母方の伯父、林武巳は、中学校や教育委員会の先生として勤めるいっぽうで、絵筆をふるう画家でした。
小さい頃伯父の家に遊びに行くと、独特の油絵の具の匂いと、焼酎の香りがただよっていたのを覚えています。
ひまな時には当時珍しかったギターをかき鳴らしたりするお洒落な伯父が、私は大好きでした。
今思うと、私は人生の色々な場面で、この伯父に助けられていました。20年前の伯父の突然の発病、
そしてあっけない死に、父とはまた違った意味での喪失感を味わいました。
伯父の作品を眺めていると、いつもおだやかに、静かに微笑んでいた生前の面影が偲ばれます。そんな遺作の
中から私の好きなものをいくつかUPしました。作品に描かれた対象は海、港、そして船が多いようです。私見ですが、
父や母と同じく山あいの村に生まれた伯父は、まだ見ぬ海の向こうの世界に、憧れを抱きつつ生きてきたのかもしれません。
余談ですが、伯父の血をひいてるはずの私は、幼少期から学齢期、そして今に至るまでへたくそな絵しか描けず、
「何を描きたいのか全然わからん」とずっと言われ続けてきました。
オンフール |
伯父は晩年、画家としての夢だったフランスの旅に出て、いくつかの作品を残しました。 オンフールはフランスのノルマンディー地方の港町です。 |
細島風景3 |
日向市の細島の港のようです。日向市は伯父の終の棲家となりました。 |
ドック2 |
これも多分、細島の工業港の風景だと思います。 |
堀川運河 |
日南市の堀川運河です。宮崎の県北部がルーツの私たち一族ですが、県南の日南には、 従姉や妻の親族が教員で務めたり、私がかつて通勤したり、そして私の娘がいま務めたりと、 浅からぬ縁と親しみを感じてます。 |
回 想 |
「回想」という表題とともに、いろいろな受け止め方があるような、心象的な作品です。 |
夜 神 楽 |
高千穂の夜神楽だろうと思います。舞手の力強い動き、生き生きとしたお囃子の音、晩秋の凛とした 空気感まで伝わってきそうで、私の最も好きな作品です。 |
自画像 |
自宅の一角のアトリエで描いたのだろうと思います。それにしても自画像って どうやって描くんでしょうね。 |
林 武巳(はやしたけみ) 1928年宮崎県諸塚村 に生まれる 宮崎大学学芸学部 美術科卒業 1951年中学校教諭 として赴任 1988年日向市立富島 中学校校長を最後に 教職退職 2000年死去72才 |
||
若い頃の伯父と、赤ん坊の私 |
※このコーナーの作品画像の転用はご遠慮ください。