H18/8/7更新
No.8 ドミノ肝移植、6年半後FAP発症 予想20〜30年後
http://www.asahi.com/health/news/TKY200607260758.html
より


2006年07月27日03時05分

 移植する肝臓の不足を補うため、生体肝移植を受けた患者から取り出した肝臓を玉突き式に移植する「生体ドミノ肝移植」を99年に京都大病院で受けた患者が、移植した肝臓による神経難病「家族性アミロイドポリニューロパシー」(FAP)を6年半後に発症していたことが分かった。FAP患者の肝臓を移植してもFAP発症は20〜30年後と考えてのドミノ肝移植だったが、予想よりずっと早い発症で見直しを迫られそうだ。

 熊本大の医療チームが確認した。安東由喜雄教授によると、FAPを発症した患者は50代の女性。肝硬変を患い、40代だった99年7月、京都大病院で生体肝移植を受けた50代のFAP患者から、摘出された肝臓の提供を受けた。国内初のドミノ肝移植だった。今年2月になり、足先の温度感覚が失われたことなどからFAPの初期症状と診断された。

 FAPは、主に肝臓で作られた異常たんぱく質が体にたまり、神経障害や運動障害を起こす。根治療法がなく、やがて死に至る。

 ただ、FAP患者の肝臓は代謝機能などは正常とされる。別の患者に移植した場合、その患者の体に異常たんぱく質がたまってFAPを発症するまで余裕があると予想されたことから、ドミノ肝移植が考案された。国内ではこれまでに京都大、信州大、熊本大などで28人に実施された。

 その際、「FAPをいつ発症するかは分からない」と説明してきた施設もあるが、今回の女性のように「発症は20〜30年後」と説明された患者もいる。だが、昨年になって欧州からドミノ肝移植後6年と8年のFAP発症例が発表されていた。

 日本肝移植研究会常任世話人の市田隆文・順天堂大静岡病院教授は「ドミノ肝移植は、欧州では脳死の臓器提供者が現れるまでの一時しのぎだ。日本は脳死臓器提供が少なく、事実上の救命治療に近い。思ったより発症が早いとはっきりすれば、患者への説明は変わってくる」と指摘する。

 99年当時、京都大で移植を担当した田中紘一・日本移植学会理事長(先端医療振興財団先端医療センター長)は「今回の例が特殊かも知れない。早期の発症がどの程度で起こるかなどを慎重に見ていく必要がある」と言っている。



家族性アミロイドポリニューロパシー(FAP)は肝臓がアミロイドという特殊なタンパク質を作り,それが体内に沈着して神経を傷害する病気です。最初に温度や痛みの感覚が鈍くなり、さらにいろいろな自律神経症状を伴い、筋力低下、ついには不整脈や心不全、低タンパク、腎障害、副腎機能低下などをきたし、死にいたる難病です。FAPは先天的な異常ですが、すぐに発症するわけではなく、出生後20年から30年で発症します。FAPには根本的治療はありませんが、発症早期の肝移植が有効です。FAPの肝機能そのものは正常とされています。そのため,さらに重い肝疾患の患者さんに、緊急避難的にFAPの肝臓を移植するわけです。FAPの自然経過から考えると今回のケースは予想以上に早くアミロイドポリニューロパシーを発症したと考えられます。
他の27例のドミノ肝移植ではどうなのかこれから明らかにする必要があります。
 
 話題は変わり那須が、肝移植後のドナー(正常な肝臓の移植を受けた方)の変化について言えば、肝炎ウィルス陽性者の肝移植後ではドナーが早期に肝炎を発症し、しかも進行がはやい(線維化が早く進む)場合があったり、肝ガンに対する肝移植後には、移植前にはわからなかった肝ガンの全身における転移巣が急激に大きくなって転移が明らかになることもあるようです。これらは移植後に免疫抑制剤を使うために、ウィルス感染が容易に起きたり、全身での癌免疫が低下するためなのかもしれません。
トップへ
次の肝臓ニュースへ