おわら風の盆
富山県八尾町
越中富山、八尾町の「おわら風の盆」はつとに有名である。9月上旬に在京の友人グループと共にはとバスの旅でそこを訪れてみた。三日三晩町内の各班が三味線や胡弓と唄にのせて優雅な舞いをくり広げるという。人口5千人の町がこの時ばかりは20万人の見物客であふれる人気ぶりである。
町内の娘や若者が町流しで踊る… 街の道ぞいに立て提灯がともる
胡弓の艶やかな音色が流れる… 祭り広場でも踊りが披露される
収穫の喜びや恋歌を表現したもの 素朴であでやかな所作が魅了させる
最寄りの駅はJR北陸本線富山駅から高山本線で「越中八尾駅」下車。  近郊や遠方から観光バスが数えきれないほど押し寄せていた。
「風の盆というのは9月上旬の収穫期に大風が吹かないように祈願する盆踊りである。元禄の頃から踊られていたものに若柳流の振り付けが加えられ優雅になり、唄は浄瑠璃語りの指導を受けて高音の独特の節まわしになったといわれる。女性の黒帯は住民が衣装をそろえる時、全員の帯を作るのが間に合わず、どの家にもある冠婚葬祭用の黒い帯を用いたのが理由とか… 「おわら中興の祖」といわれる医師の川崎順ニが私費で文人や舞踊家を招き工夫を加えて、今日見られるような舞踊と唄が完成したものである。」  −八尾町観光資料から−

たしかに素朴な中にあでやかな美しさのある独特の踊りである。ハッピ姿の男踊りはきりりとたくましくいなせで、優雅な女踊りと絶妙な調和がある。もとは越後瞽女が奏でていたという胡弓の哀切な音色が加わり、幻想的な世界へといざなわれる…。編み笠は女衆が踊りを見られるのを恥ずかしがって手ぬぐいなどをかぶったことから編み笠になったという。踊りのテンポがゆるやかなのも緊張感があってよい。他所には見られない盆踊りである。まことに「目の正月」だった。
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