“でんけん”紀行

なつかしい町並み・残したい町並み
  −−−伝統的建造物群を訪ねてみましょう

 全国を旅していると、初めての土地なのにふと懐かしい町並みに迷い込むことがあります。私たちの
祖先たちの暮らしがそこには残っています。
 旅先でそんな町並みを歩いていると、放っておいたらおそらく自然に、又は開発の波にのまれて
消え去ってしまう貴重な建物や文化を子孫たちに伝えていこうという血の滲むような地元の人たちの苦労を、
私はいつも感じます。「小京都」なんていう安っぽい言葉では表現できない、その場所独特の歴史、文化、生活を
残そうとする取り組みは、生やさしいものではないはずです。

 国(文化庁)から「伝統的建造物群保存地区」に指定された所が、111か所(71市町村)あるそうです。
全国伝統的建造物群保存地区協議会) これらの「でんけん」のうち私が旅した所を順次ご紹介します。
遠い先人たちの暮らしに思いを馳せるとともに、それぞれの地域で保存や発展に努力されている地元の
皆さんたちにエールを送りましょう。


眼にも鮮やかな赤い町並み
吹屋地区(岡山県・高梁市)


江戸時代から銅山とベンガラ(赤色顔料)で
栄えた町です。ベンガラで塗られた壁と、
中国地方特産の赤い石州瓦で葺かれた
町並みが、青空の下で映えてます。
   



江戸時代にタイムスリップ
大内宿(福島県・下郷町)


古くから会津若松と今市を結ぶ下野街道の
宿場町として栄えました。
道の両側に茅葺きの家がほぼ
等間隔に立ち並んでいます。
 


日本の機(はた)どころ
桐生新町(群馬県・桐生市)


群馬県の上毛かるたに「桐生は日本の機どころ」
とうたわれるように古くから織物業で栄えた町です。
いまも、織物関係の蔵や町屋が残っています。



船乗りたちの密集集落
宿根木(新潟・佐渡市)


「しゅくねぎ」と呼びます。中世のころから佐渡で
廻船業を営む者たちが住み着き、独特の
密集集落を作り上げました。狭い迷路の
ような道を行き来すると、当時の船乗りや
船大工たちの息遣いが感じられます。


八重山に浮かぶ水牛と珊瑚の島:
竹富島(沖縄・八重山地方)


沖縄本島からはるか西の国境に近い八重山の
竹富島は、珊瑚礁からできており、家や石垣も
風雨に強い独特の造りになっています。サトウキビ
と観光が主な産業とだそうです。水牛の引く馬車
(牛車?)にゆられて島内をめぐり、ガイドさんが弾く
「安里屋ユンタ」を聞くと、暑さを忘れてしまいます。


安芸の町人文化の町:竹原(広島)

朝ドラ「マッサン」のモデル竹鶴政孝の出身地で、今も
「竹鶴酒造」が店を構えています。平安の昔から、京都
下賀茂神社の荘園として栄えてきましたが、江戸時代には
製塩業、酒造業などで名を成した豪商たちが、華やかな
町人文化を開かせた町として知られています。


樅の木に見守られる武家屋敷:
角館(秋田)


映画「たそがれ清兵衛」で使われた
屋敷も残っています


蔵造りの小江戸:川越(埼玉)

最近ではNHKの朝ドラ「つばさ」で
有名になった蔵のある町です。 


利根川下流に栄えた水運の
商人町:佐原(千葉)


日本全国を歩き回って地図を作った
伊能忠敬の出身地です。


金沢の茶屋街:主計町(石川)

阿部サダヲ主演の映画「舞妓は〜〜ん」で、
京都の町並みとして使われた舞台です。


 

中山道の宿場町:妻籠(長野)


馬籠と並んで、江戸時代の
雰囲気を色濃く残す宿場町です。


 

うだつの町並み:美濃市(岐阜)


資産家の屋根の「うだつ」から、
「うだつが上がる(上がらない)」という
言葉が生まれました。


 合掌造りの里:
白川村荻町(岐阜)

白川郷です。この風景を見た
スエさんは、感動のあまり
しばらく息を呑んで眺めてました。
 


近江商人のふるさと:
近江八幡(滋賀)



琵琶湖の近くにあって、
静かに時が流れているような・・・
商人が育て上げた町です。


 

 石積みの門前町:
坂本(滋賀・大津市)



中世の石工集団
「穴太(あのう)衆」が
手がけた石積みが
今も残る比叡山の
門前町です。  


丹後半島の舟屋の里:伊根町(京都)
朝ドラ「ええにょぼ」で描かれた漁村です。私の好きな女優戸田菜穂さん主演のドラマでした。


京の町屋の風情を色濃く残す道:
産寧坂(京都・清水)


八坂神社・高台寺・清水寺などの
有名な神社仏閣を結ぶ坂です。


ハイカラな異人さんの町:
神戸北野地区(兵庫)


風見鶏の館、うろこの館など
数多くの洋館が残されています。

 

川面に映える町並み:倉敷美観地区(岡山) 当時小学5年生だった娘と2人で旅した町です。

 


かずら橋の山里:東祖谷(徳島)


“風もないのにゆらゆらと”と
歌われたかずら橋です。

 

筑前の城下町:秋月(福岡)

江戸時代の城下町にタイムスリップした気分に
なりました。茶店の団子・・うまかったなあ。


日向のみなと町:美々津(宮崎)

「みみつ」と呼びます。海運と漁業で古くから
にぎわった町です。美々津千軒といわれた
ほど商家が多く、明治の初めには一時
「美々津県」が置かれました。



南国情緒豊かな城下町:飫肥
(宮崎・日南市)


/戦国時代、島津氏と覇を争ったこともある
伊東家5万7千石の城下町です。


薩摩の武家屋敷:知覧(鹿児島)

古くから静かな武家屋敷があるこの町は、
太平洋戦争末期には特攻基地が置かれ
多くの若者たちが連日二度と帰らない出撃に
出ていました。

                              
BGM:家路(交響曲「新世界」より)