<丸暗記は悪くない>
英語学習においてどうしても避けて通れないのが、英単語の暗記だ。
魔法のように一度に何百個も記憶できる方法があればいいのだが、コツコツとボキャブラリーを積み重ねていくしかないのが実情だ。
本来なら新聞や雑誌、インターネットその他の英文を読んでいく中で少しずつ覚えていくのが理想だろうが、英検やTOEICなどの資格試験や大学入試などを目標にしている場合は、短時間でたくさんの単語を効率よく頭に叩き込まねばならない。
丸暗記やつめ込み学習は必ずしも評判がよくないが、決して無意味な方法ではない。
私の体験では、不思議なことに覚えたての英単語と、数日のうちに何かの英文の中で再会することが多かった。
そこで印象が強く残って、さらに記憶が定着するのだ。
そもそも、単語を覚えていなかったら何も起こりようがない。
「一夜漬けで丸暗記しても、試験が終わったらきれいサッパリ忘れる」という批判がある。
しかしそれは暗記法そのものよりも、その後の英語学習に対する甘さを反省すべきだろう。
暗記するのに丸も四角もない。
へ理屈ばかり言っていないで、さっそく今日から英単語暗記マラソンを始めよう。
(2000/2/27)
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<まずは耳に覚えさせる>
「英単語が覚えられない」という人を調べてみると、それ以前の問題として「正しく読むことができない」というケースがほとんどだ。
読めない単語は覚えられないし、会話という実戦の場では役に立たない。
英単語は、正しい発音とアクセントで読めなければならない。
だから単語集で覚えるときも、付属のテープかCDが必要になる。
値段が高くても、ぜひいっしょに買おう。
発音記号が読めれば、さらに都合がいい。特に若い人は、発音に妥協してはならない。
ネイティブ並みの発音をめざしてこそ、彼らの英語が聞き取れるようにもなるのだ。
英語を読むのにカタカナをふることについては、賛否両論がある。
ということは、人それぞれに合ったやり方があるということだ。
英語を読むヒントになるのだから、私は悪いとは思わない。
ただし、ある程度は正確な発音ができる人に限る。
初心者がカタカナをそのまま読んでも、本物の発音にはほど遠い場合が多いからだ。
以下に紹介するいくつかの英単語暗記法の中には、一見こじつけや語呂合わせのようなものもあるが、いずれも音を最重要視していることに注目してもらいたい。
まずは耳で覚えること。鼓膜の細胞にしみ込ませるくらいのつもりで聴こう。
(2000/2/27)
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<ごちゃまぜ暗記法>
「どうやったら英単語を覚えられるのか」と質問されることが多い。
しかし実際には、効果的な暗記法の本などいくらでも世に出回っている。
厳しい言い方だが、その中のたった1つさえ試すこともなく、奇跡のような方法を求めて安易に人に頼っているように見える。
ある先生はそのような質問に対して、「100回読んだら(書いたら)覚える」と答えるそうだ。
たしかに1つの英単語を100回もくり返しても暗記できないなら、どんな方法を用いても無駄だろう。
ひょっとすると、そんなことを尋ねている暇があったら、さっさと暗記作業に取りかかれという意味なのかもしれない。
本当にやる馬鹿正直な人(実はいちばん力をつけるタイプ)がいれば、途中で飽きないための工夫を勧める。
たとえば、マッチ棒でもトランプでもいいから、10個テーブルの上に置いて、1つの英単語を10回読むごとに1個ずつ、もう一方に移動させていく。
こうすれば進度が目に見えるので、単にくり返すよりはマシだろう。
私が実践している方法は、名づけて「ハイブリッド(雑種・混成)英単語暗記法」。
簡単に言えば、暗記法を1つだけに限らないやり方だ。
覚えたい英単語を目の前にしたときに、さまざまな暗記法の中から、いちばん覚えやすい方法を素早く選んで頭にたたき込む。
だから、ある単語は語呂合わせで暗記するし、別の単語は語源や接頭語、接尾語で覚えているといった具合だ。
たった1つの方法を、すべての英単語に無理やり当てはめようとすること自体に無理がある。
目的は英単語を暗記するということであり、その方法はどんなにごちゃまぜでもかまわないのだ。
(2000/2/27)
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<英語を感じる域に達する>
ここで大切なことは、「どんな方法で暗記した英単語でも、時間がたつと脳の中で熟成され、次に出会ったときにはイメージとして瞬時に理解できるようになる」という事実だ。
たとえば、ある単語を語呂合わせの「文」で覚えたとしても、慣れてくると毎回その文を言葉としてくり返す必要はなくなってきて、単語を見たとたんに「映像」のようなものが一瞬頭をよぎり、意味をイメージとして理解できるようになる。
そこには言葉もないし、具体的な声(音)もない。
厳密に言えば、映像さえも存在しない。
まさに「英語を感じる」レベルに達するのだ。
この状態はもちろん単語に限らず、英語の文章を読むときにも同じことがいえる。
英単語を暗記するということは、トレーニングを積んで少しでもこの「イメージ感覚」で理解できるレベルに近づけていく過程なのだ。
母国語である日本語の本を黙読するとき、一字一句頭の中に声を意識して読んでいるだろうか。
急いでナナメ読みをするときなどは、言葉のようなもの、つまりイメージが超高速で脳をよぎるという感覚になっているはずだ。
たとえそれが早口の言葉として意識されても、具体的に誰の声だとは判断できないのではないだろうか。
あくまでもそれは、「声のイメージ」としか言いようがない。
それでいて、頭ではしっかり理解できている。人間の脳の不思議なところだ。
(2000/2/27)
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<1ヶ月で1000語を覚える方法>
「1ヶ月で英単語を1000個暗記しろ」と言われたら、絶対に無理だと思うのが普通だろう。
しかし、これができるのである。
その方法を紹介しよう。
「英単語を1個、30分以内に覚えなさい」と言われたらどうだろうか?
あなたはきっと、3分もしないうちに覚えてしまうだろう。
あとの27分は、自分の好きなように使っていいのだ。
1ヶ月1000語を30日で割ると、約33語。
1日に33語覚えれば、1ヶ月で1000語になる。
私の場合は睡眠時間が7時間なので、起きている時間は17時間。
1日分のノルマ33語を17時間で割れば、約2語。
1時間にたった2語覚えれば、1ヶ月で1000語になるではないか。
つまり、「30分に1個の英単語を暗記すれば、1ヶ月で1000語覚えられる!」ということになる。
上に書いたように、実際には1語くらい3分以内で暗記できる。
集中すれば、1分もかからないはずだ。
時間に余裕のあるときは、2〜3語まとめて覚えてもいいだろう。
要は1日のノルマを確実にこなすこと。
1ヶ月に1000語とは、決して無茶な数字ではないのだ。
あらゆる成功の秘訣は、「習慣化する」ということだ。
30分にたった1語。
やる気さえあれば、誰にでもできる数字だ。
生活の中で「30分に1語」を習慣にしてペースを守れば、たった1ヶ月で1000語のボキャブラリーがあなたのものになるのだ。
そもそも、たった1ヶ月くらい継続できないで、英語をマスターしようなどというのが甘い。
1ヶ月に1000語というのは、もちろんひとつの例だ。
人によっては、500語でも300語でもかまわない。逆に、必要に迫られていれば2000語さえ可能だろう。
大切なことは、この発想法を活用して、「私には必ずできる!」と心に固く信じて、1ヶ月だけ意地でも継続することである。絶対に途中で気をゆるめないことだ。
(2000/3/11)