<生きてることでんす>

「おじさんの生きがいとか趣味は何ですか?」


(ジョージ秋山「浮浪雲」より)

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「小事を気にせず、流れる雲のごとし」

マンガ「浮浪雲(はぐれぐも)」を、長年愛読している。
主人公の「浮浪雲」と呼ばれるおじさんが、なんともいい味を出しているのだ。
毎回さまざまな人間模様が描かれて、感動したり、考えさせられている。

作者のジョージ秋山さんが、脱力系人生指南の本 「はぐれ指南ほろ酔いで長生き」を出した。
やっぱり老子や良寛さんが好きなんだな、感性が合うわけだ。
その中から、ピンときた言葉をいくつか抜書きする。

「水清ければ魚棲まず。
 あまり清廉であることにこだわり執着していると、魚と同じように他人が寄りつかなくなります」

「他の蝋燭(ろうそく)に火を与えても与えなくても燃え尽きます
 わたしもこの蝋燭のように生きられたらいいなと思う、今日この頃です」

「知ってて知らんぷり」

「鳥疲れて枝を選ばず。
 職もなく、生活に困窮すれば、職業の選り好みなど言ってられません」

「最近の人は、悩む力が不足していると思います。
 悩んで悩んで悩み抜きなさい。
 悩むことが力になります」

「馬鹿があって利口が引き立つ。
 みんな利口だったら利口は存在できない」

「うらを見せ おもてを見せて 散るもみじ」

「四捨五入でいきましょう。
 自分の端数にこだわらず、また友人の端数にもこだわらずつき合ったらいい」

「この世のすべてのことはリラックスにあります。
 リラックスのあるところに犯罪は起こりません」

「ふ〜っ。
 寝るより楽はなかりけり」

「料理もお風呂も、いいかげん(好い加減)。
 あなたも常日頃、自分の味見をするようにしてみてはいかがでしょう」

「望むことと生きることは別々だから、望みが叶わなくても、意気消沈するなかれです。
 肝心なことは、望んだり生きたりすることに飽きないこと」

「相手に中心を置いてもだめだよ。
 自分に中心を置いてもだめだよ。
 相手と自分のバランスのとれたところに中心を置かなければ」

「やじろべえは、右へ左へ揺れても倒れないものだよ。
 やじろべえの中心は、仏教でいうところの中道の精神です」

「生かされて生きてきた
 生かされて生きている
 生かされて生きてゆく
 朝、そうつぶやきながら窓を開けてごらん」

「まんまると まるくまるめよ わが心
 まんまるまるく まるくまんまる
 毎朝、起きたら微笑んで鏡に向かってこう言ってごらん」

「花が散るのは風のせいじゃない。
 風が吹いても吹かなくても、花は散るのが運命」

「流れる水はくさらない。
 精神をいつもさらさらと流れる水のように。
 水、滞ればぼうふらが生ずるように、心、滞れば悩みが生じます」

「人は政治について、宗教について、教育、道徳について熱く語りますが、
 心底、思っていることは金とセックスのことだけだ…と思って、照れてください」

「自我の想念を止めようとしても、止められるものではありません。
 風がほほをなでて、吹き往くように、その想念を吹き往かせたらいい。
 そして吹き往く風を追わないことです」

「私は暇な時には暇をしています。
 暇をもてあましているわけではありません。
 暇を味わうわけです」

(2008/1/2)

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