| 歯科X線撮影におけるFAQ | 
| 歯科X線撮影はデジタル撮影とフィルム撮影があります。ここで述べる歯科X線撮影の数値はデジタル撮影の場合です。フィルム撮影の場合はこの数値に2〜3倍した値となります。 | 
| 妊娠中だけど大丈夫? | 
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      歯科X線撮影は左図に示すような 局所的な被曝で、生殖腺の直接被曝はありません。 首から下の被曝は無視できるほど 小さいもので、それも防護エプロ ンの着用によって0になります つまり妊娠中でも全く問題ありません  | 
    
| 被曝線量はどれくらい? | 
| 歯科X線撮影における被曝線量は以下のように撮影法や部位により異なりますが、1枚辺りおおよそ4〜5μSv程度です。 | 
| μSv | |
| 上の前歯(デンタル) | 4.4 | 
| 上の奥歯(デンタル) | 7.2 | 
| 下の前歯(デンタル) | 3.4 | 
| 下の奥歯(デンタル) | 7.8 | 
| 大きいレントゲン(パノラマ) | 5.0 | 
| 【当院における撮影条件】 | 
| デンタル:管電圧60Kv 、管電流10mA、照射時間 0.3秒 パノラマ:管電圧80Kv 、管電流7mA、照射時間 16.0秒  | 
    
| 1) 年間自然放射線量と比べて | 
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      私たちは宇宙線や大地、空気、食物などから年間約2200μSvもの自然放射線被曝を受けています。 歯科X線撮影1枚あたりの被曝量はこれの約1/500で1日に受ける自然放射線量よりも少ない量です  | 
    
| 2) 飛行機と比べて | 
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      飛行機では地上よりも多くの宇宙線被曝を受けます。 歯科X線撮影1枚あたりの被曝量は宮崎−東京間片道分の宇宙線被曝量よりも少ない値です。  | 
    
| 3) 医科のX線撮影と比べて | 
| 歯科X線撮影(1枚)の被曝は | 頭部X線の約1/25 頭部CTの約1/500 胸部X線の約1/10 胸部CTの約1/2000  | 
      です。 | 
| 4) 原爆と比べて | 
| 原爆は爆心地で約8Sv(8,000,000μSv)以上の被爆であったと推定されています。これは歯科X線撮影1枚辺りの被曝線量の約160万倍以上に相当します。 | 
| 5) 東海村のJCO臨界事故と比べて | 
| 1999年に茨城県の東海村で起きたJCO臨界事故では、その時最も近くで作業していた作業員が17Sv(17,000,000μSv)もの被曝を受けていたと推定されています。これは歯科X線撮影1枚あたりの被曝線量の約340万倍以上に相当します。 | 
| デジタルX線の被曝線量は従来の1/10は本当? | 
| 表現としてはかなりグレーです。 国内某メーカーはデジタルのX線量に関して『従来の1/10の被曝線量』と宣伝しているため、『デジタルの被曝線量はフィルムの1/10』と解釈し、患者さんにそう説明している歯科の先生も数多くいます。 しかしここで言う『従来』とは20年以上前に主流であった3〜4世代も前のC感度フィルムのことで、現在主流の超高感度フィルムと言われるE 感度やF感度のフィルムとの比較でなければ正しい比較とは言えません。さらにCCDセンサーはフィルムより小さいものが多く、そのためフィルムでは1枚で済んだ撮影が2枚必要になることも多いので感度と臨床的被曝量が比例しているとは一概には言えません。  | 
    
| 感 度 | 撮影時間(秒) | 
| C | 1.0 | 
| D | 0.5 | 
| E | 0.25 | 
| F | 0.18 | 
| デジタル | 0.1 | 
| C→D→E→Fとなるにつれ新しい世代かつ高感度となり、 こうした事情や現在国内で流通している高感度フィルムを使って現像液の劣化状態も考慮に入れて比較すれば、デジタルX線の(被曝線量ではなく)照射線量はフィルム撮影の1/2〜1/3位というのが妥当なところです。 | 
| リスクはどれくらい? | 
| リスク | 一般的リスク | 職業上リスク | 医療のリスク (1回)  | 
    
| 1/10 | 80歳以上死亡 | 林業60〜69歳死亡 | |
| 1/100 | 0歳児死亡 | 建設業死傷 | |
| 1/1000 | タバコを吸う 歩行者死亡  | 
      建設業・運輸業死亡 | |
| 1/10000 | 16〜19歳2輪車死亡 交通事故死  | 
      電気ガス水道供給業死亡 | 胃造影撮影 | 
| 1/100000 | 自然災害死、溺死 火災死亡  | 
      ||
| 1/1000000 | 列車事故死亡 レジャー・スポーツ死亡  | 
      胸部間接撮影 頭部撮影 胸部直接撮影  | 
    |
| 1/10000000 | 通り魔殺人・落雷死亡 航空機事故死  | 
      ||
| 1/100000000 | 歯科X線撮影 | 
※ 1/1000000以下は『とるに足らないリスク』とみなされる  | 
    
| 上図に示すように歯科X線撮影における死亡リスクは航空機事故死よりも小さく、全く無視していいレベルです。日常的なことで比較すれば、交通事故死の方が歯科X線撮影の1万倍もリスクが高くなります。 | 
| 福島原発事故による放射線量の目安はどれくらい? | 
| 1.飲食物からの放射線(ヨウ素131の場合) | 
| 1) 水 300Bq/L の水 1日2L、1ヶ月間飲み続けた場合 | 
| 400μSv | 
| 2) 牛乳 300Bq/L の牛乳 1日200cc、1ヶ月間飲み続けた場合 | 
| 40μSv | 
| 3) ほうれん草 2000Bq/kg のほうれん草 1日50g、1ヶ月間食べ続けた場合 | 
| 70μSv | 
| 2.大気・大地からの放射線 | 
| 空間線量率0.1μSv/h の場所に1ヶ月間居続けた場合 | 
| 70μSv | 
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| 注) 上の早見図で歯科撮影は0.005mSvとして見て下さい | 
| 【 参 考 文 献 】 | 
    
| パノラマX線装置の自動露出機能における被曝線量測定 矢崎史郎 島田敏尚 市野澤公代 大坊元二 鈴木陽典 新井英一 歯科放射線 37巻増刊号 111頁 1997  | 
    
| 多機能パノラマX線装置における被曝線量測定 矢崎史郎 島田敏尚 吉田晃 大坊元二 鈴木陽典 奥羽大学歯学誌 25巻1号 113頁 1997  | 
    
| 多機能パノラマX線装置における被曝線量測定  −第2報 個人リスクの推定− 雪下健太郎 矢崎史郎 島田敏尚 鈴木陽典 奥羽大学歯学誌 25巻1号 111頁 1998  | 
    
| パノラマX線装置の自動露出機能における被曝線量測定 −第2報− 矢崎史郎 大坊元二 雪下健太郎 吉田晃 島田敏尚 鈴木陽典 新井英一 歯科放射線 38巻増刊号 87頁 1998  | 
    
| 歯科X線撮影における患者の個人被曝線量推定 矢崎史郎 雪下健太郎 大坊元二 鈴木陽典 奥羽大学歯学誌 25巻4号 425−429頁  | 
    
| 多機能パノラマX線装置による各種撮影法における患者の実効線量 矢崎史郎 大坊元二 歯科放射線 39巻2号 113−121頁  | 
    
| 歯科診療における放射線の管理と防護 日本歯科放射線学会・放射線防護委員会 編 医歯薬出版株式会社  | 
    
| 放射線被ばくの早見図 独立行政法人放射線医学総合研究所HP  | 
    
| 一次歯科医療に対する放射線医学基準に関するガイドライン  王立放射線医会及び国立放射線防護庁報告  | 
    
や さ き 歯 科  | 
    
| Miyazaki Conference for Promoting Community Health Activity |