<噂にすぎない>
「知識は、体が覚えるまでは噂にすぎない」
ジュディス・ディロージャ(NLP共同開発者・文化人類学者・ダンサー)
※NLPとは、「神経言語プログラミング(neuro-linguistic programming)」のこと。
1970年代にジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーによって提唱された、心理療法の一種。
過去のトラウマを癒すよりも、成功者の思考と行動をモデリングすることにより、同じ成果を出そうというもの。
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つぶやき:
「5文型とNLPで英語はどんどん上達する! 」によると、
「NLPは、有能なトレーナーのもとで実際のワークに接さないと、ほどんど何も習得できない「生きた学問」です(P34)」
左脳(理屈)でわかったつもりでいても、右脳(感覚)で実際の行動に移せないのと同じことだろう。
ディロージャが有名なダンサーであるイサドラ・ダンカンに、
「あなたのダンスの意味を教えていただけますか?」
と聞くと、
「もしそれを言葉で表現できるのだったら、私は、もともと踊ったりはしない」
と答えたという(P74)。
成功法則の収集家を、皮肉を込めて「成功おたく」と呼ぶ。
彼らは次々とハイテンションな自己啓発セミナーをハシゴし、日常生活に戻って周囲から完全に浮いてしまう。
成功者の情報には異様に詳しいが、残念ながら本人はまったく成功していない。
このようなケースを同書では「耳年増」と呼んで、警告を発している(P75)。
あるトレーニングの本に、「さあ、この本を横に置き、腕立て伏せが何回できるか数えてみましょう」とある。
そのままページをめくると、次のように書いてあった。
「腕立て伏せをしなかったのなら、この本を捨ててしまったらどうです?
アイディアを取り入れる気も、試す気もないなら、どうしてわざわざ読むのですか?」
講演家アンソニー・ロビンスのテープを聞いていたら、「ここでテープを止めて、紙に目標をリストアップしましょう」と言う。
そのまま聞いていたら、しばらくの空白のあと、いきなり怒鳴られてビックリした。
「まだ書いていないのに聞き続けているんですか?
だからあなたは成功しないんです!
今すぐこのテープを止めて、行動に移しなさい!」
「いくらいい情報を集めても、使わなければただのゴミだ」、という話もよく聞く。
本を読んでも、「おもしろかった」ではなく、「生活の何が変わったか」という視点が大事だと。
アマノジャクな私は(ペンネームを「Jackアマノ」にしようか)、例によって「そうかなあ」と思ったりもする。
小説を読む意義が別の人生の「疑似体験」にあるのと同じく、他人の成功物語でも「読んで楽しめればいいじゃない」と。
「思考は現実化する」などという成功哲学系の言葉を聞いたときに、私は必ず「Why?」という問いを発する。
あるセミナーの有名講師は、「なぜ、と聞くな」と答えた。
「Seeing is believing.(見ることは信じること=百聞は一見にしかず)」
ということわざがあるが、スピリチュアルな観点からは、
「Believing is seeing.(信じれば見えるようになる)」
が正しいのだと。
私の役割は、自分だけ成功すればいい「成金」ではなく、情報をシェアしてみんなで幸せになろうという「教師」だから。
子どものように「無邪気に信じてジッセンジャー」的な人には、体験から法則を導き出す「帰納法」でもオーケーだろう。
しかし世界観の固まった多くの大人には、ある程度は科学的な公式をバックに具体的な行動をとらせる、「演繹法」的アプローチが必要だ。
病気と借金と人間不信でどん底に陥っている人に、笑顔で「ツイてる、ありがとう」って言ってごらん、では怒り出すだけだろう。
そうはいっても、 「知識は、体が覚えるまでは噂にすぎない」という言葉は耳に痛い。
行動に移さないのが「悪」ならば、数千冊が並ぶ私の本棚は、無意味な噂話の宝庫ということになる(笑)。
ちなみに、私の本棚のカテゴリーは、大きく3つに分かれるようだ。
今までにいちばんお金と時間をかけた分野が、天職である可能性が高いという。
(1)洋書・英語学習・英語指導系
(2)武道・格闘技・トレーニング系
(3)ビジネス・セルフヘルプ・癒し系
(2007/3/10)