■柳沢きみお

大ヒットした「翔んだカップル」以来、ほぼすべての作品を読んでいます。
「翔んだカップル」は「続・新」とシリーズがあるのですが、主人公の恋愛における優柔不断な性格と、彼の置かれている状況が、同年代だった私とあまりにもよく似ていたこともあって、すっかりハマってしまいました。

その後、青春ものから「妻をめとらば」「MISOJI三十路」などの20〜30代のサラリーマンシリーズ、「瑠璃色ゼネレーション」「男の自画像」などの中年ものへと主人公の年齢が上がってきており、やはり人生の各ステージの心情と一致するんですよね。
私は柳沢マンガとともに成長してきたように思っています。

柳沢きみおの作品の欠点は、最初はいい企画でガーッと描いていくのですが、途中で飽きてくるのか(笑)、いきなり「その後あーなってこーなった、はい終わり」と尻切れトンボになってしまうこと。
熱しやすく冷めやすい私と同じですな。
このホームページを見ればモロバレです。

自分でも作品の中で、「じっくり仕事を選びいいモノを残そうなんて考えはない。思いつくままに描きまくる粗製屋だ」と言っています。
そしてよく指摘されるのが、絵がヘタなこと。
でも、ファンとしては何でも許せてしまうのです。
作品によってはかなり荒いものがありますが、それでも長年に渡って出版が続けられるのは、私のようなファンが定着している証拠でしょう。

「大市民」「乱造斉おんな絵日記」などでは、モロに自分自身をモデルにして、人生のこだわりや主張を主人公にガンガン言わせています。
体を鍛え、ビールと安ワインを愛し、美味しい食べ物には目がなく、かなりのエッチ。
世相についてのコメントも、発想がユニークで納得させられる。
私は文章でもマンガでも、自分を率直に出しているものが好きなのです。

柳沢きみおは、今まで一度もマスコミで顔を見せたことがありません。
どんなに有名になっても、絶対にプライバシーは表に出さない。
街を気軽に歩ける「自由」が何よりも大切で、テレビや雑誌に出たがる自意識過剰の著名人を「三流」と軽蔑しているそうです。
そのスタイルを、「翔んだカップル」で有名になったまだ20代の頃から貫いているのだから、立派なものだと思います。

その他の主な作品です。
ジャンル分けは大ざっぱで、あまり正確ではありません。
青春もの:「SEWING」「SHOP自分」「おいしい水」
サラリーマンもの:「寝物語」「夜物語」「東京千夜一夜」「夜の街」「未亡人」「七百三十夜」「愛人」「スーパーレディー」
業界もの:「流行歌」「東京BJ」「GYM」「烈拳」「自分が好き」
コメディー:「マルチェロ」「ふしだらなフェイス」「形式結婚」「次男物語」「色男色女」
物語:「Dino」「青き炎」「俺にもくれ」「Bのアルバム」「小夜子」「妖しい花」

(2000/11/19)

*****

■弘兼憲史

学生時代に北海道を旅していて、泊まったユースホステルに置いてあった「人間交差点」を読んで感動しました。
作者本人はけっこう目立ちたがり屋なのか、最近はテレビにもちょくちょく出て、ビジネスハウツー本まで出す文化人志向のようですが、作品自体は深くて好きです。

「課長島耕作」「部長島耕作」は、同じサラリーマンとして、離婚をした娘の父親として、理想の人生ということで目標にしています。
「加治良介の議」、本物の政治家とはどういうものか、真剣に考えさせられます。
「黄昏流星群」、中年以上の恋愛を描いたもので、なかなかいいですよ。

(2000/11/19)

*****

■紫門ふみ

女性のマンガ家ではダントツによく読んでいます。
この人の恋愛における心理描写はとても鋭い。
最初は絵が下手だなと思っていましたが、内容がいいのでかえって生きているように感じます。
もともと弘兼憲史のアシスタントで、今は奥さん。

エッセイなども出していて、それなりにおもしろいのですが、私はやはりマンガのほうを評価しています。
「同級生」「あすなろ白書」「東京ラブストーリー」などはテレビドラマにもなりましたが、原作を越えることはありません(「同級生」の最終回は泣きましたが)。

紫門ふみも、歳をとっていくにつれて「P.S.元気です、俊平」などの青春もの時代から「お仕事です!」「Age.36」、最近では「家族の食卓」「非婚家族」へと、テーマが仕事や家族になってきているので、共感しながら読んでいます。

(2000/11/19)

*****

■浮浪雲(はぐれぐも)

私の愛読誌「ビッグコミック・オリジナル」に長期掲載中の、ジョージ秋山の作品です。
今の時点で640話、単行本はもうすぐ67巻目になります。
もちろん全部読みました。

このマンガを読んでいると、とにかく癒されるんですよ。
主人公の浮浪雲のこだわりのない生き方、明るくてやさしい奥さんと子どもたち、彼をとりまく人々の純粋な個性。
でもみんな、欠点だらけなんです。

悩みの多い、ごく普通の人間である登場人物たちには親近感が出てきます。
仏教らしき思想もところどころに出てきます。
私の「癒し系」マンガ、ナンバーワンです。

(2000/11/28)

*****

■「翔んだカップル」復活!

上で紹介した柳沢きみおの「翔んだカップル21」、突然「WEEKLY 漫画アクション」という雑誌で20数年ぶりに復活しました。
TVドラマ「俺たちの旅」「ふぞろいの林檎たち」などの、10年後シリーズみたいな感じです(世代の違う人すみません)。

といっても、主人公は勇介の息子と圭の娘。
あの頃高校生だった田代勇介はすでに51歳になり、警備員をやっていました。
山葉圭とは結局結婚しなかったのでしょう、奥さんはすでに亡くなり、一人息子の勇一は21歳のフリーター。
偶然、圭の娘の白木佳奈に出会う場面で「つづく」です。

ああ、早く続きが読みたい〜!
それにしても、どうしてこう柳沢作品に出てくる女性たちって私好みなんでしょう?(笑)

(2001/7/6)

もどる