話し方クラブ
浦島太郎
佐土原町の那珂公民館「話し方クラブ」のA子さんのスピーチ稿を紹介する。ふるさとUターン組である。若い時は都会へ出てそのまま長く暮らしていたが、年をとってふるさとがなつかしくなり帰郷した。しかし33年ぶりのふるさとは昔と様変わりしており、とまどいながら暮らしている。

「話し方クラブ」へも当初は、ただ参加している…程度だったが、あることをきっかけに俄然のり気になってきた。


スピーチ稿(2分30秒)

                      「浦島太郎」              胸キュンA子

皆さん、こんにちは!
佐土原町那珂公民館の「話し方クラブ」で勉強をしております。A子と申します。
私は、生まれも育ちも佐土原ですが、25歳の時に博多に行き、そこで30年間暮らしておりました。年をとると故郷がなつかしくなります。できることなら人生の最後は、ふるさとの佐土原で過ごしたいと考え、3年帰ってきて現在は下那珂に住んでおります。

そんなわけで佐土原は33年ぶりです。久しぶりのふるさとは、町も変わり、人も変わり、地名も変わり、とまどうことばかりです。まるで浦島太郎の心境です。…いや私は女性ですから、浦島花子です。
ふるさとなのに「知らない町」…私は、帰ってきたこと悔やみました。しかし決断したことですから、前向きに生きなくてはなりません。

人づきあいの下手な私は、なんとかしてここの生活にとけこもうと考え、公民館のサークルに加入しました。そしたら皆心よく迎えてくれました。現在5つのサークルに入って皆さんと活動しています。友人もたくさん出来ました。その中に、那珂公民館で「話し方クラブ」というのがあります。これは「話しベタを解消し、人前でもちゃんと話せるようにしよう、というクラブで、私が求めていたものでした。


8月の講習会の時に、大変おもしろい「第一印象テスト」というのがありました。これは、その人を見た第一印象をメモ用紙に書き合うのです。その週は6人が参加していました。6人から見た私の第一印象のメモが私の手元に集まりました。
皆さんから見て、私はどう思われているだろうか…と心配していましたが、その心配をふき飛ばすような文字がありました。

2〜3紹介しますと、「笑顔がいい」「さっぱりしている」「明るいお母さんみたいだ」などで、とても嬉しくなりました。久しぶりに胸キュンでした。なんか生きる力が湧いてきました。

人生の残り時間、私はこの佐土原で過ごすことになりますが、楽しい老後を過ごしたい。そして何か人の為にすることがないだろうか?と思う今日この頃です。
皆さん、ありがとうございました。

スピーチの基本は「自分語り」である。我が心境を誰かに語りたい…が聞いてくれる人はいない。この寂莫感の中いる自分を見つけた時に一層寂しくなる。核家族にはじまり、老後は「個生活」に至っている人は多い。

社会人を対象にしたスピーチ教室の存在意義は案外そんなにところにある。横文字で言えばコミニュケーションだが、日本語で言えば「心のふれあい」である。
飾らない言葉を聞くのは楽しい。
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