家族性アミロイドポリニューロパシー(FAP)は肝臓がアミロイドという特殊なタンパク質を作り,それが体内に沈着して神経を傷害する病気です。最初に温度や痛みの感覚が鈍くなり、さらにいろいろな自律神経症状を伴い、筋力低下、ついには不整脈や心不全、低タンパク、腎障害、副腎機能低下などをきたし、死にいたる難病です。FAPは先天的な異常ですが、すぐに発症するわけではなく、出生後20年から30年で発症します。FAPには根本的治療はありませんが、発症早期の肝移植が有効です。FAPの肝機能そのものは正常とされています。そのため,さらに重い肝疾患の患者さんに、緊急避難的にFAPの肝臓を移植するわけです。FAPの自然経過から考えると今回のケースは予想以上に早くアミロイドポリニューロパシーを発症したと考えられます。
他の27例のドミノ肝移植ではどうなのかこれから明らかにする必要があります。
話題は変わり那須が、肝移植後のドナー(正常な肝臓の移植を受けた方)の変化について言えば、肝炎ウィルス陽性者の肝移植後ではドナーが早期に肝炎を発症し、しかも進行がはやい(線維化が早く進む)場合があったり、肝ガンに対する肝移植後には、移植前にはわからなかった肝ガンの全身における転移巣が急激に大きくなって転移が明らかになることもあるようです。これらは移植後に免疫抑制剤を使うために、ウィルス感染が容易に起きたり、全身での癌免疫が低下するためなのかもしれません。