<みんな、似たようなもの>

私たちは何かよいことをしよう、人を励ますような言葉を言ってあげようと思ってもなかなか実行できません。
一方、人に怒りを覚え、あんな奴死ねばよいなどと思っても、殺すようなことはできません。
その結果、あまりによい業も積まない代わりに、ひどい悪行も積んでいないのです。


人生が開ける禅の言葉 』(高田明和/PHP新書)P87より

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そうだよね〜、人間だもの。
安心しました。
大げさに考えすぎてた。

「良いことをしたら、良いことが起きる」
「悪いことをしたら、悪いことが起きる」
「投げかけたものは、自分に返ってくる」

よく言われる原則だが、私個人の体験によると、これはけっこう当たっていると思う。
しかもどういうわけか、私の場合「原因」の「結果」が出るのが、かなりスピーディだ。
プラスマイナスゼロのつじつまが、怖いほどきめ細かく(笑)合っていく。

自然界には、いくつかの「法則」がある。
難しい話ではなく、ビルの屋上から飛び降りれば、引力の「法則」によって全員が落ちる。
悪人だけでなく、どんな善人でも、容赦なく地面に叩きつけられる。

今一度、プラス思考を見直す」と同じ理屈で、「原因」のない「結果」はない。
あらゆる存在は、2つでワンセットなのだから。
だから今、何か好ましくないこと(または好ましいこと)が起きたのは、過去(ひょっとして未来?)に理由が存在する。

この「法則」を学び、自分の経験と照らし合わせていくと、やがて確信へとつながっていく。
私の場合は人体実験?を楽しみながらの遊び半分ではあるが、「真剣」な態度で臨んでいる。
あまりにハマり過ぎて、なんだか宗教みたいになってきている「深刻」な人たちもいる。

後者は、「良い言葉だけを使いましょう」と、金科玉条のごとく主張する。
「悪い言葉」を使うと、「悪い出来事」を引き寄せるのだそうだ。
聖書の「はじめに言葉ありき(In the beginning was the Word.)」が、よく出てくる。

しかし聖書は、「はじめに『良い』言葉ありき」なんて言ってるだろうか。
神様ほどの存在が、言葉を「良い・悪い」の単純な二者択一で裁くとは、とても思えない。
悪人にも善人にも、分け隔てなく水と空気と日の光を与えるほど、太っ腹なのに。

逆に、どう考えても善人なのに、悲惨な事故や事件で早死にすることがある。
人間レベルではとうてい理解できない、とてつもなく巨大な基準があるに違いない。
その意味で、「バチを当てる」なんて意地悪なことも、たぶんしないと思う。

私の場合は、はっきり言ってマイナス・ネガティブな言葉を使いまくりである。
特に資格試験を受けたり講演をする前など、妻にチマチマと弱音を吐く。
終わったら終わったで、グタグタと泣きごとを言う。

実は、それによってバランスが取れ、プラス・ポジティブな私が前面に押し出されるのだ。
要は、バランスでしょう。
「やじろべえの一方だけ、重くしましょう」なんて、おかしいと思わないのかな。

冒頭の言葉を読んで、私はずいぶん癒された。
善行だ悪行だと騒いでも、天から見れば、みんな似たようなものだ。
私たちはただ、悪行よりも善行を少しでも増やすようにすれば、上出来ではないか。

(2009/1/18)

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