<2009年12月>

【ゆく歳くる歳】 12月30日(水)


今年は海沿いの温泉ホテルへ

29日、温泉泊。
30日、墓参り。
大晦日、格闘技観戦。

今年もいつものパターンで、心豊かに年越しができそう。
元旦からは、家族や親戚の新年会。
そして、いよいよ引越しだ。

このように書くと、けっこう順調のように見えるね。
でもそこはほら、中年男の人生。
舞台裏では、いくつもの苦難やピンチに見舞われた。

そのたびに、我が家の事実上の大黒柱である奥さんに救われた。
息子の笑顔と泣きべそ顔にも、ずいぶん癒された。
来年こそは、恩返しをしないとな〜。

ある年から年賀状を書かなくなって、「落書き」で挨拶するのも例年通り。
それでも縁がある人とは、ちゃんと続いていく。
今年もありがとう、来年もよろしく。

(新年早々の引越しで、しばらく更新を休みます)

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【システム&営業マン】 12月23日(水)

引越しに伴って、2社の業者さんに見積りをお願いすることになった。
どちらも引越し専門で、一方は地元で親切と評判のA社、もう一方は全国展開の有名チェーンB社。
このご時世なので、小規模なほうの売上げに協力したいところ。

当初はA社に頼もうと思っていたが、来てくれた人の感じは良かったものの、その後の対応にやや不安が残った。
具体的には、見積書が指定日に届かない、こちらの名前の書き間違え、今後の手順がまったく見えてこないなど。
そこで、軽い気持ちでB社にも電話をしたところ、あまりの対応レベルの差にガクゼンとさせられた。

営業マンの挨拶、立居振舞いから言葉づかいまで、相当鍛えられているようだ。
客の不安を一掃する、かゆいところに手が届く細かいサービスまで、感心するほどシステム化されていた。
A社より1万円ほど上乗せしたが、当日までのストレスフリーを考えれば、安くさえ感じる。

決してA社が劣るわけではないが、このサバイバルレースの今後の結果は明白に見える。
そう考えると、自分の職場の営業や顧客サービスにも、まだまだ改善の余地があるのではないか。
学校の場合であれば、生徒募集や生徒との接し方、授業の指導技術、保護者との関係などだ。

なぜかというと、クレーマーやモンスター以外の顧客の本音は、今回のように結果でしか伝わることはないのだから。
積極的に顧客の立場になって、その絶望的な差を体感しない限り、社長も社員も本気では動かない。
「カイゼン」って簡単に言うけれど、謙虚に人の意見に耳を傾け、柔軟に変えていくのは個人でも組織でも想像以上に難しい。

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【引越し】 12月22日(火)

今年もあと10日で終わるなんて、月並みだが時が過ぎるのは早い。
ほんの数日前に決まったことだが、年明け早々、一軒家に引越しをすることになった。
現マンションの最高のロケーションと、四方に広がる絶景がなくなるのは、ちょっと残念。


仕事帰りに見るシルエットともお別れ

ここでは本当に、本当にいろんなことがあった。
もう二度としないと思っていた再婚、そして予想もしなかった息子を授かった。
光と影のように、その一方では2度も死ぬ目にあって救急車で運ばれ、体も心も機能がダウン。

しみじみふり返る権利があるのは、実際は妻のほうだろうけど。
就職してすぐに結婚、翌年は妊娠生活と出産、くり返し心配と手間ばかりかけるダメ夫。
彼女には頭が上がらないし、足を向けても眠れない…一体どいういう姿勢をとればいいんだ?(笑)

引越しの理由は、離婚の理由と同じく1つだけではなく(笑)、複雑である。
簡単に言えば、家族が増えて手狭になってきたのと、災害時などの安全性を考えてのこと。
幸い理想通りの家が見つかったので(これまた妻の功績)、善は急げという流れになった。

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【情報量】 12月13日(日)

中年以降で「紅白歌合戦」を見なくなった、という人は増えてるんじゃなかろうか?
私は大晦日といえば格闘技だから、この数年間の紅白についてはまるで知らないが。
「知らない歌手ばかり出てくるから、ぜんぜん面白くない」という父と同じレベル。

昔は情報が少なかったから、流行歌(死語?)は大人から子どもまで知っていた。
だから懐メロ番組などを見ると、家族で「懐かしいね〜」って言いながら楽しめる。
世代を越えた共通言語、共通価値観があった。

しかし最近は、アーティストごとにファン層が分断されているらしい。
世代の差は埋められないにしても、同世代でさえ垣根ができかねないとか。
家族で同じテレビ番組を楽しむなんて光景は、ずいぶん減ったように思う。

ここ数年はインターネット上でも、世代や立場によって、コミュニケーションが「分断」されているような気がする。
教室に入っても、生徒はすでに欠席者とその理由、さまざまなトラブルまで、メールや当人のブログで知っている。
大学のレポートも、ほとんどネット上の文章をコピー&ペーストするだけで、本人の顔が見えてこないらしい。

「情報が無限にあるって、本当に幸せなことなんだろうか?」

ワケあって、今の私は若い頃のような幅広い活動や人づきあい、情報収集をストイックに制限している。
まあ、これもある意味コミュニケーションの「分断」なんだけど(笑)。
今まで時間とお金とエネルギーをかけて築き上げてきたものを、ゼロに戻すというのだから正気の沙汰ではない。



イメージとしては、夜逃げならぬ「世逃げ」って感じ(笑)。
昔の自分と比べたら、仕事以外は人生を半分降りて、水辺の小さな庵(いおり)で隠遁生活を送っているようなもの。
でもなぜか、情報量に反比例して、幸せ指数は上がっていくんだよね。

ことろで、今年も多くの著名人、無名人が亡くなった。
年を取るということは、知っている人が死ぬ数が増えていくということなんだなあ。
最初に老いを感じ始めたのは、甲子園出場の選手や芸能人が、年下になっていくあたりだった。

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【てげ・ひんだれた】 12月12日(土)

韓国語の会話を聞いていると、宮崎弁に似てるなあと思うことがある。
宮崎訛りの特徴は、韓国語と同じく、文節の終わりにアクセントがくること。
極端に言うと、「わたしぉ、なまえぁ、なかもぉ…」みたいな。

で、以前韓国の人と話していて(英語で)、お互いに大笑いしたことがある。
「すごく疲れた」を、宮崎弁で「てげ、ひんだれた」という。
「てげ=とても」、「ひんだれた=疲れた」である。

これがなんと、韓国語で「テゲ ヒンドゥルダ」と言うのだそうだ。
微妙な発音の差はあるが、ほとんど同じに聞こえてしまう。

これで火がついて、いろいろ調べてみた。
あるわ、あるわ。

「マッサージ30分無料」=「マッサージ、サンシップン、ムリョ」

「微妙な三角関係」=「ビミョウハン、サングア、クヮンケ」

「バッテリーがなかった」=「バッテリガ、ナガッタ(電池が切れた)」

「酸素マスク」=「サンソ、マスク」

やっぱり、太古はひとつの大陸だったのかな〜。
ちなみに「ジャージ」は男性器のことで、「モッコリ」はペンダントのことらしい(笑)。

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【人生の折り返し?】 12月11日(金)

ちょっと前のテレビ番組で、同世代(40代半ば)の歌手で役者のKさんによる、「無人島の独り暮らし」をやっていた。
見るともなしに見ていると、自分の体に数億円の保険をかけてのチャレンジという設定。
シーフードの苦手な私としては、気持ち悪くなる場面もあったが、元水球の選手だけあって、泳ぎは大したものだった。

ちょっと考えれば、カメラのこちら側には照明や音声のスタッフや、マネージャーがいることに気づく(笑)。
彼らの宿泊施設や食事のことを考えれば、ほとんどが演出ということになるのだが。
まあ、それはご愛敬として。

最後のシーンで、Kさんの日記?に、いいことが書いてあった。

40歳は人生の折り返し地点だって?
 折り返し地点なんかない。
 このまま走り続けるだけだろう!


たしかにそうですね、ご同輩。
私も息切れしない程度にがんばります。
(ところで、「頑張る」「欲張る」「威張る」って、よく似てるね…)

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【アンフェア】 12月3日(木)

劣等感に悩む相談があったとき、相手の話をじっくり聴いたあと、よく私が使うセリフがある。
「あなたって、フェアじゃないですね」
相手は一瞬、キョトンとした表情になる。

「だって、相手の得意で強い面と、自分の苦手で弱い面を比べているでしょう。
 それって、フェアプレーの精神に反してますよ。
 もしスポーツなら、反則ですよ」

「他人との比較・競争は、不幸の始まりです。
 でもどうしてもというのなら、相手の長所と自分の長所か、相手の短所と自分の短所を比べないと。
 赤ちゃんと老人の素肌の優劣を決めたり、男性と女性をで力比べをするのはおかしいでしょう?」
 
「ひょっとして他の人たちに対しても、不公平で不平等な比べ方をしてません?
 この人は自分にとって都合がいいとか、悪いとか。
 そのクセが、ついつい自分まで苦しめることにつながってませんか」

「昔の自分に戻りたい、昔はよかったというのも同じことです。
 ないものと、あるものを無理やり並べるんですから。
 ないものに向かってバットを振っても、空振りして疲れるだけですよ」

はい奥さん、わかってます。
これは自分に言い聞かせてます(笑)。

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【誕生日ありがとう】 12月2日(水)



今日で、息子が生まれてちょうど4か月(毎月2日はプチお祝い)。
身長が伸びて体重は2.5倍、足もこんなに大きくなった。
ぜんぜんじっとしていないから、微妙にブレてるけど。

母親は、毎日のように揺らしながら抱っこしている。
7キロの鉄アレイを持って、スクワットしてるようなものだ。
すでに10キロ以上も体重が減って、別人のように細くなってしまった。

私と同じ一重まぶただが、妻に似て黒目が大きくてまつ毛が長い。
肌も母親ゆずりの色白で、目鼻立ちもハッキリしてる。
親バカ承知の上だが、けっこうハンサムになりそう。

最近読んだ本の中に、「誕生日ありがとう」という言葉を見つけた。
ある母親が娘に送ったメールに書いてあったそうだ。

「生んでくれて」、「育てさせてもらって」、親子で「ありがとう」。
きっと温かい家族なんだろうな〜。

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【それはそれとして】 12月1日(火)

「ガラス玉に金魚を十ばかり入れて机の上に置いてある。
 余は痛(いたみ)をこらへながら病床からつくづくと見て居る。
 痛い事も痛いが綺麗(きれい)な事も綺麗ぢや

正岡子規の随筆「墨汁一滴」より。

最後の1行「痛い事も痛いが綺麗(きれい)な事も綺麗ぢや」で、あるセリフを思い出した。
悩める日本人青年が、旅先で初老のアメリカ人男性と知り合い、テニスに誘われる。
青年が「そんな気にはなれない」と断ると、男は微笑んで、次のように言ったのだ。

問題をかかえながらも、テニスを楽しんではならないというルールはないだろう

なかなか洒落た言い回しではないか。
日本語にも、これに似たいい言葉がある。

「それはそれ、これはこれ」
「一時的に棚上げ」
「甘いものは別腹」(笑)

人間の体の主な器官の数は、たしか300種類ほどあると聞いた。
それほど多くのものがうまくつながって、システムとして機能しているだけで奇跡的なことだ。
しかし私も含めて多くの人が、たとえば頭痛だけにとらわれ、他の299もの器官が無事であることに感謝できない。

格闘技の試合前、選手の「今までで最高の仕上がり」という発言はアテにならない。
心身ともに100パーセント完璧なコンディションで臨めることなど、まずあり得ない。
不思議なもので、「絶好調」だと調子に乗って負けて、「不調」だから無理せず闘った結果勝ったりする。

日々の生活や人生全般にも、同じようなことがいえる。
年をとればとるほど、体にも心にもガタが出始めるが、だからこそ無駄な力みが抜ける。
まずはそれを受け容れることから始めよう。

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