<コントロールできること&できないこと>

「人の心はコントロールはできずとも、動かすことはできるのではないかと思っています」

(ヤンキース 松井秀喜)

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つぶやき:

変えられないものを受け入れる沈着さと、
変えるべきものを変える勇気と、
それらの区別をつける知恵を授けたまえ。

Give us serenity to accept what cannot be changed,
courage to change what should be changed,
and wisdom to distinguish the one from the other.

(ラインホルド・ニーブール/アメリカのプロテスタント神学者)

メジャーリーグのヤンキースで活躍中の野球選手、松井秀喜さんの「不動心」を読んで、この祈りを思い出した。
松井さんは語る。

「コントロールできないものに気を病むのではなく、できることを精一杯やろうというのが僕の考え方です」

「他人の口に戸は立てられぬ」というように、他人の思惑や評判を変えようとするのは、エネルギーの無駄。
それよりも、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」と、自分を変えれば世界が変わって見えてくる。
しかしこの考え方は、ともすると「人から何と思われても気にしない」という、ありえない「強がり」につながりがちだ。
彼はさらに、「少しばかり矛盾する気持ちも持っています」と語る。

人の心は「コントロール」することはできないが、「動かす」ことはできるのではないか。

全力でプレーをし、結果を残していれば、ブーイングが拍手に変わることもある。
直接会うことのない、知り合うことのない関係でも、自分のプレーを見た人が、「よし、オレもがんばろう」と思ってくれたら。
病気と闘っている子どもが、自分がホームランを打つことで、「ボクもがんばろう」と思ってくれたら。

毎日ホームランを打ったり、ヒットをうち続けたりすることはできない。
ただ、毎日試合に出て、全力でプレーをすることならできる。
ゴロを打ってしまっても、歯を食いしばって一塁へ向かう。
「松井もがんばっているんだから…」と、この世で最もコントロール不能な「人の心」を動かしたい。

人の心を動かす「プロフェッショナル」は、必ずといっていいほど「挫折」の体験を持つ。
松井さんもまた、左手首骨折を乗り越えて成長を続けている。
このあたりにも、メジャーリーガー・松井秀喜の人気の秘密がありそうだ。

(2007/5/18)

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