話し方教室
私のスピーチ実例集(1)
スピーチをするための「原稿」は書かないほうがよい、という意見がある。なぜならスピーチをしている時は原稿に目を落とすヒマはないし、万一原稿の順序をまちがえた場合は論旨の展開に支障がでてしまい、説得力のあるスピーチから遠ざかってしまう…というのが根拠である。これは正論である。しかしやや理想論に近いともいえる。

なぜなら、話し手の話力にはかなりの差があるのが現実で、私などは頭の中で空中建築のように論旨をまとめる力がない。その現状ではやはり原稿を書き論点をわかり易くし、結論を明確にして、かつ推敲してスピーチ原稿を完成させ、それを何度もしゃべってみることで記憶に刻みつけ、最後に所定分秒内に納めるために捨てる個所を決める…という古典的な方法をとっている。

「上六話し方教室」では、文字記憶より場面記憶を!と教えてくれる。そのとおりだ。しかしまだ私は場面記憶だけでは話を展開できないので旧来の方法をとっている。

 スピーチ稿     「なぜペットは可愛がられるか?」    ひろりん


いま空前のペットブームだそうです。ペット専用の服や太り過ぎペットの為のダイエット食品まであります。旅行の時もペットを連れて行きたい、という人のために、ペットと同伴可という旅館もふえています。特に沖縄がそうで観光協会が音頭をとって「ペット連れでぜひおいで下さい!」というキャンペーンまでしております。

<時間がない時はこの部分をカットする>飛行機に乗る時は、ペットはペット専用の貨物室ほうに入れられ一緒に旅ができます。このペット専用室はエアコンと気圧調整ができるようになっています。そして沖縄の空港に着いたら、ペット同伴レンターカーが迎えに来ておりまして、面倒もなくそのままペット同伴可のリゾートホテルに泊まることができます。フロントはペット同伴者と一般とは別になっています。やや割高ですが、ビッリクするほど高くはありません。

「ペットだけを預かるホテル」もありまして、ここに預けると一日二回散歩つきで一日1500円から、だそうです。

私もまえ娘が米国に留学していた時に、卒業式の時に女房と二人で行きました。この時わが家で娘が可愛がって飼っていた愛犬も一緒に連れて行けたら娘もずいぶん喜ぶだろうなあ、と思いましたが、なかなか外国までは連れていけません。ペットは本当に家族の一員です。
それほどまでにペットは可愛いい、可愛いがられます…では何故ペットがかわいがられるのでしょうか?本気で考えたことがありますか??姿カタチが可愛いい…もちろんそれもありますが…

私は考えました。何故ペットが可愛いがられるか…
それは、ペットがモノが言えないからです。もしペットがモノが言えて、しゃべれたらどうなると思いますか?


「ここのウチの奥さんね、しょっちゅう長電話して、昼間はいつもどっかへ遊びに行ってて、旦那が出勤した後は、雨の日なんかグーグ昼寝よ、起きたと思ったらおやつパクパク食べてんの、私にはいつも同じペットフードばっかりでイヤになっちゃう!」
こんな話がしゃべれてその声が奥さんにきこえてごらんなさい、すぐたたき出されてしまいます。…ペットはモノが言えないから可愛いのです。

人間もそうですよ、この上六の教えとは逆ですが、ムダなオシャベリはせず、いつもニコニコと笑顔でいてごらんなさい。たいていは可愛いがられます。くだらんコトをしゃべるから嫌われるのです。
昔から諺にあるでしょ、「口は災いのモト…」。
私はそれを実践している人を2人知っています。あ〜あ、下手なこと言わなければ可愛がられるのになあ…、と。

そんな人はぜひ、この上六に来て、言葉の使い方を勉強してほしいと思います。

<この部分もカットする>しかしそう言えば「アラなぜ私が上六に行かなきゃいけないの!」というとがった返事が返ってきそうです。「モノ言えば唇寒し」という諺もありました。
ペットがなぜ可愛いがられるか…それは「モノが言えないから」です。

上の文章は約3分のスピーチです。これを2分半に変更する場合はどこを抜くか、内容的には軽い話題なので、どこでもぬけるが、冒頭は話をささえる部分なので省略せず、ペットホテルのところ、とラスト部分の、しかしそう言えば…の個所を省略しても、この話の論旨がくずれることはない。私はそれを省略せずに話したので時間オーバーしてしまった。

短いスピーチというのは言葉の無駄が許されないので案外むずかしい。人が対象に興味を持つのはたいてい3分なので、特別に重大な話題以外は3分内でおさめるよう訓練するのは大事なことだ。
はじめに表題を述べてから話をはじめ、最後に表題をくり返して話をとじるとスマートなスピーチになる。

話の三大障壁の「支離滅裂、しどろもどろ、尻きれトンボ」を防ぐことにもつながる。
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