心 模 様         2006年2月17日   峰響子

ヤッホーと響けよこだまたからかに 熱き想いを峰に向かいて


あの峰に向かって呼びかけよう。一心に想いを伝えよう。

こだまとなって響き、ここに帰って来て欲しい・・・あなたの声を聞かせてほしい。

元気かと便りはすぐに届いても 近くて遠いネットの往来


100K1000K離れていても、「元気ですか」「元気ですよ」行き来は一瞬で出来るのに、
声も聞こえず姿も見えず。こんなに沢山の会話を交わしながら・・・・

一瞬で行く距離は縮まることのないネットの世界で遥かかなた。


風かおりふと振り返る後ろ髪 求める姿あるはずもなく


遇いたい逢いたいと思っているからでしょうか? 後ろにいるようなそんな気がして、
ためらいながら振り返って見ますが風に乗った香りは気のせい、
心の迷いを運んできたのでしょう。

そこにあるはずも無い姿を無意識に求めているなんて! そっと目を伏せます。

夕暮れに薄い衣の月見草 月の明かりで一夜の舞台


夕暮れ時の草原にぼんやりと開く花は月見草。

夜もふけて月明かりに照らされたその花は、そよ風に揺れながらひらりひらりと、
まるで衣装をまとった踊り子のようです。

一夜限りの舞台で散っていくのでしょうか。薄い衣は悲しげです。


ほの白き素肌を映す鏡にも かくして燃やす赤い恋の火


浴室の鏡に映った白い姿は自分自身。鏡の向こうから、まっすぐに向ける眼差しの奥に、
赤い炎が映らないように目を閉じて隠してしまおう。人知れず秘めた恋心なのだから。


先急ぐ人を見送る雪の山 白きトンネル清き足跡

他に誰もいない静寂の雪山で、後ろから誰か?

風が追い越していくように通り過ぎて、後ろ姿が白銀のトンネルの中に吸い込まれていくようで
・・・いつまでも小さく見えて・・・足跡がくっきり、その足跡をたどり踏みしめて歩く光景。

まるで、頂点を目指す潔い人生行路のようで・・・。

お日様を集めて咲いた福寿草 雪に陽だまりはこんできたよ

雪の中に、お日様色の福寿草がさいていました。
春一番、雪の下から顔を出して輝いていました。

早春の空気は冷たいのに、福寿草の周りは陽だまりが出来て雪を溶かしていました。
福寿草とともに温もりがやってきたようで、心が弾みますね。
山里にも暖かい春の日が届くことでしょう。

なでながら呼べばか細く眼で応え 片手に余るきえそな命

お乳のにおう子犬を育て共に生きてきました。
片手に抱きミルクをあげたあの子犬は、両手に抱えるのも難しい程成長し、家族を守ってくれました。

いま、体は片手で持ち上がるほど軽く、なでるととがってごつごつして、
呼べばうつろに眼を向けて応えてくれます。

家族にしかなつかなかった犬なのに・・・どこへ行くというのでしょうか?

いまにも行ってしまいそうな命です

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