面反射の中心3.3m付近で最大誤差を生じています。
 反射面が60度傾斜したため、誤差実測値は@の垂直反射面のときの約8%に減少しています。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=3/9≒0.3となり、かなりの差があります。この差の原因については更に検討が必要です。
 DEVの振幅の変化は、プラスのピークが両グラフとも10ポイントであり一致しています。

図9-A.反射板CのENRI実験値および計算値 図9-B.反射板CのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


2.1.3 回折板による偏位電流

 図10-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、Dの受信アンテナの真下位置に回折板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 距離250p以内では反射による誤差、距離250p以遠では遮蔽による回折誤差が表れています。
 図10-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=131/103≒1.27となり、かなりの差があります。この差の原因については更に検討が必要です。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図10-A.回折板DのENRI実験値および計算値 図10-B.回折板DのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 図11-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、Eの位置に回折板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 距離250p以内では反射による誤差、距離250p以遠では遮蔽による回折誤差が表れています。
 図11-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=63/59≒1.07となり、ほぼ一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図11-A.回折板EのENRI実験値および計算値 図11-B.回折板EのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 図12-Aは、幅30p、高さ15pの垂直アルミ板をカウンターポイズ上の図2、Eの位置に回折板として設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 距離250p以内では反射による誤差、距離250p以遠では遮蔽による回折誤差が表れています。
 図12-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=21/20≒1.05となり、ほぼ一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図12-A.回折板FのENRI実験値および計算値 図12-B.回折板FのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 図13-Aは、幅30p、高さ15pの傾斜角60度のアルミ板をカウンターポイズ上の図2、Gの位置に設置したときの、電子航法研究所報告No.3に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
 距離約260p以内では反射による誤差、以遠では遮蔽による回折誤差が表れています。
 図13-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=100/100≒1.0となり、一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図13-A.回折板GのENRI実験値および計算値 図13-B.回折板GのAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


2.1.4 段差(海面段差近似)による偏位電流

 海上に設置された空港では、グライドパスアンテナ前方に数メートルの海面段差がある。この段差によるグライドパスの偏位誤差をスケールモデル実験により確認した。
 図1の実験装置の4m×4mのカウンターポイズ上、左下隅に、横2m、縦1m、厚さ3.5pのアルミ板を設置し、その上にグライドパスアンテナを設置した。送信アンテナから段差までの距離は1.8mである。
 段差の前方には更に2mの海面に見立てたアルミ板が存在する。
 
  図14-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
  図14-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=31/30≒1.03となり、ほぼ一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図14-A.海岸段差のENRI実験値および計算値 図14-B.海岸段差のAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

 防潮堤の効果を確認するため、段差の上に高さ1pのアルミ板を設置してデータを収集した。

  図15-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値および計算値を引用したものです。
  図14-Aの実測値(PP値)30μAに対して34μAと約13%増加しています。
  図15-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図4の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=34/34≒1.0となり、一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図15-A.海岸段差のENRI実験値および計算値 図15-B.海岸段差のAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


2.1.5 起伏(丘近似)による偏位電流

 スケールモデル実験装置で、グライドパスアンテナ前方の大地反射面をアンテナ位置から距離20mまで平坦であると仮定したときに、パス角度6.69度で、距離20m(2,000p)から0m(0p)まで降下進入したときのパス特性の計算値を図16に示します。
 図中の
青線は、無限大の大地反射面と影像アンテナを用いて計算したものであり、前記図3の計算値を再掲したものです。
 図中の赤線は、アンテナ位置から距離20mまで平坦な大地反射面であると仮定し、この大地をY軸方向に無限長、X軸方向に5〜20pの幅の短冊状に分割し、各短冊面からの反射波電界強度ををフレネル積分により計算したときのパス特性の計算値です。
 赤線青線のグラフは殆ど一致しており、大地反射波をフレネル積分法によって計算することの妥当性が確認できます。

 横軸の1目盛りは1m(100p)です。スケールモデル実験装置では、アンテナから2.4m〜4.2mの間でのデータを取得していますので、2.4目盛りから4.2目盛りの間の無障害物特性を示すことになります。

図16.フレネル積分法により大地反射波を計算したときのパス特性計算値


  図17-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている図42の実験値および計算値を引用したものです。
 この実験では、送信アンテナの前方に1.0m×2.0mのアルミ板の中央を3.2p高くして設置し丘に見立てて実験を行っている。
  図17-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図16の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(プラスのP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=70/25≒2.8となり、計算値のほうがかなり大きい。
 なお、参考のため、ENRI計算値/ENRI実験値=96/25≒3.8となり、矢張り計算値のほうがかなり大きくなっています。
 電子航法研究所報告No.38の4.2.1項は、『この原因としては、多重反射の影響と垂直偏波成分の干渉が考えられる。』と述べています。
 この差の原因については、今後、更に検討したいと考えています。

図17-A.前方起伏のENRI実験値および計算値 図17-B.前方起伏のAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


  図18-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている図43の実験値および計算値を引用したものです。
 この実験では、送信アンテナの前方に1.0m×2.0mのアルミ板の中央を7.5p高くして設置し丘に見立てて実験を行っている。
  図18-Bは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、図16の無障害物時のパス特性です。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=190/125≒1.5となり、計算値のほうがかなり大きい。DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。
 なお、参考のため、ENRI計算値/ENRI実験値=150/125≒1.2となり、矢張り計算値のほうが大きくなっています。
 電子航法研究所報告No.38の4.2.1項は、『この原因としては、多重反射の影響と垂直偏波成分の干渉が考えられる。』と述べています。
 この差の原因については、今後、更に検討したいと考えています。

図18-A.前方起伏のENRI実験値および計算値 図18-B.前方起伏のAVITEC計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

(注.図19〜図20は、後のために保留します。)

2.2 仙台空港飛行実験結果(ナルリファレンス方式)と計算値の比較検討

 仙台空港に実周波数のグライドパス実験装置および反射板、回折板、構造物模型を仮設し、グライドパスの方式をナルリファレンス方式、Mアレー方式、2周波方式に切り替えて、電子航法研究所所属の飛行実験機により偏位電流を測定し、誤差予測計算値と比較検討を行っています。
 送信周波数 329.899MHz, パス角3.0度、パス幅0.7度です。


2.2.1 反射板による偏位電流(ナルリファレンス方式)

 反射板と回折板は同一のものです。幅10m、高さ10mの鉄枠に呼称網目16oの金網を張ったものを2個並べて、幅20m、高さ10mの障害物としています。
 図21の反射板と表示された位置に、幅20m、高さ10mの障害物を設置して、飛行実験によりデータを収集したものです。(このとき、回折板は設置されていません。)

図21.仙台空港飛行実験, 反射板・回折板設置位置図
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


  図22-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
  図22-Bは、電子航法研究所報告No.38に記載されている計算予測値を引用したものです。
  図22-Cは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、無障害物時のパス特性の計算値です。
 A図とC図のグラフの横軸の距離範囲は、比較を容易にするため同一にしてあります。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=102/100≒1.02となり、ほぼ一致しています。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図22-A.反射板のENRI飛行実験結果 図22-B.反射板のENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図22-C.反射板のAVITEC計算値(上の2つの図は同じ)


2.2.2 回折板による偏位電流(ナルリファレンス方式)

 図21の回折板と表示された位置に、幅20m、高さ10mの障害物を設置して、飛行実験によりデータを収集したものです。(このとき、反射板は設置されていません。)

  図23-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
  図23-Bは、電子航法研究所報告No.38に記載されている計算予測値を引用したものです。
  図23-Cは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、無障害物時のパス特性の計算値です。
 A図とC図のグラフの横軸の距離範囲は、比較を容易にするため同一にしてあります。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=340/390≒0.87となります。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

図23-A.回折板のENRI飛行実験結果 図23-B.回折板のENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図23-C.回折板のAVITEC計算値(上の2つの図は同じ)


2.2.3 建造物模型による偏位電流(ナルリファレンス方式)

 構造物として、10m×10mの鉄枠を3.7mの高さに大地に平行に木枠で固定し、その表面に呼称網目16oの金網を張ったものを使用しています。
 図24の構造物模型と表示された位置に、構造物を設置して、飛行実験によりデータを収集したものです。

図24.仙台空港飛行実験, 建造物模型設置位置図
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

  図25-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
   DEVの平均値が全体に100μA(0.47度に相当する)ほどプラスに変位しています。
   グライドパス設定角が3度であるので、実験機の実際の進入角は約3.5度であったことがわかります。
  図25-Bは、電子航法研究所報告No.38に記載されている予測値(進入角3度で計算)を引用したものです。
  図25-Cは、Avitec計算値(進入角3度で計算)です。
 DEVの最大振幅(プラスのピーク値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=80/80≒1.0となります。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致していますが、図25-Aの実験値より全体に約100μA(0.47度に相当する)下方へ変位しています。
  図25-Dは、Avitec計算値(進入角3.5度で計算)です。進入角を3.5度と仮定して再計算したものです。
  DEVの最大振幅(プラスのピーク値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=80/80≒1.0となります。
  ほぼ1q以遠のDEV特性は、図25-Aの値に近づいています。
  振幅の変化の大略の傾向は、図25-Aにほぼ一致しています。

.この構造物模型の実験結果に限り、DEVの最大振幅は『プラスのピーク値』で比較検討しました。この理由は、図25-Aの実験結果を見ると、実験機の進入角は1q以遠では3.5度ほどであり、1q以内では3度付近であったことが推測されるためです。

図25-A.建造物のENRI飛行実験結果 図25-B.建造物のENRI計算値(進入角3度)
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図25-C.建造物のAVITEC計算値(進入角3度) 図25-D.建造物のAVITEC計算値(進入角3.5度)


2.3 大分空港飛行実験結果と計算値の比較検討

 電子航法研究所は、大分空港飛行実験で海岸段差による偏位電流データを取得し、誤差予測計算値と比較検討を行っています。詳細は、『グライドパスに対する構造物・地形の影響について』(電子航法研究所報告No.38、1982.8、藤井直樹、落合進一、川田輝雄)』 を参照して下さい。

2.3.1 海面段差による偏位電流(ナルリファレンス方式)

 図26は、大分空港グライドパス送信アンテナの前方地形図です。送信アンテナ前方458mまでは空港用地内として平坦な地形が続き、その先約20m間はテトラポットが空港用地内より約1m高い高さまで積まれていて、さらに前方は空港用地内より約5m低い海面となっている。

 グライドパスの諸元は、送信周波数332.9MHz、パス角3度、パス幅0.72度、ナルリファレンス方式です。 

注.現在の大分空港グライドパスは、『2周波方式』です。

図26.大分空港グライドパス送信アンテナ前方地形図
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


図27−Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されているデータを引用したものです。
 実線の『機上測定値』はDEV実測値です。点線の『航空機軌跡』はミスプリントであり、正しくは『計算値』です。
図27-A.大分空港ENRI飛行実験結果
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


 図27-Bは、前記2.1.4項『段差(海面段差近似)による偏位電流』で使用したプログラムに、大分空港の地形データを入力してパス特性を計算したものです。
 図27−AのENRI計算値(点線)と特性の傾向は似ていますが、全体的に約8μAほどマイナス方向に変位しています。
図27-B.大分空港AVITEC計算値(進入角3度)


3. 2周波方式グライドパスの実験結果と計算値の検証  

 グライドパスの方式には、搬送波を1波使用する「1周波方式」と2波使用する「2周波方式」とがあります。
 1周波方式については上記2.で検証しました。現在日本では、1周波方式より障害物(特にアンテナ前方の地形の起伏)に対して性能の優れた2周波方式が用いられています。

(1) 2周波方式グライドパス周辺の障害物や地形がグライドパスの電波的特性に及ぼす影響についても、前述の
『グライドパスに対する構造物・地形の影響について』(電子航法研究所報告No.38、1982.8、藤井直樹、落合進一、川田輝雄)で検証されています。
(2) AVITECで作成したプログラム動作の検証は、先述の電子航法研究所報告No.38に掲載されている実験データと比較して行いました。上記の報告書から引用した図には、図の下にその旨明記しました。

以下に検証結果を示します。

3.1 仙台空港飛行実験結果(2周波方式)と計算値の比較検討

 仙台空港に実周波数のグライドパス実験装置および反射板、回折板、構造物模型を仮設し、グライドパスの方式をナルリファレンス方式、Mアレー方式、2周波方式に切り替えて、電子航法研究所所属の飛行実験機により偏位電流を測定し、誤差予測計算値と比較検討を行っています。
 送信周波数 ディレクショナル系 329.899MHz, クリアランス系 329.895MHz、
 送信出力  ディレクショナル系 900mW, クリアランス系 100mW、
 パス角 3.05度、 パス幅 0.65度です。


3.1.1 反射板による偏位電流(2周波方式)

 反射板および回折板の設置位置については、すでに図21に示しましたが、下に再掲しておきます。
反射板と回折板は同一のものです。幅10m、高さ10mの鉄枠に呼称網目16oの金網を張ったものを2個並べて、幅20m、高さ10mの障害物としています。
 反射板に関する実験では、図21の反射板と表示された位置に、幅20m、高さ10mの障害物を設置して、飛行実験によりデータを収集しています。(このとき、回折板は設置されていません。)

図21.仙台空港飛行実験, 反射板・回折板設置位置図(再掲)
(電子航法研究所報告No.38から引用,)


  図28-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
  図28-Bは、電子航法研究所報告No.38に記載されている計算予測値を引用したものです。
  図28-Cは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、無障害物時のパス特性の計算値です。
 A図とC図のグラフの横軸の距離範囲は、比較を容易にするため同一にしてあります。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=170/125≒1.36となり、計算値のほうが約36%大きいです。
 (なお、ENRI計算値/ENRI実験値=165/125≒1.32となり、計算値のほうが約32%大きいです。)
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

  反射板について1周波方式と2周波方式の誤差を下表で比較してみます。(パス幅とパス角度が異なるので大略の傾向になる。)
 この結果から、このような大きさの反射板を標記の位置に置いた場合、1周波方式より2周波方式の誤差が大きくなることがわかります。
(ただし、実際の空港においてはグライドパスアンテナにこれほど接近してこのように大きな反射板が存在することはありえません。
 この実験は、あくまで誤差データの収集を目的として行われたものです。))

 項 目 ENRI実験値 Avitec計算値
1周波方式    100    102
2周波方式    125    170


図28-A.反射板のENRI飛行実験結果 図28-B.反射板のENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図28-C.反射板のAVITEC計算値(上の2つの図は同じ)


3.1.2 回折板による偏位電流(2周波方式)

 図21の回折板と表示された位置に、幅20m、高さ10mの障害物を設置して、飛行実験によりデータを収集したものです。(このとき、反射板は設置されていません。)

  図29-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
  図29-Bは、電子航法研究所報告No.38に記載されている計算予測値を引用したものです。
  図29-Cは、Avitec計算値です。図中の赤線のグラフは、無障害物時のパス特性の計算値です。
 A図とC図のグラフの横軸の距離範囲は、比較を容易にするため同一にしてあります。
 DEVの最大振幅(PP値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=380/290≒1.31となり、計算値のほうが約31%大きいです。
 (なお、ENRI計算値/ENRI実験値=390/290≒1.34となり、計算値のほうが約34%大きいです。)
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致しています。

  回折板について1周波方式と2周波方式の誤差を下表で比較してみます。(パス幅とパス角度が異なるので大略の傾向になる。)
  この結果から、このような大きさの回折板を標記の位置に置いた場合、実験値では1周波方式より2周波方式の誤差が小さくなっています。 ただし、計算値では逆の傾向を示しています。回折板による誤差を前記の反射板による誤差と比較すると、回折板の方が反射板より3〜4倍誤差が大きくなっています。
(なお、実際の空港においてはグライドパスアンテナにこれほど接近してこのように大きな回折板が存在することはありえません。この実験は、あくまで誤差データの収集を目的として行われたものです。)

 項 目 ENRI実験値 Avitec計算値
1周波方式    390    340
2周波方式    290    380


図29-A.回折板のENRI飛行実験結果 図29-B.回折板のENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図29-C.回折板のAVITEC計算値(上の2つの図は同じ)


3.1.3 建造物模型による偏位電流(2周波方式)

 構造物として、10m×10mの鉄枠を3.7mの高さに大地に平行に木枠で固定し、その表面に呼称網目16oの金網を張ったものを使用しています。
 図24(再掲)の構造物模型と表示された位置に、構造物を設置して、飛行実験によりデータを収集したものです。

図24.仙台空港飛行実験, 建造物模型設置位置図(再掲)
(電子航法研究所報告No.38から引用,)

  図30-Aは、電子航法研究所報告No.38に記載されている実験値を引用したものです。
   DEVの平均値が全体に約180μA(0.85度に相当する)ほどプラスに変位しています。
   グライドパス設定角が3度であるので、実験機の実際の進入角は約3.85度であったことがわかります。
  図30-Bは、電子航法研究所報告No.38、図37に記載されている予測値(進入角3度で計算)を引用したものです。
  図30-Cは、Avitec計算値(進入角3度で計算)です。
 DEVの最大振幅(プラスのピーク値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=96/75≒1.28となります。
 DEVの振幅の変化の大略の傾向は、ほぼ一致していますが、図30-Aの実験値より全体に約180μA(0.85度に相当する)下方へ変位しています。
  図30-Dは、Avitec計算値(進入角3.85度で計算)です。進入角を3.85度と仮定して再計算したものです。
  DEVの最大振幅(プラスのピーク値)を比較すると、Avitec計算値/ENRI実験値=85/75≒1.13となります。
  (なお、ENRI計算値/ENRI実験値=90/75≒1.20です。)
  ほぼ1q以遠のDEV特性は、図30-Aの値に近づいています。
  振幅の変化の大略の傾向は、図30-Aにほぼ一致しています。

.この構造物模型の実験結果に限り、DEVの最大振幅は『プラスのピーク値』で比較検討しました。この理由は、図30-Aの実験結果を見ると、実験機の進入角は1q以遠では3.85度ほどであり、1q以内では3度付近であったことが推測されるためです。

図30-A.建造物のENRI飛行実験結果 図30-B.建造物のENRI計算値(進入角3度)
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図30-C.建造物のAVITEC計算値(進入角3度) 図30-D.建造物のAVITEC計算値(進入角3.85度)

   

3.2 千歳空港飛行実験結果と計算値の比較検討

 3.2.1 前方地形のデータ

  図31は、千歳空港グライドパス送信アンテナの前方地形図です。送信アンテナから前方約400mまではほぼ平坦な地形が続き、その先約400mから約600mにかけては緩やかな標高差約3mの下り坂、また約600mから約700mにかけては標高差5mの上り坂になっており、その先の約700m以遠は再び平坦な大地が続いています。

(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図31.千歳空港グライドパス送信アンテナ前方地形図


3.2.2 千歳空港前方地形の起伏による2周波方式グライドパスの偏位電流

 送信周波数は、ディレクショナル系332.305MHz、クリアランス系332.297MHz、パス角2.75度、パス幅0.7度です。
図32-A.は電子航法研究所報告No.38に記載されている千歳空港2周波方式グライドパスのENRI飛行実験結果およびENRI計算値です。
図32-B.はAVITECの計算値です。変位電流の大きさと変化の大略の傾向は、図32-A.のENRI飛行実験結果とほぼ一致しています。

 図32-A2周波方式のENRI飛行実験結果と図33-Aナルリファレンス方式の航空局飛行検査値を比較すると、2周波方式グライドパスは最大約27μAであり、ナルリファレンス方式は最大約45μAですから約60%に低減しています。このことから2周波方式グライドパスの方がグライドパスアンテナの前方地形の凹凸に対して効果的であることがわかります。このため日本のグライドパスは全て2周波方式グライドパスが設置されています。

図32-A.千歳空港2周波方式グライドパス ENRI飛行実験結果およびENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図32-B.千歳空港2周波方式グライドパス AVITEC計算値






























3.2.3 千歳空港前方地形の起伏によるナルリファレンス方式グライドパスの偏位電流

図33-A.は電子航法研究所報告No.38に記載されている千歳空港ナルリファレンス方式グライドパスの航空局飛行検査記録(実線)およびENRI計算値(破線)です。
図33-B.はAVITECの計算値です。
(1) 送信アンテナから1700m以遠における計算値の最大値は約55μAです。一方、図33-A.のENRI飛行実験結果では最大値は約45μAです。アンテナから1700m以遠のおいては計算値の大きさと大略の傾向は実験値とほぼ一致しています。
(2) ただし、送信アンテナから1000m〜1700mにおいては、計算値の方が実験値より約5倍も大きくなっています。この原因について電子航法研究所報告No.38の「5.考察とまとめ」には次のように述べられています。『』内は同報告者からの引用です。
『千歳空港におけるナル方式グライドパスの飛行検査記録が、送信アンテナから1.7qより近いところにおいて、予測値と合致していないことから、散乱面に対して送信点・受信点が波長に対して十分遠いことなどの近似が成り立たない領域に対して、近似計算を行っているとも考えられる。今後、多重反射、入射角の変化による反射係数の変化などを含めた予測計算を行う必要がある。』

図33-A.千歳空港ナルリファレンス方式グライドパス 航空局飛行検査結果およびENRI計算値
(電子航法研究所報告No.38から引用,)
図33-B.千歳空港ナルリファレンス方式グライドパスAVITEC計算値



4. SANE報告書

 ILSグライドパス反射面の3次元的な起伏および多重層によるパス特性の変化


 2010年7月に電子情報通信学会SANE(宇宙航行エレクトロニクス)研究会で発表した報告書の概要を下記に示します。
 一部の図中には理解しやすいように
注釈を補足しました。また,6.1.3 項7.2.1項および8.1項(背景色緑色部分)は報告書に記載はありませんが,報告後に検討を行って補足した部分です.
 

報告書内リンク

1.はじめに
2.計算方法の概要 2.1 地形のセグメント分割
2.2 多層構造の厚さと電気定数決定
2.3 反射電界強度および偏位電流の計算方法
3.影像法とセグメント法におけるストラクチャ計算結果の比較
4.導体とアスファルト(厚さ10cm)の多重層によるストラクチャの解析例
5.大地の電気的特性とストラクチャ
6.雨水層によるパス特性の変化 6.1 雨水層による遠方界パス特性の変化
6.1.1 乾地上にアスファルト層があるとき
6.1.2 湿地上にアスファルト層があるとき
6.1.3 導体上にアスファルト層があるとき
6.2 雨水層によるモニタ位置パス特性の変化
6.2.1 導体上にアスファルト層があるとき
7.積雪層によるパス特性の変化 7.1 湿地上の積雪層による遠方界パス特性
7.2 導体とアスファルトの多重層上の積雪によるモニタ位置パス特性
7.2.1 アスファルト厚対モニタDEV特性
7.2.2 積雪深対モニタDEV特性
8.除雪によるパス特性の変化 8.1 除雪区域平面図
8.2 除雪前のストラクチャ
8.3 除雪後のストラクチャ
9.まとめ

1.はじめに

 GS空中線から滑走路末端までの長さ約300m,幅約200mの区域は,空間にグライドパス誘導路を形成するために基準に基づき平坦に整地される.〔8
 しかしながら,運用上等の理由により整地区域内の3次元的な起伏が避けられないときがある.このような場合のパス特性のシミュレーション報告は見あたらない.
 今回,3次元的な起伏があり,かつ反射面が乾地,湿地,アスファルト面,雨水層,積雪等の多重層で構成されるとき,反射面を多数のセグメントに分割してパス特性を計算するセグメント法により行ったので概要を報告する.


. 計算方法の概要

2.1 地形のセグメント分割

図1に地形モデルの概念図を示す.まず等高線が1m刻みの地形図によりモデル化する範囲を決める.座標原点(0,0,0)は滑走路末端と滑走路中心線の交点とする.X軸は滑走路縦断方向,Y軸は横断方向,Z軸は上空方向とする.
 横断方向は滑走路中心線(Y=0m)から空中線を通り空港境界(Y=−200m)までの約200mとする.縦断方向は空中線位置(約−310m)からx=100m〜1000mとする.
 選択した範囲内の地形を長方形のセグメントに分割し4隅の3次元座標を読み取る.滑走路縦断方向は,空中線から10m以内は1m刻み,それ以遠は原則として10m刻み程度で分割する.横断方向は,横断勾配が変化する点,段差がある点,地表面の電気定数が変わる点等で分割する.丘や谷の部分は地表面に沿って小さな長方形セグメントに分割する.モデル化する範囲により異なるが,セグメント総数は800個〜1000個程度となる.


2.2 多層構造の厚さと電気定数決定

セグメント毎に,垂直方向の多層構造の各層の厚さおよび電気定数(複素比誘電率,導電率)を決定し入力データを作成する.

2.3 反射電界強度および偏位電流の計算方法

1個のセグメントからの電界強度の計算は,グライドパススケールモデル実験,実周波飛行実験を経て検証済みのキルヒホッフ・ホイヘンスの原理に基づく物理光学的手法を用いた.〔1
 また,多重層からの複素反射係数は分布定数理論から導かれた計算式を用いた.電波吸収体の設計等に用いられておりその有用性は実証されている.〔7
 航空機の位置毎に全てのセグメントからの反射電界を合成し,偏位電流値(以下DEVと称する.)を計算した.反射電界の計算にあたり下記の条件を設けた.

(1)任意のセグメントから送信空中線が見通しできないときは計算から除く.
(2)任意のセグメントから受信空中線(航空機)が見通しできないときは計算から除く.
(3)セグメントからの反射は1回のみとし,多重反射は考慮しない.

3. 影像法とセグメント法におけるストラクチャ計算結果の比較

図2は,反射係数−1のときの影像法とセグメント法のDEV計算値の比較である.セグメント法では縦断方向の平坦区域長を500m,1000m,1400mの3通りとした.
 影像法においては無限の平面を仮定しているため距離の増加とともに0μAに収束し,かつDEVの振動は生じない.
 セグメント法においては有限の反射面を用いているため距離の増加に伴って反射電界強度と位相が変化し,縦方向の平坦長が短いほどグラフは+方向にシフトする傾向がある.またDEVが距離に伴い振動する.
 凡例の括弧内に実パス角を記入した.ゾーン2(滑走路進入端から.05kmから7.4kmの間)のストラクチャは実パス角で評価される.コンピュータ・シミュレーションでは,ストラクチャ計算と同時に実パス角も計算される.



 図3は,図2の計算値を実パス角で補正したものであり,図2の各グラフの実パス角を0μAにシフトしてある.セグメント法と影像法の実パス角差は約2μAである.
 グライドパス装置の諸元は下記の通りである.搬送波周波数332.MHz2周波方式,パス角3度,パス幅0.72度,空中線設置位置 X=−314m,Y=−120m,滑走路端通過高度16.5m.




4. 導体とアスファルト(厚さ10cm)の多重層によるストラクチャの解析例

  導体(1-j90000)とアスファルト(5.06-j0.12)の多重層について,アスファルト層によるDEV変化をセグメント法により計算する.計算結果を図4に示す.
解析の手順は次の通りである.
(1)導体のみによるストラクチャ(点線)と実パス角(1.5μA)を求める.この値が基準値となる.
(2)導体とアスファルトの多重層によるストラクチャ(1点鎖線)と実パス角(18.9μA)を求める.
(3)アスファルトの存在によるDEV変化は,上記(2)と基準値(1)のDEV差17.4μAとなる.
  図4には参考のため影像法による計算例も示した.影像法では,上記のセグメント法と同じ手順により,アスファルトの影響は17.9μAとなる.セグメント法と影像法の差は0.5μAと小さいことから,セグメント法による計算の妥当性がわかる.



5. 大地の電気的特性とストラクチャ

 図5に,電気的特性の異なる5種類の1層反射面によるストラクチャを示す.グラフは導体の実パス角 1.47μAで規準化した.比誘電率は,乾地4.0-j0.054, 沃地10.0-j0.108,湿地12.0-j12.0,海水81.0-j216.0,導体1-j90000とし,層の厚さは無限大とした.  1層の乾地,湿地および導体間の実パス角の差は1μA以下となる.通常の誤差シミュレーションでは,大地反射係数を−1としているがこれは妥当である.




6. 雨水層によるパス特性の変化

6.1. 雨水層による遠方界パス特性の変化

6.1.1 乾地上にアスファルト層があるとき


 図6に,乾地上にアスファルト層があるときの雨水厚対規準化DEVを示す.雨水の比誘電率は25.0-j1.0である.受信点は5.2km,GP3度上である.括弧内の電流値は雨水厚0mmでの補正前DEV値を示す.雨水厚の増加に伴いDEVが負方向に増加し,グライドパスが上方にシフトすることがわかる.


 図7に,乾地上にアスファルト層があるときのアスファルト厚対DEVを示す.受信点は図6と同じである.図6と図8を比較すると,乾地上は湿地上より最大で約1.5μAだけDEV変化は小さいことがわかる.




6.1.2 湿地上にアスファルト層があるとき

 図8に,湿地上にアスファルト層があるときの雨水厚対規準化DEVを示す.受信点は5.2km,GP3度上である.括弧内の電流値は雨水厚0mmでの補正前DEV値を示す.
 雨水厚の増加に伴いDEVが負方向に増加し,グライドパスが上方にシフトすることがわかる.図6と図8を比較すると,湿地上は乾地より最大で約1.5μAだけDEV変化は大きいことがわかる.



 図9に,湿地上にアスファルト層があるときのアスファルト厚対DEVを示す.受信点は図8と同じである.
湿地上にアスファルト層があるときの雨水によるDEV変化は,アスファルト厚が15cm〜22cmのとき2μA以下と小さくなり,5cm〜10cmのとき約5μAと大きくなる.




6.1.3 導体上にアスファルト層があるとき

 図10に,導体上にアスファルト層があるときの雨水厚対DEVを示す.受信点は図8と同じである.
アスファルト厚が10cm(茶色線)のとき,雨水厚が3〜5mmで±60μAの大きなDEV変化を生じる.
 導体上にアスファルト層があるときアスファルト厚が24.5cm(空色線)のとき雨水厚が変化してもDEVは殆ど変化しない.

註.(2010.8.17追記)
 本項の検討は文献4「海上空港の地面構造によるILSグライドパスへの影響の軽減方法」のレビューである.文献4では最適アスファルト厚を22cmとしている.図10に示すようにアスファルト厚さ20cm〜24.5cmにおいては,雨水厚が0〜20mm変化してもDEV変化は1μA以下である.したがって,この報告書と文献4の結論はほぼ一致しているといえる.





6.2. 雨水層によるモニタ位置パス特性の変化

6.2.1 導体上にアスファルト層があるとき


 図11に,導体上にアスファルト層があるときの雨水厚対モニタDEVを示す.
 DEVはアスファルト厚さが0cmの値で規準化してある.
 受信点は空中線から82m,GP3度上である.
 モニタ反射板は幅50m,長さ155mである.導体の影響によりアスファルト厚に対してDEVは大きく変化する.
 導体上のアスファルト厚が24±2cmのときDEV変化は±3μA以下となる.アスファルト厚が6cmのときは雨水厚に対するDEV変化が大きくなる.




7. 積雪層によるパス特性の変化

 一般に,積雪層の雪質は垂直方向に変化しており,比誘電率の異なった多層構造をなしている.内部の比誘電率は時間的に変化し,また降雨や日照があると表面の比誘電率が変化する。〔3〕
 本報告では1層構造の積雪の遠方界とGSモニタ位置におけるパス特性の計算例についてのべる。

7.1. 湿地上の積雪層による遠方界パス特性

 図12に,湿地上の5種類の比誘電率の積雪層等による積雪深対遠方界DEV特性を示す.受信点は5.2km,GP3度上である.
 湿地(10-j1)の特性はほぼ直線となり,他の曲線は湿地の直線に対して正負対称的に変化している.
パス角の許容値±45μA(±7.5%,±0.225度)をこえる積雪深は,しまり雪(1.8-j0.004)のとき約35cm,中間の雪質(1.5-j0.05)のとき約39cm,新雪(1.2-j0.001)のとき約48cmとなる.従って,しまり雪に対して特に注意を払う必要がある.




7.2. 導体とアスファルトの多重層上の積雪によるモニタ位置パス特性

7.2.1 アスファルト厚対モニタDEV特性


 図13は導体とアスファルト層上の積雪深を30cmとしたとき,3種類の比誘電率についてのアスファルト厚対モニタDEV特性を示す.30cmを選定した理由は,7.2.2で記すようにモニタの許容値に対する臨界的な値であること,および国交省の除雪基準で定めている値であることのためである.受信点は82m,GP3度上である.
 図13から,積雪深が30cmのとき,3種類の比誘電率に対してDEV変化が最小となるアスファルト厚は約15cmとなることがわかる.
 積雪面に降雨があったとき,モニタで大きな偏位が検出されることがある.これは積雪上層面の比誘電率が1.6(実数部)程度に急変することによる(文献3,図5,(b)参照)
 
従ってモニタ動作を安定化するためには,雪面の比誘電率が変化してもモニタDEVの変動が少ないことが好ましい.このような理由によりアスファルト厚を15cm付近に設定することは有効であると考えられる.


 
(2010.8.17追記)

 
文献6 「融雪変動を最小化するGPモニタ特性では,アスファルト面上の融雪の厚さを4cmに設定し,比誘電率(実数部)を1〜20まで変化して比誘電率対DEV特性(パラメータ・アスファルト厚)を計算し,DEV変動が小さくなる最適アスファルト厚は16〜18cmであると記している.〔文献6,図5参照〕
また,文献6は,雪が融けるとき,比誘電率は『新雪(ε’≒1.5)→融け出し(ε’≒4)→シャーベット状態(ε’>6)→水(ε’>10)』と変化すると記している.〔文献6, 3.1項参照〕

 
図13-2はAVITEC
における計算値である.積雪深を4cmとし,5種類の比誘電率1.2-j0.001,1.5-j0.05,1.8-j0.004,5-j0.02,10-j1についてのアスファルト厚対DEV特性である.DEV変動が小さくなる最適アスファルト厚さは約22.5cmとなった.

 図13-2は,積雪深4cmで5種類の比誘電率の特性であり,図11降水厚0〜2cmで比誘電率25-j1の特性であるが,両グラフの全般的な傾向はきわめてよく似ていることがわかる.
 
 図13-2文献6のアスファルト厚16〜18cmを当てはめてみる.DEV変化幅はアスファルト厚16cmのとき約10μA18cmのとき約2μAである.許容値45μAに対して最大でも約25%であり比較的小さい値であることがわかる.

 文献6とAVITECの最適アスファルト厚には若干の差があるが, この差の原因は,計算手法の差(文献4はGTD法,AVITECはセグメント法)にあるのかも知れない.今後さらに検討したい.





7.2.2 積雪深対モニタDEV特性

 図14に,導体とアスファルト面上の3種類の比誘電率による積雪深対モニタDEV特性を示す.受信点は82m,GP3度上である.反射面は幅50m,長さ155m,アスファルト厚は15.0cmである.
 モニタDEVでのパス角の許容値±45μA(±7.5%,±0.225度)をこえる積雪深は,しまり雪(1.8-j0.004)のとき約36cm,中間の雪質(1.5-j0.05)のとき約43cm,新雪(1.2-j0.001)のとき約58cmとなる.
 従って,しまり雪に近い比誘電率をもつ積雪に対しては特に注意を払う必要がある.
 図14の積雪深対DEV特性で積雪深が0〜30cmの間の立ち上がり特性はアスファルト厚により大きく変化することが計算によりわかった.

 以上の大略の検討によれば,導体上にアスファルト層があるときの最適アスファルト厚は,雨水層(厚さ数センチ以内の積雪層および融雪層も同じ)に対しては図11より約24cmであり,積雪層(厚さ約30cm)に対しては図13より約15cmである.雨水と積雪に対する最適アスファルト厚は異なるため設置地域の気候に応じた考慮が必要かもしれない.多雨地帯ではエキスパンドメタル反射板等の使用が好ましいかもしれない.




8. 除雪によるパス特性の変化

8.1. 除雪区域平面図


 図15に,除雪区域平面図を示す.0度,±2度,±8度のLLZコースとX=1.05kmのY軸に平行な線との交点のGS空中線からの方位線も記入した.


 註.(2010.8.17追記)

 図15-2に,除雪区域3D図を示す.
 地形入力データは,1000個近くのセグメント毎に4隅の3次元座標値を入力するが,データ入力ミスは起こりえると考えられる.このため3D図作成ソフト(Surfer9)により描画して3D入力データを確認する.グリッド描画,等高線図描画の単独および重畳表示も可能である.
いずれの描画図であってもマウスを用いて図形を回転してあらゆる方向から確認でき便利である.
 図から積雪面高60cm,滑走路面除雪後高0cmが確認できる.
 GS空中線前方の台形の除雪範囲は,図15と照合するとO/R寄りの除雪勾配10%の一部が異なっていることがわかる.
 このようにして入力デ−タが意図した値になっているかどうかを確認できる.



8.2. 除雪前のストラクチ

 図16に,200m×約1300mの長方形区域内にしまり雪(1.8-j0.004)が均一に60cm積雪しているときのセグメント法によるストラクチャを示す.グラフは湿地(10-j1)の実パス角で補正済みである.実パス角はLLZコース−2度で−45.8μA,LLZコース0度で−38.1μA,LLZコース+2度で−28.4μAとなり,−2度ではパス角許容値45μAをこえる.




8.3. 除雪後のストラクチャ

 図17に,図15空中線から300mまでの台形の除雪区域内を残留積雪10cmに除雪し,その先140mを10%の勾配で除雪したときのセグメント法によるストラクチャを示す.実パス角はLLZコース−2度で−2.8μA,LLZコース0度で−5.7μA,LLZコース+2度で−5.8μAとなり偏位は改善される.




9. まとめ

 今回報告したセグメント法は下記の特長を持つ.
(1)反射面が3次元的な起伏を持ち,水平面および垂直面において地面,アスファルト,雨水,積雪等の多層面で構成されるときのパス特性予測計算ができる.
(2)地形データの作成には時間を要するが,一度作成すれば飛行データの変更によりストラクチャ,シメトリ,チルト,パス幅等を容易に計算できる.
(3)モニタ除雪範囲,モニタおよびフレネルゾーン内最適アスファルト厚,地形整地要件の検討ができる.
今後、シミュレーションの精度向上をはかりたい.


謝 辞

電子航法研究所横山尚志氏には多重層の計算方法についてご教授頂いた.また土質,雨水,雪質,アスファルトの比誘電率の値を文献3〜4から引用させて頂いた.心から感謝いたします.


文 献
[1] 藤井直樹,落合進一,川田輝雄,“グライドパスに対する構造物・地形の影響について,”電子航法研究所報告,no.38,pp.1−14,1982.8.
[2] 藤井直樹,川田輝雄,落合進一,“ILSグライドパスに対する積雪の影響について−ILS-GP新秋田空港積雪障害実験について−,”電子航法研究所報告,no.42,pp.31−43,1983.7.
[3] 横山尚志,朝倉道弘,田嶋裕久,“ILSグライドパス反射面の積雪によるパス特性の変化,”電子航法研究所研究発表会,第7回,pp.127−130,2007.6.
[4] 横山尚志,佐藤千昭,宮島省吾,“海上空港の地面構造によるILSグライドパスへの影響の軽減方法,”信学技報,SANE2002-35,pp.19-25,2002.07.
[5] 横山尚志,朝倉道弘,田嶋裕久,中田和一,“青森空港の積雪によるLLZのコース偏位,”電子航法研究所研究発表会,第8回,pp.95−100,2008.6.
[6] 横山尚志,朝倉道弘,田嶋裕久,中田和一,“融雪変動を最小化するGPモニタ特性,”電子航法研究所研究発表会,第6回,pp.45−48,2006.6.
[7] 橋本修,“電波吸収体入門,”森北出版,pp.26−41,1997.10.
[8] 航空保安無線システム協会,“平成8年度航空無線施設整備ハンドブック(技術編)運輸省航空局監修,”経済調査会,pp356-357,pp.390−390,1996.11.
追加文献
「 Siting Criteria for Instrument Landing Systems 」 ,FAA order 6750.16D, FEBRUARY 14,2005 は下記で閲覧できます.
     http://airspaceusa.com/PDF/6750_16d.pdf
「 United States Standard Flight Inspection Manual 」, FAA, ORDER 8200.1A, MAY 1996 は下記で閲覧できます.
     http://avnwww.jccbi.gov/icasc/PDF/82001a.pdf