作品創作の環境
についてⅪ
アジサシ飛翔彫刻を考察
写真上は、クロハサミアジサシ・・北・南アメリカの川岸や沼地に生息し、
下嘴が上嘴よりも3分の1ほど長く、
水面近くを飛びながら下嘴を水中に差し込み小魚などを獲物にしています。
アメリカ文化を代表するような作品です。
さすがに長い下嘴は水面に隠れ自分の影と同化することで作品を完成させているのです。
嘴の短さに物足りなさありますが、
それほど嘴の先端に掛かる荷重ゆえむつかしいのであろう・・と考えます。
写真上は、ツバメが前進飛翔しながら水をのむ姿を表現している、
完成途中の作品です。
下嘴は、一応形となり、太めの針金で留めています。
ツバメから・・ハサミアジサシを考察
全長170㎜のツバメは、20,5gです。
対する、クロハサミアジサシは、全長400~500mm あります。
つまり容積比(倍数の3乗)では18,3倍になります。
ですから、二つを相似体で同じ材種を使用すると仮定すると、
ツバメ20,5gに対し380gがクロハサミアジサシになるのです。
ペットボトルに400mlほど水を入れて、
飲み口側を下に斜めに立てて留めることを想像してください・・
かなりの荷重が嘴に負荷となり彫刻作品として
完成させることに物理的困難さを理解できるのでないのでしょうか・・!?
写真上はジムスクランプル氏の作品です。
アメリカで開催されたサマーセミナー(1990年6月)で教わったプロカーバーです。
お世話になりながら失礼ですがモビールのようにつられたBCに感動を受けません。
吊ったり体に棒を立てて作品にすることの無粋さは感性にあいません。
細い枝と絡めてチョウゲンボウの飛翔を作品とする。
JBCA理事時代に写真のラリーバース作品を
「奇をてらう作品だ!」とある理事が語っていたのを思い出します。
実物の作品を見ることができたら、違った感想になるかもしれません。
それほどラリーの作品はシンプルで躍動感に満ちています。
躍動感は彫刻の特性でもあります。
そこには不安定さが同居します。
ですから・・
ほどよいモーメントのつり合い(重心)を求めるところに美しさがあります。
「適材適所」の素材学習はバードカービングの永遠の課題なのです。
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バードカービングKOUTAROU
gorosuke@miyazaki-catv.ne.jp