自閉症児とその家族のための歯科保健

　近年、自閉症と診断される子どもの数は増加しております。しかし、この自閉症という障害はまだまだ世間的な認知度も低く、一般のみならず医療関係者の間においても自閉症そのものに対する認識不足や誤解が蔓延しております。また、そうしたことなどをはじめ様々な理由から自閉症児を抱えるご家族の中には医療機関への通院から遠ざかってしまっている人も少なくはなく、必要でありながらも治療や予防に対する正しい情報・知識が得られない場合があります。

　自閉症児を抱えるご家族にとって子どものむし歯は重大な悩みの種の一つでもあります。むし歯は予防が出来ればそれに越したことはなく、むし歯という新たな障害を抱えることもありません。しかし現在、自閉症児のむし歯の予防などに対する情報は決して多いとは言えないのが現状です。そこでここではその情報発信源の一つになれればと思い、幼児期～学童期に重点を置きむし歯が減少している諸外国の実体を基に、普段の生活の中でどうすれば自閉症児のむし歯を防ぐことができるのかなど、またその他歯に関する悩みなどについてまとめてみました。

　しかし内容を全て読んでいただければお分かりいただけるかと思いますが、今まで皆様方が得られてきた歯科に関する知識とは全く違った側面もあります。これが全て正しいという訳ではないでしょうが日本の歯科医療に対して一石を投じる意味でも意見を述べさせてもらいました。こういう考えもあるんだなという位の感じで参考にしていただければ幸いです。