「はちまん」 春先になると畑の土手や石垣に「はちまん」というクモが巣を張ります。
私らは「はちまん」と言っていたが、正式には「コガネグモ」です。このクモは闘争性が強く、他のクモや小さい蛾などがアミにかかると白い糸を吐いてクルクルと丸く絡めてエサにしてしまいます。この動作は機敏で喧嘩早いことから戦いの闘将「八幡」のあだ名がついていたのでしょう…。
春の休日などに畑の土手などでこの「はちまん」を探して歩きます。小さなクモですが、はちまんの巣アミは中心部にX字型の「かくれ帯」という白い模様があり、その中心部に陣取っているのですぐわかります。なるべく大きな「はちまん」を小枝にとって歩きます。大きい「はちまん」を採取した子供は、周囲から、「あら、大きいはちまんやねぇ〜」と賞賛されます。もちろん本人も得意です。
その集めた「はちまん」を闘わせます。40pほどの細い棒の両端に二匹の「はちまん」を載せて、尻をつつくなどして棒の中心部で闘わせます。闘争性の強いクモですからはげしく渡り合い戦い、弱った相手をクモの糸で絡めてしまったほうが勝ちというわけです。あるいはみずから落下したのも負けです。この戦いは結構面白く、大人も見物してはやしたてるほどです。強い「はちまん」を持っていると鼻が高いのですこしでも大きな「はちまん」を探して歩いたものです。
この「はちまん」は、その後水田の防虫剤散布などのせいで姿が減ってしまい、いつの間にかすたれてしまいました。四国南部の四万十市や鹿児島県の加世田市では現在もコンテストとして存在しています。
「ゴムかん」 野山にあるアカメガシワという木は枝が同じところから左右にV字型に分かれて伸びます。そのあたりをナイフで切って、V字の先端にゴムひもをつけて弓のように引き小石などを飛ばして遊びました。ゴムかんの「かん」は操縦桿などの「桿」をさすものでしょう。これでスズメなどを撃ちましたが当たることはなく「ドキドキ感」だけが楽しかったです。
「ハゴ」 冬の子供の遊びの定番です。男の子は冬になると野山に「ハゴ」を架けに行きました。それで野鳥を獲るためです。寒くなって木の実がなくなると野鳥が地面に落ちている実などを食べる習性を利用してワナを架けます。時々シナイ(ツグミ)やチャッチャが獲れました。チャッチャというのはウグイスのことで、春の交尾期はホーホケキョと美声で鳴きますが、冬場などふだんは地味にチャツチャと鳴いています。うす茶色のスズメみたいな小鳥です。あれがウグイスとは当時まったく知りませんでした。
「クギうち」 これは五寸釘を磨いて地面に打ち込み、先に打った相手のクギをうまく倒して自分もものにする遊びです。土によく刺さるように研いだクギを(ポケットに入れて)持ち歩くのが危険とかで、のちに禁止されました。
(次は女の子の遊び) 執筆途中です。 |
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