<逆説の十ヶ条>

ケント・M・キース

1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。

 それでもなお、人を愛しなさい。

2.何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。

 それでもなお、良いことをしなさい。

3.成功すれば、嘘の友達と本物の敵を得ることになる。

 それでもなお、成功しなさい。

4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。

 それでもなお、良いことをしなさい。

5.正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。

 それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。

6.最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。

 それでもなお、大きな考えをもちなさい。

7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。

 それでもなお、弱者のために戦いなさい。

8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。

 それでもなお、築きあげなさい。

9.人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。

 それでもなお、人を助けなさい。

10.世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちをうけるかもしれない。

 それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

*****

マザー・テレサの言葉だとばかり思っていたら、19歳の学生が、高校の自治活動をしているリーダーのために書いたものらしい。
マザー・テレサが亡くなった1996年、「カルカッタの孤児の家」の壁に書かれていたことで、広く知られるようになったそうだ。
一見きれいごとのように思えるが、「リーダー論」として見れば、核心を突いていると思う。

リーダーという存在は、一見、孤独なものだ。
みんなから代表として選ばれたにもかかわらず、任務を遂行するプロセスでは、思わぬ反論にあう。
それは東国原宮崎県知事を見ていても、学校のクラス委員長を見ていてもわかる。

一方で、群れに安住して勝手なことばかり言う「その他大勢」とは一味違った、密度の高い経験や人間関係が得られるのも事実。
しかし、なぜわざわざ大変な思いをしてまで、責任ある立場に就く価値があるのか。
それは、(たぶん)マザー・テレサがこの「十ヶ条」の後に書いた、次の言葉が答えとなるだろう。

「最後に振り返ると、あなたもわかるはず。
 結局は、全てあなたと神との間のことだったと。
 決して、他の人との間のことではなかったと」

(以下、例によって英語バージョン)

<The Paradoxical Commandments>

by Dr. Kent M. Keith

1.People are illogical, unreasonable, and self-centered.

 Love them anyway.

2.If you do good, people will accuse you of selfish ulterior motives.

 Do good anyway.

3.If you are successful, you will win false friends and true enemies.

 Succeed anyway.

4.The good you do today will be forgotten tomorrow.

 Do good anyway.

5.Honesty and frankness make you vulnerable.

 Be honest and frank anyway.

6.The biggest men and women with the biggest ideas can be shot down by the smallest men and women with the smallest minds.

 Think big anyway.

7.People favor underdogs but follow only top dogs.

 Fight for a few underdogs anyway.

8.What you spend years building may be destroyed overnight.

 Build anyway.

9.People really need help but may attack you if you do help them.

 Help people anyway.

10.Give the world the best you have and you'll get kicked in the teeth.

 Give the world the best you have anyway.

(2009/1/22)

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