<2007年8月>
【月食と親孝行】 8月28日(火)
昨夜の満月は見事だった。
まさに「月明り」だ。
あれだけたくさんの星があるのに、月だけがあの大きさで浮かんでいるのが不思議。
父が珍しく「肩が凝る」と言うので、温泉と整体マッサージに連れて行く。
露天風呂から眺める空に、見事な皆既月食。
ここまで美しい月食のプロセスを肉眼で見るのは、生まれて初めてだ。
すごいよな〜、こっちの地球の影だよ?
この世に完璧なんてないけど、宇宙の秩序だけはそれに近いのでは。
気がつくと、裸の男たちがボーゼンと月を見上げていた(笑)。
月食以上に、とても素敵な光景を見た。
足の悪い年老いたお父さんを、中年の息子が温泉に連れてきていた。
肩を貸して、体を洗ってやって、父親を喜ばせようと一生懸命なのが伝わってくる。
更衣室では、自分は素っ裸のまま、父親の体を拭いている。
ちゃんと立てない父親をイスに座らせて、パンツもはかずにしゃがんで、服を着せる。
その親孝行ぶりに、思わず目頭が熱くなった。
息子は、色白で背が低く、太った男だった。
でも、私には最高にカッコよく見えた。
こんな優しい光景がたくさん見られる世の中をつくりたい。
そんな気持ちで、この活動をやっています。
プチ紳士を探せ!運動 九州支局
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【朝焼けと夕焼け】 8月23日(木)
私の起床時間は、季節によって変わる。
夏はとても早く、冬はやや遅い。
めざまし時計でなく、朝陽の光で起きるからだ。
夜は窓のカーテンを開けて、月や星を見ながら寝る。
今日の朝焼けは美しかった、最高のスタート。
読書&文筆の友、手間をかけて作るアイスコーヒーの出来もバッチリ。
労働が続いていたので、今日からが私の盆休みだ。
夕焼けも素晴らしかった。
西の空だけでなく、空全体がオレンジ色に染まった。
夕焼けがいちばん燃えるのは、実はとても短い時間だ。
その瞬間を見逃さなかった日は、それだけで幸せな一日といえる。
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【過去は過去】 8月22日(水)
昨日は、妹の引越しの荷物運び。
毎日のように、エアロビクス3時間分くらい汗をかいている。
それにしても、早く知的作業を再開したい。
今日は、最難関である写真の整理。
中学のホームステイから大学時代、新卒教師生活までの大量の写真を、大胆にセレクト。
あるわあるわ、どうでもいい写真が次々と出てくる。
ネガも含めて、思い切って処分。
数年ぶりに段ボールを開いたら、元妻との恋人時代の写真が、まだ何枚か残っていた。
二人とも若いな〜、こんなに仲がよかったんだ。
彼女の無邪気なピースサイン、ちょっと舌を出したいたずらっぽい表情。
結婚したのだから本当に愛していたけれど、過ぎ去った日々に戻ることはできない。
自業自得だと、二度と見ることのない笑顔に最後のサヨナラを言ったら、胸がチクリと痛んだ。
幸せになってほしい。
そして、娘の写真。
誕生した瞬間から、毎日のように写真やビデオを撮った頃、離婚後の面会、そして会えなくなるまで。
「パパ!」という声が聞こえてきそうな写真、1枚だって捨てられない。
悲しくて見返していなかった束の写真を、きちんとアルバムに整理。
こらえきれずに、涙をぽろぽろ流しながら、1枚1枚差し込んでいった。
心の中で、何百回も娘に謝った。
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【「かれん」売ります】 8月20日(月)
タイトルがどうかと思いますが(笑)。
「かれん」も、ようやく片づけが落ち着いてきました。
そこで、情報提供です。
(1)お菓子屋さん
(2)カフェなどの飲食店
を出したい人がもしおられたら、
自分で最初から揃えるのと比べたら、
「超格安」でそのままお譲りします。
排水、機材、空調、当然すべて揃っています。
独立を考えている方、店舗を増やしたいお店には、
絶好の条件だと思います。
「そういうことなら、早く言ってほしかった!」
ということのないように、一応お知らせしておきます。
お知り合いで心当たりの方がおられたら、教えてあげてください。
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【モノの「体脂肪」を削る】 8月19日(日)
1週間ぶりの落書き。
12(日)は高校の同窓会、13(月)はたぬきコーチと語って、15(水)は親戚でお盆の食事会。
18(土)は私の著書(拙著って言い方は好きじゃない)の読者の方とお茶、今日はカウンセラー養成講座と夏祭り。
それ以外は、基本的に朝から晩まで自宅の大整理。
店を閉じた妹が、しばらく実家に戻ることになったので、そのための空間づくりだ。
妹はもちろん、両親も私も疲れ果てた、という状態。
「今使っていないものはいらないもの」と判断して、心を鬼にして捨てまくる。
「迷ったら、迷わず捨てる」のがルール。
あれこれ考えない。
またしても本を500冊ほど、「ブックオフ」に持って行ってもらった。
去年も相当捨てたはずの所有物も、まるで体脂肪のように、いつの間にか増えている。
今回は本当に懲りた、自分はバカじゃないのかとマジで悩んだ。
今日、私は誓いを立てた。
「もう今後一切、余計なモノは持たない」
何年大事にとっておいても、結局は一度も使わずに捨てる。
それを見分けるフィルターは、この1週間で私の中にパーフェクトに形成された。
本とのつき合い方は、特にストイックに制限する。
去年も言った?
今年は本気だ!
(1)一期一会・・・二度と読み返さない。
(2)ワンブック、ワンレッスン・・・1冊から1つだけ究極の情報を得る。
(3)ワンブック、ワンアクション・・・1冊から1つだけ実行に移す。
(4)空間限定・・・1冊買うごとに1冊処分する。
(5)レバレッジメモ・・・必要な情報を抜書きしたら処分する。
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【最良の敵は良】 8月11日(土)
トム・ピーターズさんの本「ブランド人になれ!」に、次の言葉が書いてある。
「何をやるのかを決めるのは簡単。
何を“やらない”のかを決めるのが難しい」(マイケル・デル)
「エクセレンスへの道は、今すぐ、
エクセレントでないことを“すべて”やめることだ」(トム・ワトソン)
要は「一点集中」、くだらないことはやめてしまえ、ということ。
あれこれやっているうちに日が暮れる日々の私には、非常に耳が痛い。
何かをやり残して、今日も終わる。
1つのプロジェクトに没頭するには、他のことを手放す必要がある。
また、生活行動のすべてが、そのプロジェクトにつながっていなければならない。
しかし99%の人は、雑用に追われながら、凡人のまま老いていく。
スティーブン・コヴィーさんの本「7つの習慣 最優先事項」では、次のように表現している。
「最良の敵は、“良”である」
最良とは、自分の生活や人生を著しく向上させ、社会に貢献できるプロジェクト。
良とは、生活にバラエティを与えてはくれるが、人生のミッションには直接関係ないもの。
悪は、気を紛らわすだけの無駄な行動。
もちろん、最良・良・悪の内容は、人によって違う。
最良の最大の敵は「悪」だと思われがちだが、実はそうではない。
悪に対しては、誰だって気をつける。
実際には、「良」に泣かされることがほとんどだ。
悪いことでないだけに、ついつい自分に言い訳をして、許可を与えてしまう。
その結果、「良」は見事に時間とエネルギーを分散してくれる。
「最良」に集中できなかった後悔と、「良」による疲れと、自己嫌悪が残る。
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で見た、指揮者の大野和士さんが印象に残っている。
この人の生活、人生、すべて音楽につながっている。
結婚はしているのだが、奥さんがそんな夫を十分に理解していて、決して邪魔をせずに支えている。
たぶん彼は、自分のプロジェクト以外のことに、まったく気を煩わせずにすんでいると思う。
うらやましい男だ。
ああ、読書と文筆に没頭できる生活がしたい。
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【心眼で見る】 8月9日(木)
早朝からジムでトレーニング。
さすがに人が少なく、ほとんど貸切り状態だ。
上半身を中心に、ムキムキになるまで鍛える。
今日はモーニングの珈琲を、マッチョな状態で飲みたい気分だったので。
最近聞いた話から、「肉眼ではなく、心眼で見る」ということを考える。
人や物事を表面的にではなく、奥深く見つめるということ。
たとえば、花の種なんて、ただの黒い小さな粒にすぎない。
しかし土と肥料と水を与えれば、見事な花が咲くき、豊かな果実がなる。
ハナクソみたいなものだと判断するか、その先に大いなる可能性を感じ取るか。
普段の人間関係や、教育にもいえることだろう。
厳しい教師、優しい教師。
教師を、社長や管理職に置き換えてもいい。
どちらの指導が正しいか?
答は、「どちらも正しい」。
厳しい人は、人間はもともと怠惰なものだと、「性悪説」に基づいているだけ。
優しい人は、人間はもともと勤勉なものだと、「性善説」に基づいているだけ。
結果はどうなるか?
おもしろいことに、どちらもその人が「考えている通り」になる。
見事に、自分の信念通りの生徒(部下)が育ってしまう。
ここでも、「思考は現実化する」。
厳しい教師には、追い込んだら伸びる生徒が(ただし陰日向がある)。
優しい教師には、ほめたら伸びる生徒が(けなすとやる気を失う)。
厳しい教師も、優しい教師も、どちらも生徒を叱る。
しかし、その「根拠」が違う。
厳しい教師は、欠けたものを補わせようとして叱る。
優しい教師は、隠されたものを引き出そうとして叱る。
ゆえに、厳しい指導「だけ」を評価し、優しい指導を「甘い」「媚びている」と批判する人。
優しい指導「だけ」を美化して、厳しい指導に眉をひそめながら、何も言えない人。
どちらも「肉眼」で表面だけを見ており、「心眼」で本質を見抜いていない。
理屈を書いてたら、疲れた(笑)。
夕方は、レストランのサラダバーで野菜をタップリとる。
夜はまたジムに行って、ボクササイズ。
今日の最後は、温泉とマッサージでシメる。
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【少し長い遺書】 8月8日(水)
深夜にずぶぬれでジョギングから戻って、DVD「二人日和」を見る。
予想通り地味な映画だったが、年老いた夫婦を「珈琲」がつないでいる場面が気になって見た。
夫は妻のために、毎日ペットボトルを持って水を汲みに出かけ、サイフォンで珈琲をいれる。
それだけで、この映画はオッケーなのだ。
モーニングを食べると、書店をいくつか回って、いつものお寺の前を通る。
いつも楽しみにしている、今月の言葉。
「死ぬとは その時まで 生きること」
今回は禅の「公安(修行者が考察する問題)」っぽい。
何を見て取るかは、その人の「気づき」にかかっている。
例を1つ。
和尚「朝食を食べたか?」
坊主「はい、食べました」
和尚「では、茶碗を洗いなさい」
どうだろうか。
私は「今やるべきこと、当たり前のことをやるのが、成功の秘訣」だと受け取ったが。
きれいなトイレが好きと言いながら、トイレ掃除は嫌いだと言う。
英会話ができるようになりたいと言いながら、毎日練習するのはイヤだと言う。
やせたいと言いながら、運動するのはおっくうだと言う。
そんな愚かさを、戒めてもいるようだ。
「死ぬとは その時まで 生きること」
このホームページも、一体何のために書いているのか。
自分を表現すれば、批判めいたメールがくることもある。
感想を掲示版にコメントしてくれるありがたい人は、わずか2〜3人。
今までのものを全部消して、新しくスタートしたい欲望にかられる時もある。
遺書。
そうだな、これは少し長い、娘や愛する人、家族や仲間たちへの「遺書」かもしれない。
頭の中にある1000分の1も書けていないが、「その時まで生きる=書き続ける」だけだ。
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【なぜ、品格なのか?】 8月7日(火)
深夜まで起きていたのに、朝5時半に目が覚めて、さっそく露天風呂へ。
さすがに誰もいなかったので、貸切り状態でゴキゲン。
霧島のお湯は、なぜか私に合う。
ホテルのロビーに、まだ七夕の笹が残っていた。
その中に、「ケーキやさんになれますように」という、女の子の短冊があった。
まだ小さかった頃の、妹を思い出した。
夕方、書店に行って思ったこと。
ちょっと前まで、「○○な人、××な人」といったタイトルの本が書店に並んだ。
「またこのパターンか」と思うくらい。
1冊ヒットしたら、必ず似たようなタイトルや装丁の本が登場する。
たとえば「金持ち父さん、貧乏父さん」なら、その間にすべての人が含まれる。
だから自分にも関係があると思って買ってしまう、という心理戦略はよく知られている。
しかし実際には、「二匹目のドジョウ」狙いであることは想像に難くない。
最近、ウンザリするほど出てきたのが「〜の品格」。
これは明らかに、ベストセラーとなった藤原正彦氏の「国家の品格」の模倣であろう。
Amazon.comでキーワード「品格」を検索したら、ほとんどが「国家の品格」が出版された2005年以降のもの。
そんなやり方に、果たして「品格」があるのだろうか?
もう1つは、特に新書で「なぜ、〜なのか?」のパターン。
言うまでもなく、山田真哉氏の「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」効果への下心である。
これもAmazon.comで「なぜ」と検索すると、思わず笑ってしまう。
もちろん、「さおだけ屋〜」以降のものだらけだ。
「どうでもいいじゃない、内容がおもしろければ、そこまでこだわらなくても」
「人の真似が嫌なら、読まなければいいのに」
「悔しかったら、あなたもベストセラーを出してみたら?」
おっしゃる通り。
なのだが、同じく文章を書いて出版している者としては、どうしてもひっかかる。
少なくとも、自分は絶対やりたくない行為だ。
ドライブ旅行の連続で、少し疲れがたまってきているのを感じる。
それでも夜10時から、外を10km走る。
本当は新記録の20kmに挑戦しようと思ったのだが、足がもたなかった上に、大雨に降られて断念。
こんなことで、ハーフマラソンやマラソンなど走れるのだろうか?
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【贅沢のススメ】 8月6日(月)
喫茶店でモーニングのあと、車で霧島温泉へと向かう。
今日は完全オフ。
霧島ロイヤルホテルに泊まって、ただひたすらゆるむのみ。
露天風呂につかり、鹿児島の黒豚しゃぶしゃぶに舌鼓を打つ。
こういう時には、ダイエットのことは気にしない。
お金の出し惜しみもしない。
大金持ちでなくても、たまの贅沢くらいは思い切りできる程度でありたい。
億万長者になったら、寄付はもちろんのこと、遊びにもどんどんお金を使うつもりだ。
貯め込んでいたら、社会で働いている人たちの仕事が減ってしまうから。
お金を回すことの意味は、アメリカの大富豪あたり、よくわかっている。
節約は大切なことだが、ケチケチしている人は好きではない。
本を立ち読みですませたり、友人が何か企画しているのに、気持ちよく出してやらなかったり。
そのスタイル自体が、自分は貧乏であると暗示をかけることになる。
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【1粒でレモン100個分?】 8月5日(日)
一日、産業カウンセラー養成講座。
夕方からジム、そして温泉と食事でくつろぐ。
ジムで、エアロビクス専門で運動生理学者のスタッフに質問。
日頃から疑問を持っていたことだ。
(1)流行りのゲルマニウム温浴に、「15分でエアロビクス2時間分の運動量」とあるが、本当か?
(2)キャンディーや清涼飲料水で、「1粒でレモン100個分のビタミンC」とあるが、本当か?
(3)スポーツドリンクで、「ノンカロリー」「シュガーレス」とあるが、本当か?
(4)エステで腹の脂肪をもんでもらうだけで脂肪が取れるというのは、本当か?
答えは、全部「あり得ない!」
やっぱりね〜。
ただし、タネ明かしはあるそうだ。
(1)脂肪が2時間分温まるかもしれないが(笑)、燃焼はしない。
(2)人工の食品添加物を化合することによって、表記上最低の数値は書ける。
(3)糖分何パーセントかまでは、「ノンカロリー」「シュガーレス」の表記が許可されている。
(4)一次的な脂肪「移動」はあるが、すぐ元に戻る。
自分で体は動かさずに脂肪を取ってくれ、健康にしてくれといういやしい気持ちがこれらに走らせる。
私にも質問してほしい、「聞き流すだけで英語ペラペラとあるが、本当か?」
そんなわけねーだろ!
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【父と二人旅 その3】 8月4日(土)
旅行中もトレーニング用のゴムチューブを携帯して、体を鍛えることだけは欠かしていない。
大学の先輩である角田信朗さんが、46歳にもなって20代以上の鍛錬をしている理由を、次のように述べていた。
「自分が自分であるために」
私も似たようなものだが、1つつけ加えるなら、
「体がシェイプアップしてあることが、すべての前提」
風呂に入ったり、歯を磨いたりすることと同じレベルで考えたい。
モーニングで入った喫茶店のコーヒーに、珈琲豆が1つ入っていた。
ウェイターが「食べられますから、どうぞ」と一言。
これはオシャレ、私がつくる喫茶店「シェリー」でもやろう。
必ず実現させるから、覚えておいてください。
今日は父の希望で、九州国立博物館で数時間過ごす。
2万5千年前の「矢じり」など見ていると、悠久のロマンを感じる。
伊能忠敬の日本地図もあって、50歳を過ぎてから国中を歩いて作ったエネルギーに畏敬の念を感じる。
帰りの高速のパーキングエリアで、アイスコーヒーを飲む。
いれたてのホットを氷で急速に冷やしてくれて、美味しかった。
アイスティーも同じだが、喫茶店なのに冷蔵庫に作り置きしたり、業務用を使ったりするのは信じられない。
自分たちでやるときは、絶対にそんなことはしない(これも覚えておいて)。
ヘトヘトになって自宅に帰って、ソファで寝てしまった。
ところが父は、もう庭仕事。
私よりタフな父の携帯の着信音は、「スーパーマン」のテーマだ。
中学校を校長で退職した父(72歳)のことを、「お父さんは今、何をやっておられるの?」と聞かれることがある。
あまりに多方面で活動していて、うまく答えられないので、本人に肩書きをリストアップしてもらった。
なんと、全部で20もあった(笑)。
夜は、大淀川の河畔で納涼花火大会。
花火には寂しい思い出が重なるので、ずっと苦手だったが、最近ようやく楽しめるようになった。
桜を見てそう思う人がいるように、私は花火に「あと何回見ることができるのだろう」と、人生の無常を感じる。
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【父と二人旅 その2】 8月3日(金)
台風は夜のうちに過ぎ去っていた。
別荘を出て、直方市にある叔母の家へ。
彼女の夫も億万長者で、かなりユニークな人。
40歳までは建築関係で死に物狂いで働き、大金を手にする。
母親の死を看取りながら、人生後半は「働かない」ことを決意。
叔母と結婚し、大好きな釣りを楽しみながら、日本全国を旅している。
前回会ったときに億万長者になる秘訣を聞くと、
「カネを稼いで体を壊すよりも、畑を作って自給自足しろ」
今回は手製の釣竿をいじりながら、ひとりごとのような助言。
「考えたらいかん、男は行動あるのみや」
ブルース・リーの「考えるな、感じるんだ!(Don't think. Feel!)」風に言うと、
「考えるな、行動するんだ!(Don't think. Take action!)」といったところか。
福岡市まで車を走らせ、別荘を提供してくれた叔父が先日購入したビルを訪問。
3億円弱で買ったそうだが、県庁の横に位置する7階建てのビルで、オフィスはもちろん最上階。
テナントで入っている企業も一流どころばかりで、車は白塗りのベンツ、典型的な成功者だ。
父と私は、「スゴイね〜」とか言いながら、超庶民的に一蘭に行ってラーメンをすすった。
満腹になると、BOOK OFFで本を見るというエコノミーライフ(笑)。
しかも今日の宿泊は、駅の横にあるビジネスホテルだ。
夕方、父の弟2人が経営する、写真関係の会社訪問。
ここもスゴくて、九州国立博物館をはじめ、メジャーな写真はほとんど彼らがやっているそうだ。
夜は親戚一同が集まってくれて、料亭で盛大な食事会。
あのマッチ箱のような家から、こんなに大きな一族へと発展したのだ。
叔父たちから、父が長男としてどれだけ頑張ったか、涙ながらに聞かされて感慨深かった。
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【父と二人旅 その1】 8月2日(木)
台風だというのに、多忙な父のスケジュールがここしか空かず、朝早く車で出発。
九州各地に住む、父の兄弟姉妹を訪ねて回る旅だ。
大学教授をはじめとして、アカデミック系な母方の親戚。
それに対して父方は、起業して億万長者など、個性爆発の顔ぶればかり。
その両方の血を引き継いだ私が、わけのわからない存在となっているわけだ。
まずは宮崎県北の延岡市。
58年前、11歳だった父が戦後満州から引き揚げてきて住んだ家が、まだ残っていた。
街外れの小道を入ると、映画「三丁目の夕日」も真っ青の小さな住宅地?が。
6畳と2畳だけのマッチ箱みたいな家に、なんと家族6人で生活していたそうだ。
肉体労働のアルバイトをしながら家計を支え、苦学して大学に入った、父の原点の場所。
大分県で暴風雨の高速道路を突っ走り、湯布院へ。
従兄弟がやっているアクセサリーの店に立ち寄る。
銀のオリジナル手製で、先日某大手デパートから専属契約の申し出があったアーティスト。
湯布院では、自宅もアパートも普通のお風呂ではなく、「温泉」なのだそうだ。
大阪では自宅にたこ焼き器があって、「今日の夕食はたこ焼き」と言われた時くらいのインパクト。
しかも水道はきれいな「湧き水」で、お金もかからないし、「もう都会には住めない」と言っていた。
ちなみに彼の父親は、通販のカリスマ経営コンサルタント。
天ヶ瀬に温泉付きの別荘を持っているので、そちらに移動して焼肉を食べながら談笑。
台風の中で入る露天風呂は、なかなか迫力があってよかった。
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【直接語る】 8月1日(水)
ニュートリノでノーベル賞を受賞した、小柴昌俊さんのインタビュー番組を見た。
最後に、アップでカメラに向かって話す場面。
「ただ1つね、あなたがた1人1人ね、
自分が本当にやりたいんだと、
おれはこれをやりたいんだというものを、
見つけるように、努力しなさい。
自分がね、本当にやりたいことを見つけたら、
もう、心配はいりません(ここで笑顔)」
「やりたいことを見つけろ」、特に何ということもない、ありふれた言葉だ。
しかしこのシンプルなメッセージに、衝撃的なインパクト受けた。
小柴さんの人間力はもちろんだが、画面越しとはいえ、直接語りかけられるところに理由がありそうだ。
ある起業家がサラリーマン時代、著名な経営者に独立すべきかどうか相談した。
「今の仕事が好きじゃないなら、今すぐやめなさい」
誰でも言えそうな、何のひねりもない、単純なアドバイスだ。
ところがその人は、その場で「明日、辞表を提出します」と宣言してしまったのである。
成功者の言う「秘訣」は、いつも拍子抜けするほどシンプルだ。
だが直接目を見て語られると、100冊の本の100倍はインパクトを受ける。
ダイレクトに言われる1つのアドバイスは、100の「いい言葉コレクション」に勝る。