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これが話題の新刊 |
鉱脈社、¥1400 |
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このページの表題「源藤町の文豪」はもちろん私の洒落である。しかし現実に源藤町にほかにエッセイなどを書く人がいなければ文豪と呼んでもいいくらいだ。
軽妙洒脱の路線(ご本人はそうは思ってないかもしれない)で世の中の些事大事に接して軽やかな筆を走らせる「一匹猫シリーズ」の4作目を出版した。風太郎節とでも呼べるその書風は独自の戦いをすすめる候補者にも似て諦観に似たさわやかさがある。
ふだんは自転車に乗って橘橋などをわたっている庶民文豪で、まれに飲み屋のママに気にくわないことがあると投書したりする文豪である。
最新作『一匹猫のぶらり散歩』で面白かったものを紹介すると…
・「パリのマドモアゼルおばあさん」。実際の題は「パリで物
売りのおばあちゃんに、私は「お嬢さん!」と言った」 と
いう長いタイトルだが、私が勝手に短くした。
・「天璋院の幸福感」。これも実際の題は「NHKのプロデュ
ーサーが言うように天璋院はそんなに不幸だったのか」
という長題がついているが、私が勝手に省略した。文豪に
対して恐れ多いが友人のよしみで許してもらいたい。
・あといろいろある。…私もまだ全部読んでいない。
・残念なことをひとつ言えば「さし絵」がない、ということだ。
自費出版の場合「さし絵」をつけると、単価が高くなるのだ
ろう…そのぶん読者が想像をたくましくして読むしかない。 |
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これは2作目
「一匹猫の世歩き」 |
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この下欄で紹介するのは、平成14年に発刊した「一匹猫シリース゛」の2作目「一匹猫の世歩き」である。
面白いのは…
・「いつも手みやげを持ってくる奥さん」 が光っている。
日常のふるまいの要諦をしっかり見抜いて一文に仕上げ
ている。平成の徒然草のようだ。
ついでに脱線を承知で言えば、垣野氏の文体は「今昔物語」を彷彿とさせるものがある。「女の子が事務所の裏にウンコをした」などは典型だ。日常のとるに足りない出来事を簡潔な文章で読ませる、技ともいえない技はなかなかのものだ。どの巻にも共通しているのは、自身の職業遍歴である。体験談だから、その業界の裏表が個人の目線で淡々と語られている。それが宮崎市内でも有名な会社だけに驚くことが多い。 |
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