話し方教室
司会の要領
会合で司会を頼まれることが時々あり…どうやったらいいのか困っている…。という話をきくことがある。それで今回から「司会の要領」について述べる。1回目は会合司会に臨む「心構え」である。

司会をするときの注意点(1)

1、服装  こざっぱりとした服装がよい。

司会者というのは例えれば「観光バスガイド」のようなものである。もしバスガイドが一般の客とおなじような服装でマイクを持ってしゃべった場合、客の視線や関心を自分に集めることができるだろうか?やはりあの「バスガイド制服」のほうが効果的である。

あの制服は「めだつように、そして気持を和ませるように」意図してデザインされている。黒服のバスガイドはいない。
黒というのは厳粛な、カジュアルではないフォーマルな気持を生じさせる。セレモニー向きだ。ところが日本人はなぜかこの色を好む。黒色はひきしまって見えるので特に女性が好むようだ。しかし黒色服を着た人が5〜6人集まると、どうみえるだろうか。


私の友人の夫がフランス人だが、ある時日本のテレビニュースを見ながら「ニュースアナウンサーの服装はいつもお葬式みたいだ」と言った。バスガイドが「目立たない黒系統の服」では、自分に注目を集めるには不向きである。司会者はバスガイドの格好をせよ、と言っているのではない。司会はMCという。マスターオブセレモニーの略だ。その会を(精神的に)引っ張っていく役目であるから、自分の言動に注目があつまるような服装は必要だ。

そんな服を持ってない…という人の場合は暖色系の服であればよい。もちろん会合によっては「黒服」がふさわしいことがある。しかし素人はそんな会の司会をすることは少ない。具体的に言うと、男性の場合は暖色系のスーツがよい。ネクタイもしめたほうがよい。まれにカジュアルな平服のまま司会をする人がいるが、私はあまり薦めない。


2、司会者は「しゃべり」過ぎないこと。

これは「司会」の根本的な部分なので重要だ。ある会合に出席したときのこと。はじめに司会役の女性が登場した。

そしてマイクの前で、「なぜ自分に司会役がまわってきたか?断ったのだけれど曲折あって自分が司会をすることになった。今朝は家事もそこそこにこの会場にかけつけた…」など、どうでもいいようなことをひとしきりしゃべった後に主催者の紹介をしてマイクを渡した。

司会者は「しゃべること」が必要だが「しゃべらないこと」も必要だ。会場の客は司会者のどうでもいいような話をききにきたのではない。
司会者は「主役」ではない。くだらないおしゃべりで貴重な時間を費やしてはいけない。すみやかに「主役」(主催者あいさつ)にマイクをゆずるべきである。


3、会を終了するときの「言葉」を考えておく。

案外これをおろそかにしがちだ。終るときはかっこよく終りたい。「皆さま、今日はこのへんでおわります。」という平凡なセリフでなく、こんなのはどうだろう…。

「今日の会では○○先生、○○さんのお話しなど、とても有益でした。これからの活動に生かしていきたいと私も思いました。貴重な時間をさいてこの会においでいただいた○○先生、○○さんに感謝をこめて今一度拍手をお送りください。……………ありがとうございました。ではこれで今日の会合をおわります。皆様ありがとうございました。」

司会者がその会の「まとめ」を勝手にくどくどする人がいる。よほどその会に精通していなければ「勝手まとめ」はするべきではない。これはむしろ有害である。


「皆さま足元に気をつけてお帰りください。」とアナウンスされることがある。これも慣れたような言葉だが、昔の時代がかった表現ではないか?今はどの会場もきれいで足元に気をつけなくてもよい。こちらは「年寄り扱い」されているようで面白くない。

いずれ日を改めて「司会の要領(2)」を書きます。
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