話し方教室体験記
スピーチ原稿 (4月5日)
 「説得スピーチ」(2分)
 
                      「砂漠で砂を売る」            4月5日 ひろりん

説得というのは、わかりやすく言えば、自分の扱かっている商品を相手に買ってもらうことでしょう。この時に当然、努力や熱意というものは必要です。しかし気をつけないと努力と熱意の中身が問題なのです。たいてい我がことのPRのみに熱意と努力を集中しがちです。電話セールスと同じで「数打ちゃ当たる式」の場当たり商法がこれです。当面必要としない話を延々と熱意を持って押し売りのように聴かされては客は迷惑千万です。大事なことは熱意と努力の方向なのです。これを「相手のことを理解する」ことに注がなくてはなりません。

一例を上げると、エジプトに「砂」を売りに行くようなものです。相手は砂なんか困るほどあり、とてもお金を払って買う気はない。そこへ、自分の商品である砂がいかに良い砂ですぐれているかを語っても千年たっても砂は売れないでしょう。

熱意と努力を相手の側に立ってしてみましょう。
相手は、砂は買いたくないが、「砂を有用なものに加工する技術」は欲しがっているかもしれない。それならお金を出しても買いたいと思っているかもしれない。ここにヒントがあります。商売の原点は「不自由で困っている」人を、その不自由さから「解放」してやることにあります。

砂に何かの技術を加えることで「商品」にかわり、お金にかわるとすれば、そんな話をきくのは大歓迎です。そういう相手が困っていることを探り、感知することに努力と熱意を向けるべきです。そうすると「利害関係が一致」するからおのずと方向も同じとなってきます。
それをせず、ただやたらに自分の商品を見せて売り歩くのは時間とエネルギーの浪費といえます。ま夏に麦わら帽子もかぶらず、ただ歩きまわっていてはいずれ自分が倒れます。

説得に王道があるとすれば、いかに自分のことを言うかでなく、いかに相手のことを理解するかというリサーチから始めるべきです。顔に耳がふたつ着いているのは立体感をつかむ為だけではありません。相手の言うことをよく聴くためであります。

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