<2005年11月>
【「決める」というレベル】 2005/11/30
>今後は絶対に悩まないと「決めて」みてはどうだろうか。(11/23)
私の文体でアッサリ書いてしまったので、迫力が伝わらなかったかもしれない。
「決める」ことの力について、ジェームス・スキナーさんのセミナーで思い知らされた体験を追記する。
自分が今後の生活や人生から排除したいものを、紙にリストアップする。
そして参加者全員で、「私はもう二度と○○しない!」と叫び、自分自身に宣言するのだ。
ロッキーのテーマ「Eye of the Tiger」がガンガン流れ、暗い会場はカラフルなライトとスモークで、ロックコンサート状態。
ジェームスさんが鬼のような形相で、マイクで叫び続ける。
「大声を出せ!一貫性を持って!厳しくやれ!低い基準で妥協するな!決断しろ!やるんだ!言い訳はもうするな!激しい怒りをもって!絶対納得しない!もう我慢できない!許さない!パワフルに!エネルギーを出せ!体を動かせ!これは自分の姿ではない!」
新興宗教のような光景に引いてしまい、将来自分がセミナーをやるときのためにジェームスさんの言葉をメモしていた私だ(笑)。
ここまで極端に感情をむき出しにして口にするのは、このまま自分が変わらないことによって将来自分が引き受けなければならない大きな痛みを、今連想して感じるテクニックなのだ。
「禁煙なんて簡単だ。オレはもう100回くらいやったよ」というジョークがあるが、「決める」と「決断する(=決めて断ち切る)」の間には、大きな差がある。
「口だけ」ではなく、「表情」も「体」も「感情」も総動員で決断する。
フツーに恥ずかしいので、山奥か河原にでも行って、車の中で一人ドタバタやってみるとか(笑)。
一生に一度、休日の1時間くらいつぶしても、十分に見返りのある活動ではある。
いつまでも同じことをくり返すよりはマシだろう。
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【二極化は当たり前】 2005/11/29
「こうすれば儲かる!ひとり勝ちのマーケティング」(きこ書房)の著者、経営コンサルタントのブライアン・シャー氏。
かつて「ヴィジョン・ビジネス・ブック・サマリー」という、15分で読めて役に立つ雑誌を創刊し、定期購読を募ったときのこと。
申込者のリストを見て、彼の予想は見事に裏切られた。
「苦しんでいるクライアントこそ購読すると思っていたのに、まったく正反対で、もう自力で大丈夫なクライアントだけが申込みをしてきた。その情報が本当に必要なはずのクライアントは、1人も購読しようとしなかったのである」
「あのとき私は気づいた。「成功する人」を作ることはできない。できるのは、自力でも成功する人を、より大きく成功するように手助けすることだけだ」
私も文武企画や達人セミナーでまったく同じことを実感したので、ずっと印象に残っている
やる人は身銭を切ってでもトコトンやるし、やらない人は無料であっても結局はやらない。
「勝ち組・負け組」といった二極化が起こるのは、当然のことだろう。
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【紙に書いたのだから】 2005/11/28
世界的ベストセラー「こころのチキンスープ」シリーズの共著者、マーク・ビクター・ハンセン氏は、講演家としても有名である。
彼が破産して一文無しになった年、次のような目標を紙に書いた。
「私は必ず自分のテレビ番組を持つ」
その9年後、テレビ局のディレクターから、「あなたの番組を作りたい」と電話があった。
「この電話を待っていました」
「なぜ私が電話するとわかったのですか?」
「9年前に、そうなると私が紙に書いたからです」
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【元気をもらうだけか】 2005/11/27
仕事で人権・同和の大会に出席して、そこでの議論にいろいろと考えさせられた。
差別を受けてきた人生の憤りや悲しみを語る、少数派の人々のやり場のない気持ちが、今までになく伝わってきたのだ。
理由を考えたら、私自身が権利を奪われた父親になったからだとわかった。
一般の人が、「差別に負けずに頑張って生きる人たちに、元気をもらいました」と明るく発言した。
それに対して、被差別者側から怒りの反論が出た。
「弱い立場の者から元気をもらったと言って、自分は何の行動も起こそうとしない。それでいいのか」
私が覚悟を決めて公開した「娘への手紙」を読んで、「感動しました」「涙が出ました」「頑張ってください」と、数多くのメールをもらった。
しかし、具体的な行動を起こすという意味においては、まったく別問題だった。
「きっと愛情は伝わりますよ」と楽天的に慰められながら、独りで苦笑いしていた時期を思い出す。
しかし、同じく差別を受けてきた側の一人が言った。
「それでもいい。本当の心の痛みは、経験した人にしかわからない。そうでない人が私たちの運動に関心を寄せて、変わってくれるだけでも意味がある」
そう信じていたい。
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【アドバイス】 2005/11/26
夫が交通事故で植物状態になり、車ではねた相手は覚せい剤の前科者で、住所不定で訴訟も起こせない。
本当にひどい状態で、楽しいことなど何もない、神も仏もない、つらくて悲しくてしょうがない。
これからどうやって生きていけばいいのか、アドバイスをください。
そんな相談を受けた、小林正観さん。
その女性に向けて手を合わせて、次のように言った。
↓一応考えてみてから、ドラッグして読んでください。
「ありがとうございます」
「うれしい、楽しい、幸せ、大好き、愛してる、ありがとう、ついてる」といった肯定的な言葉を口ぐせにしていると、その数だけそのような現象が起きることは、すでに実証していた。
しかし、否定的な言葉を言い続けたらどうなるのかは、まだ確認できていなかった。
それで、「代わりにやってくださって、ありがとうございます」というわけだ。
続けて、「では聞きますが、高齢者の4人に1人は認知症という今、あなたのお母さんはボケていますか?」
聞いてみると彼女の母親は元気で、子どもは成績優秀の特待生、夫はまだ生きているのに保険金が全額おりて、働かなくても生活費も医療費もすべてまかなえる。
「世の中には、同じような状態になってしまった人を抱えている人は少なくありません。その中で、あなたはメチャクチャに恵まれているほうだと思います」
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【ワンレッスン】 2005/11/25
「ワンセミナー、ワンレッスン」
これが、成功者のセミナー参加における心得の秘訣だそうだ。
1つのセミナーで、仕事や生活に1つだけ変化を起こすために出かける。
講演会マニアは、「いい話だった」と言いながら、内容をほとんど覚えていない。
セミナーおたくは、新しい情報を集めることに夢中で、何も実行に移さない。
「ワンブック、ワンレッスン」「ワンムービー、ワンレッスン」、心がけたいことだ。
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【何が変わった?】 2005/11/24
「○○という本を読んだよ」
「どうだった?」
これは、評論家の質問。
「○○という本を読んだよ」
「それで、何が変わった?」
これが、実践家の質問。
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【絶対に悩まない】 2005/11/23
フランクリン・ルーズベルト大統領は、1929年に勃発した世界大恐慌を、アメリカに乗り越えさせた。
まず彼自身が「私は絶対に恐れない!」と決心して、ニューディール政策を打ち出した。
そのことで国民の中に、最悪の事態を覚悟して恐れない気持ちが固まってきたという。
「悩みに対する戦略を知らない者は若死にする」(アレクシス・カレル/ノーベル医学賞)
その戦略のひとつとして、今後は絶対に悩まないと「決めて」みてはどうだろうか。
もう自分は決めたんだ、と。
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【困ったとは言わない】 2005/11/22
幕末の長州藩の志士・高杉晋作は、
「男子は決して「困った」という言葉を吐くものではない」
と語ったという。
たしかに「困った」と口にしないかぎり、「困ったこと」は起きていないことになる。
「なんとかなる」と言ってしまえば、他人がどう評価しようが、言葉どおりになるものだ。
「これからは絶対○○とは言わない!」と決めてしまうと、その後の展開はガラリと変わる。
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【占い師】 2005/11/21
街角に評判の占い師がいた
人々はことあるごとに占い師をたずねて
未来をかけた
ある人は恋を占ってもらい幸運を手にした
ある人は進路を占ってもらい首を横に振られた
ある時
占い師は忽然と姿を消した
頼りにしていた人々は慌てふためいた
私が姿を消したらこの箱の中を見るように
という占い師の言葉を誰かが思い出した
箱の中には小さな紙切れが残されていて
こう書いてあった
私は、微笑む人には、幸運を
悲しい顔の人にはツキの無さを語っただけだよ
占い師はおまえ達だったのさ
(板垣真理子/写真家)
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【通信簿】 2005/11/20
わが子よ、通信簿に記載された評価が思わしくないからと、
涙を流すことをやめよ。
父は信じている。
おまえは、これまで一円の金もごまかしたことがなかったことを。
友達の約束はいつも果たしてきたことを。
そして幼いものを可愛がり、弱いものをいたわってきたことを。
潔白と信義と親切とは、人間として生きていくための至上のものだ。
それなのに、おまえの通信簿のどこに
そんなことが記載されているのだ。
わが子よ涙を流すことをやめよ。
おまえの父と母とが目指している、
もっともっと大きな通信簿に向かって歩いていこうではないか。
(東井義雄/僧侶・教育者)
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【たぬきコーチ講演会】 2005/11/19
たぬきコーチこと、古賀弘徳さんの講演会。
タイトルは「コーチング〜未来に向かってやる気を出すコミュニケーションの技術」。
さすがに喋りもパフォーマンスも上手く、600人を上回る聴衆がうなづきながらメモをとっていた。
「やる気」を空気の入った風船にたとえ、両側から手で圧力をかけて、一方的な指示命令をイメージさせる。
風船の空気はなすがままの形に変わって(指示待ち族)、楽な方向に逃げたり(不良化)、最後は破裂する(キレる)。
子どもを「近頃の若い者」にしてしまったのは、「言うことを聞け」と教育してきた大人たちだったのかもしれない。
風船をふくらますには、空気を暖めるか、圧力を下げるしかない。
では、実際のコミュニケーションの場ではどうすればいいのか?
その具体的な技術が、コーチングを学ぶことによって使えるようになる。
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【どうしても】 2005/11/18
ジェームス・スキナーさんのセミナーで、「どうしても」という言葉が出たら全員で大笑いするというルールがあった。
つい「どうしてもできなくて」などと口にしようものなら、会場中大爆笑のあと「何百種類の方法を試してみたの?」と聞かれるはめになる。
たしかに、たかが数回のアプローチであきらめてしまうことは多い。
世界的ベストセラー「かもめのジョナサン」は、出版に至るまでに20社から断られた。
ケンタッキー・フライドチキンのカーネル・サンダースは、定年後の65歳に年金生活を捨て、レシピを持って1000社以上を訪問した。
成功者は、「どうしても」という言葉の基準が違うというわけだ。
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【水槽の魚】 2005/11/17
水槽に透明の見えない仕切りを入れて、エサを向こう側に置いて取れなくしたら、魚はそのうち行こうとしなくなる。
そこで仕切りを外すと、最初からあきらめてしまっているので、食べられるのに行かない。
本当はやれるのに、できないと思い込んでしまっていて、やらないということはないだろうか。
と、ここまでは自己啓発系でよくある話だ。
そういう時はどうすればいいか。
「海の魚を2〜3匹入れてやればいいんです。それらが自由に取りに行くのを見て、慌てて取りに行くようになりますよ」
アテネオリンピックの、シンクロナイズド・スイミング監督の話。
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【変えられるものと変えられないもの】 2005/11/16
変えられないものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変える勇気と
その両者を見分ける英知を我に与え給え。
God
grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can,
and the wisdom to distinguish the one from the other.
(ラインホルド・ニーバー/神学者)
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【あなたの中の最良のものを】 2005/11/15
人は不合理、非論理、利己的です。
気にすることなく、人を愛しなさい。
あなたが善を行うと、利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう。
気にすることなく、善を行いなさい。
目的を達しようとするとき、邪魔立てする人に出会うでしょう。
気にすることなく、やり遂げなさい。
善い行ないをしても、おそらく次の日には忘れられるでしょう。
気にすることなく、し続けなさい。
あなたの正直さと誠実さとが、あなたを傷つけるでしょう。
気にすることなく正直で、誠実であり続けなさい。
あなたが作り上げたものが、壊されるでしょう。
気にすることなく、作り続けなさい。
助けた相手から、恩知らずの仕打ちを受けるでしょう。
気にすることなく、助け続けなさい。
(マザー・テレサ)
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【たまには山に登る】 2005/11/14
高校時代に清武町の双石山(宮崎)に登って、自分の住んでいる町を見下ろしながら「あんな狭い世界で悩んだりしてたのか」と思ったことがある。
そのときは「これからは大きな生き方をしよう」と決心するのだが、また普通の生活に戻ると、小さなことでくよくよしてしまうのだった。
大学時代にエアーズロック(オーストラリア)の頂上に立って、360度の地平線を一望して帰国したあとさえも、勢いがいいのは最初だけだった。
それでまた山に登って…ということをくり返しながら、今までなんとかやってきた。
ここでいう「山」というのは、旅であったり、人だったり、本や映画なども含まれるのだが。
昨夜また正観さんの講演を聞いて、やはり未熟な人間には定期的な「山登り」が必要だとつくづく実感した。
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【スペルバインダー】 2005/11/13
もうすっかり常連になってしまった、小林正観さんの講演会に行く。
本を読めば話のエッセンスはつかめるのだが、正観さんの肉声で聞くと肚にストンと落ちるのだ。
淡々とした語り口ながら、まさにSpellbinder(言葉の魔術師)だと今回も脱帽だった。
私が啓発されたスペルバインダーは、正観さんの他に斉藤一人さん、ジェームス・スキナーさん。
まだ会っていないが松浦英行さん、中谷彰宏さん、神田昌典さんなども好きだ。
情報のメッセンジャーというか、パイプ役としてはかなり優れた人たちだと思っている。
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【与えられたもの】 2005/11/12
大きなことを成し遂げるために力を与えて欲しいと神に求めたのに、
謙遜を学ぶようにと、弱さを授かった。
より偉大なことができるようにと健康を求めたのに、
より良きことができるようにと、病弱を与えられた。
幸せになろうとして富を求めたのに、
賢明であるように、貧困を授かった。
世の人々の賞賛を得ようとして成功を求めたのに、
得意にならぬようにと、失敗を授かった。
人生を享受しようと、あらゆるものを求めたのに、
あらゆることを喜べるようにと、生命を授かった。
求めたものは一つとして与えられなかったが、
願いはすべて聞き届けられた。
神の意にそわぬ者であるにもかかわらず、
心の中で言い表せないものは、すべて叶えられた。
私はあらゆる人の中で、最も豊かに祝福されたのだ。
(ニューヨーク大学のリハビリセンター病院の壁に書き残された言葉)
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【つもり十か条】 2005/11/11
高いつもりで 低いのが 教養
低いつもりで 高いのが 気位
深いつもりで 浅いのが 知識
浅いつもりで 深いのが 欲望
厚いつもりで 薄いのが 人情
薄いつもりで 厚いのが 面の皮
強いつもりで 弱いのが 根性
弱いつもりで 強いのが 自我
多いつもりで 少ないのが 分別
少ないつもりで 多いのが 無駄
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【自然現象】 2005/11/10
ある人が、アインシュタインに聞いた。
「どうして人は喜んだり、怒ったり、悲しんだりするのでしょう?」
アインシュタインは答えた。
「人間の体の70%は、水でできている。その水は食塩水で、いわば海を体の中に持っているようなものだ。海であれば、さざ波があり、嵐があり、引き潮があるのは当然ではないか」
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【合掌】 2005/11/9
昨年担任をしていた男子生徒の母親が、ガンで亡くなったと知らされる。
闘病生活の間、お見舞いに行ったりもしたが、出張中でお通夜にも葬儀にも出られなかった。
心からご冥福を祈ります。
A、がんばれ。
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【人生の方程式】 2005/11/8
人生の方程式は<人生=能力×情熱×考え方>である、という話を聞いた。
同じ能力と情熱を持っているAさんとBさんなのに、Aさんだけがツキまくり、Bさんは挫折と失敗をくり返す。
それは、計算式が次のようになっているからだそうだ。
Aさん 能力(10)×情熱(10)×考え方(10)=1,000
Bさん 能力(10)×情熱(10)×考え方(−10)=−1,000
能力と情熱は「多いか少ないか」だから、最低でも「ゼロ」である。
ところが考え方には「プラス思考とマイナス思考」があるから、計算式の最後で一気にひっくり返ってしまうのだ。
ポイントは、両者の結果の差が1,000ではなく、2,000に加速してしまうということ。
逆に、能力が低くても、考え方ひとつで成功できるというわけだ。
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【3つの坂】 2005/11/7
人生には、3つの「坂」があるという。
上り坂、下り坂、そして「まさか」。
なんかオジサンが好んでスピーチに使いそうな話だが、たしかにこの「まさか」は多い。
もうひとつ、たしかプロ野球の清原選手が言っていたと思うのだが。
人生には、3つの「場」がある。
「土壇場、修羅場、正念場」。
修羅場は多かったなあ(笑)。
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【本当の友人】 2005/11/6
かつて人気絶頂だった芸能人が、何かのきっかけで落ちぶれてしまったときなど、よくこんなふうに言う。
「あの時期に、今まで私の名声や金にチヤホヤしていたほとんどの人が、蜘蛛の子を散らすように去っていった。すべてを失った私のそばに残ってくれたわずかの人たちこそ、本当の友人であることに気づいた」
よくわかるが、むしろ逆のパターンもあるように思う。
何かで成功したときに、「おめでとう!」と喜んでくれる人こそ、本当の友人ということも言えないだろうか。
現実には意外と、それまで身近にいた人たちが、ひがみや妬みを感じて離れていくことも多いのでは。
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【負荷が必要】 2005/11/5
手の骨折も治り、先月から毎週末、ジムでのウエイト・トレーニングを再開した。
ギプスを取ったときの細くなった腕を見て情けなくなったが、ようやく元に戻った。
今日はようやく、プッシュ式のベンチプレスで、以前と同じ100キロを持ち上げられるようになった。
ウエイト・トレーニングはおもしろいもので、筋力が上がるにつれて、さらに負荷をかけなければならなくなる。
それをくり返すことにより、ますます筋肉は強く大きく発達していく。
このあたり、どこか人生にも似ているような気がする。
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【漢(2)】 2005/11/4
トロイア遺跡の発掘で有名なシュリーマンが、幕末時代の日本を訪れたときのこと。
税関検査の役人は、シュリーマンが手心を加えてもらおうと渡した心づけを、「おれたちは日本男児だから」と胸をポーンとたたいて断ったそうだ。
こういう無名の誇り高い人たちのほうが、歴史上に名を成した人よりも男として憧れる。
あるテレビ番組が、世界各国の奥さんたちに協力してもらって、仕事から戻った夫に「大金を拾った」と言わせた。
西洋の男たちは大喜びして使い道を考え始めたが、東洋の夫たちは「すぐ警察に届けよう」と当然のごとく言った。
もちろん個人差はあるにしても、一般にアジア人のモラルの高さは誇れると思う。
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【漢】 2005/11/3
ある出版社の編集者が、縁あって作家の三島由紀夫に頼まれて、小説の取材のために知人を紹介することになった。
当日、少し離れたところから彼を見た三島は、「君、あれはどう見ても危険人物だと思うが、本当に大丈夫か」。
そのときの編集者の言葉がいい。
「三島先生、あなたは見かけで人を判断する方だったのですか。もしそういうことであれば、今回のお話はお断りします」
編集者といっても、たかが一サラリーマンである。
せっかくのチャンスに、天下の大作家である三島由紀夫の機嫌を損ねたら、仕事を干されるかもしれないのだ。
肩書きで態度をぶらすことなく、自分の主義を貫いた彼は、漢(おとこ)である。
「申し訳ない、私が間違っていた。改めて君に紹介を頼みたい」と頭を下げた三島由紀夫もまた、漢である。
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【人のため】 2005/11/2
ある講演会の二次会で、脱サラして独立した夫婦が元気にあいさつをした。
「経済的には苦しくなりましたが、この仕事を通じて人に喜んでもらうために頑張っています!」
私は彼らの明るさに、ちょっと無理をしているというか、なんとなく不自然なものを感じていた。
講師が、淡々とした口調で語った。
「人の為と書いて、偽りと読みます。経済的に苦しいと言いながら、他人のために頑張っていると主張していると、人は寄ってきません。たとえ収入が減っても、自分たちがおもしろがってワイワイやっていれば、結果として人が集まってきて、経済的にも安定するという仕組みになっているようです。まず自分たちが楽しんで、夢中になってやってみてはいかがですか」
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【問題も大きくなる】 2005/11/1
さまざまな問題を乗り越えて精神レベルが上がった人ほど、さらに大きな課題が与えられるようになっているらしい。
自分自身の経験と、周りの向上心に満ちた活動的な人たちを見てきて、どうもそうではないかと思うようになった。
それならいっそのこと、何も望まずに毎日ただ流されるままに生きたほうが楽なのではないかと。
しかし考えてみたら、スポーツでも初心者の頃と比べて、うまくなってレベルが上がるほど悩みも増えて大きくなる。
それを克服する方法のレベルも、以前と比べて格段に高度になってくる。
今、より大きな課題や悩みをかかえているとしたら、それは自分のレベルが上がっている証拠でもあるわけだ。
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