話し方教室
よい人間関係を築くには (2)
東京で「上六話し方教室」土・日集中講座というのが開かれた。上六(うえろく)というのは大阪市上本町六丁目の繁華街をさす。本部は大阪だが東京や福岡などで土・日の集中講座もある。それに参加した。会社の仕事のための勉強や学生時代の教科勉強とはまったく違う講座で、「話しベタ、口ベタな人を対象にした」社会人養成講座である。面白い勉強会だった。前ペーシに「さわり」を載せたら好評だったので続きを書きます。講習を基にしているが、私なりの感想もつけ加えています。
発声の練習
人間は「言葉」という伝達手段を持っている。
これはとても素晴らしいアイテムである。猫や犬など言葉を持たないペットは感情の伝達を「しぐさ」や鳴き声で表す。これもひとつの方法であるが単純の域を出ない。人間だけが持つ複雑な感情や情報の伝達手段である「言葉」は声によって行うが、肝心の声が弱々しかったり、発音不明瞭だったりでは目的を達せない。相手にしっかり伝わるような声量と明確な発音はすべての基礎。

 ・発声練習 (各種ある。テキスト参照)
 
発声練習とは五十音を基にしたもので、発声しにくいようにわざと順を変えてある。丁寧に大きな声で何度も練習する。 
要点は3メートル先にいる人に自分の声を届けるようにする。発声テキストがない場合は自分で作る。
 (例)ア エ イ ウ エ オ ア オ
発声練習は「料理をする前に包丁を研ぐ、」ようなものである。
あがり防止法
人の前に出たら「あがる」という人は多い。ひょっとすると100%の人がそうだろう。あがったので準備したものの半分くらいしか成果を出せなかった…という反省の弁をきく。では常時人前に出るのが商売という展示販売員や巨大なプレッシャーの中で競技する選手は「あがらない」のだろうか?答えは「あがる」のである。しかし慣れによってその昂奮感を目的達成のエネルギーに転換しているのだ。

慣れると「観客が少ないと気分がのらない…」というようになる。あがり防止のキーワードは「慣れ」と「準備の周到さ」の2つに集約される。
あがり防止法−慣れ−
トリノオリンピックで世界を魅了したイナバウアーの荒川静香選手も、あれが年に2〜3回滑るのであれば大緊張しておそらくミスの連発でしょう。そうではなく彼女は厳しい練習を毎日している。その延長上に金メダルがあった。私たちも毎日人前に出てしゃべる練習を重ねれば当然慣れる。
その機会を積極的に作る。小さな会合でも司会役に指名されたらすすんで人の前に出ることで経験をつむ。

そんな小会合がない、という人は、家庭で観客がいない部屋で練習する。これはかなりハードな練習である。目線の対象を中央・左右の3ヶ所に定めて、そこへ話しかける。イメージトレーニングの実演である。ラクをして成果を得ようと思ってはいけない。

ベテラン(上達者)といわれる人は一般人よりはるかに多くの経験と失敗を重ねている。その失敗を肥やしにして上達するのである。
あがるきっかけは「会場の雰囲気にのまれてしまう…」ということがよくある。これを防ぐには「会場」を事前調査しておくとよい。
あがる最大の要因は「準備不足」によるものだが、十分に準備していれば、むしろ人前でそれを発表することにうれしさを感ずる。準備というのは話の内容だけでなく「会場のチェツク」もはいる。できれば前日にその「会場」に行って規模を確認しておく。会場を見るだけでなくステージの上にあがり歩いてみる。

演壇まで何歩であるいて行けるか、どんなマイクを使って話すのかなど確認しておく。そしてステージ係りの人にも会って会話しておくとなお良い。前日は案外ヒマなので余裕をもってチェックできる。これらはすべて本番時の余裕心につながる。精神安定にプラスになり、平常心で会議などの進行に集中できる。あがり防止に効果的だ。

こういう事前の準備を「下見」という。やろうと思えば誰でもできることだが、つい省略しがちで、これを軽視すると冒頭の失敗につながることが多い。
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