ふるさとの風景
昔の柏/撮影、浜田義勝
昭和35年当時の柏です。
船場と北原方面がおもに写っています。役場や公民館、樽屋、駐在所もハッキリわかります。画面右下の長い屋根は村尾の映画館です。
正面の山すそから左へ須ノ川方面への峠越え山道の登り口も見えます。画面の左側には澱粉工場。このあたりに昔は製ロウ工場がありました。柏はハゼの木が多く冬場に実を集荷して高値で取引されていた。

ハゼの実はロウの原料となる。村で工場を作り自前で製造すれば産業振興にもなる、という目的で、村営の製ロウ工場を作った。
  
父は当時、村会議員をしていたので、産業振興策の旗ふり役として工場長をまかされ、岩森さんらと作業にあたった。しかし素人が簡単にできるものでもなく、工場内で怒号や詠嘆の声がしていたのを憶えている。石油でロウが合成できる時代になり、製パン工場にきりかえたりしていたが長くは続かなかった。私が小学校へあがる前後のことである。
そんなことで、当時父につれられてこのあたりまで時々遊びにきていた。澱粉工場へ行く橋の下にはウナギの稚魚が生息していた。

海水と川の水が交じり合うあたりで、小魚も小さな群れをなして泳でおり、自然水族館みたいで見飽きなかった。
浜辺では昔ハマグリがとれていたが、澱粉工場ができてから採れなくなった。工場廃液のせいかもしれない。
       (→右画面が当時の澱粉工場)

上の大きい写真の下のほうには当時の村の診療所。後年、私の母はここに入院した。私も看病に通ったが不帰の人となった。つらい思い出の場所でもある。
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