こだまちゃんと近所のお兄ちゃん2     前へ

 

こだまちゃんが2才のお誕生日を迎えようとしている頃です。こだまちゃんのお誕生日はクリスマスの10日前、12月はケーキとプレゼントの続く嬉しい誕生月ですが、こだまちゃんには、プレゼントよりも家族で賑やかに団らんしていることのほうが嬉しいようです。ご招待したお客様の間を行ったり来たり、お膝に乗ったり背中にもたれたり。そうして、すぐにお正月がやってきます。


ご近所のお兄ちゃんのお家は、相変わらず車が3台、自転車が1台並んでいましたが、今年のお正月は、ステキな車からステキな娘さんが降りてきました。

玄関に、お母さんがにこにこ顔でお出迎えをしています。それだけのことですが、この路地に、一足先に春がやってきた様で、明るく晴れやかな感じがしました。ご近所さんはなんだか、このお兄ちゃんの家を気にかけながら、少しは静かになった夜中の騒音に「ほっと」していました。

そしてまた、暖かい春の太陽を感じ始めた頃から、ステキな車を磨くお兄ちゃんと娘さんの姿を見かける様になりました。

そうすると、じっとして居られないこだまちゃんです。2人の間に入ってペタペタ車を触るのですが、お兄ちゃんは困った顔をしながら、こだまちゃんの手に布を持たせてくれる様になりました。無愛想なお兄ちゃんの代わりに、娘さんが一緒になって車磨きをしてくれます。こだまちゃんのお母さんは、そんな様子を見ながら、「いつもスミマセン」と挨拶を交わし、手をつないで立ち去って行きます。それからもずっと、お兄ちゃんと娘さんが、車をぴかぴかに磨き上げる日々が続きました。

ご近所さんと娘さんはすっかり顔なじみになり、通りかかった人と挨拶を交わす様になっていました。

こだまちゃんが3才のお誕生日を迎える頃には、お兄ちゃんの家には車が2台、自転車が1台並んでいました。車の騒音にうんざりすることもありましたが、ご近所さんからは「夜中にうるさい!!」と抗議の声がするものの、以前の様な緊張感はありません。時折、ステキな車でステキなカップルが尋ねてきました。そう、上のお兄ちゃんと娘さんは結婚して近所のアパートに住んでいるのです。

この頃から、お兄ちゃん達のお母さんに変化が有りました。思いがけない変化です。

       

3へ続く