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講習を映像記録したDVDを受講生に郵送配布した。DVDというのは画質も良く従来のVHSテープにくらべてコンパクト軽量なので郵送料も140円ですむ。こういうすぐれものが家庭で制作やダビングできるようになった時代はありがたい。
各自がそのDVDを見て、自分の話し方スタイル等の改善をしてきた。
口癖の「え〜」というコトバが多い人には画面上に「文字で」示したので、当人はいたく反省して出席した。 |
荒療治かもしれないが、放置しておくと「え〜」つきの話し方が定着するので問題だ。講座の開始から数えると8回目だから、このあたりでちゃんと指摘して、直してもらわないといけない。
17日の1分挨拶スピーチが各人すこし不安定だったので、24日に再チャレンジを行なった。ビデオカメラで撮影したものを見ると、たしかに前週より進歩が認められる。
あわせて「入りと出のスタイル」の再確認も行なった。冒頭の挨拶のしぐさは皆うまく出来ているが、自分の名前を言い忘れたり…最後のしめのお辞儀とセリフがなかなか決まらない。
中途半端な終り方がみうけられた。終った後に「てれかくし」のようなしぐさをしながら退席する人もいた。その気持はよくわかるが、見た目にあまりよくない。少々の失敗があっても悠然と退席してほしい。
「出の(終わりの)スタイル」に関してふれると、「皆さん、よろしくお願いします。」とか、「ありがとうございます。」というパターンも多い。
「皆さんよろしくお願いします。」で終るのは、感謝の言葉ではなく「お願い」の言葉である。観衆としては突然「お願い」されても困ってしまう。
「皆さん、ありがとうございます。」がよい。この言葉を正確に言えば、「皆さん(聴いて下さって)ありがとうございます。」ということである。感謝の言葉だ。
やはり挨拶の終りは感謝の言葉でしめくくるのがよい。
「ありがとうございます。」と「すみません」も混同して使う人がある。意味は歴然と違う。前者は感謝。後者は「お詫び」である。混同してはいけない。社会体験のある大人がそうなのだから、この「話し方」というのは難しいものだ。
各人の評は、DVD画面を見れば一目瞭然なので、紙面での評は省略する。
心構えとして言えることは、他人がスピーチして講師から指摘されていることを「他人事」と思って漫然ときいてはならない。でないと講師は同じ注意喚起のセリフをオームのように何度もくり返さなければならない。言ってもいいが、やはり「人のふり見て我がふり直せ」の精神が必要だ。
講話「話の組み立て方」
スピーチを面白く強化するのは具体的なエピソードである。これがないと聴衆はのってこない。それを〈短く〉入れる。セリフも添えると生々しい臨場感が出る。後半は格言などを引用すると話がしまる。たんなる「報告話し」では弱い。しめくくりには自分の気持というものを入れる。これがないと誰のスピーチかわからない。
そんな話の題材は自分の周囲にはありませんが…という人がいる。そんなことはない。ただ自分の「観察眼」が鈍いだけである。よいスピーチをするには「よい話の素材」に着目することはいちばん大事なことだ。
日々ぼんやり過ごしてはいけない。大事件を追うのでなく、身の周りのちいさな出来事に着目するのだ。そこにスピーチのよい題材はころがっている。
〔次週〕
2月14日の1分スピーチは、「送別会」での挨拶。現実に「送る人」がいなくても、過去に親しい人を送別した体験は誰にでもある。それを思い出してスピーチを構成する。場面設定は町内会でも職場でも趣味サークルでもどこでもよい。
2分スピーチは「自由題」だが、24日にするつもりで準備していた題材でよい。
時間があれば《コピースピーチ》をする。これは他人が話しているのをきいて、その話の主旨を語るのである。これをすると、ひとの話をどこまで理解しているかがよく判る。
話を構成するときに散漫になりがちな人は「題:タイトル」をつけてみよう。するとそのスピーチで結局何を言いたいのか自覚でき、焦点の絞られたスピーチになる。
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