<一秒の言葉>
「はじめまして」
この一秒ほどの短い言葉に
一生のときめきを感じることがある
「ありがとう」
この一秒ほどの言葉に
人のやさしさを知ることがある
「がんばって」
この一秒ほどの言葉で
勇気がよみがえってくることがある
「おめでとう」
この一秒ほどの言葉で
幸せにあふれることがある
「ごめんなさい」
この一秒ほどの短い言葉に
人の弱さをみることがある
「さようなら」
この一秒ほどの短い言葉が
一生の別れになるときがある
一秒に喜び、一秒に泣く。
一生懸命、一秒。
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小泉吉宏さんの詩である。
1984年、SEIKOのラジオCMで世に出て、昨年テレビCMとして生まれ変わった。
動画はこちら。
コラム「呪いの言葉と魔法の言葉」に書いたように、人の心を明るく幸せにする「言葉」も、暗く不幸にする「言葉」も、同じ言葉である。
詩の中にある「ありがとう」や「がんばって」も、「バカ」「死ね」も、同じ「一秒の言葉」。
わずか一秒で言える短い言葉であっても、ある時は「花束」となり、時には「ナイフ」ともなる。
ある小学校では、上の6つの言葉を「 (1) 」〜「 (6) 」の空欄にして、児童に考えさせたそうだ。
心が動く花束の中には、人それぞれ、いろいろな花があるだろう。
「大丈夫」、「味方だよ」、「よしよし」、「幸せだね」、「おっ、いいね」…。
「頑張る」は、「頑固に我を張る」ことだから、頑張ってはいけない。
「疲れた」はマイナスの言葉だから、口にしてはいけない。
そんな話を聞いたことがあるが、果たしてそうだろうか。
「今週も頑張った〜!」
「あ〜疲れた!」
そう言って大の字になる時の快感が、私は大好きなのだが。
「お疲れさま」
これも私にとっては、「一秒の言葉」である。
その瞬間、「ホッ」と心が温かく安らぐ。
「疲れ」に、「お」や「さま」までつける、日本人の美しい感性がうれしいね。
そんな話を妻としていたら、同じコンセプトの広告を見つけた。
以下、アリナミンのCM(動画はこちら)。
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一日にいく度となく、私たちがかわす、そのことば。
もしかしたら、「こんにちは」や「さようなら」より多いほど。
それは、相手をいたわる「おつかれさま」という日本語です。
その人の「疲れ」に「お」をつけて、「さま」までつけて。
がんばっている人への気づかい。からだへの思いやり。
一生懸命な、頼もしい「おつかれさま」がいっぱいの日本に。
(中略)
おつかれさまです。
アリナミン。
(2009/1/24)