<ターシャ・テューダー(Tasha Tudor)>
生きているだけでも、ありがたいと思いませんか。
公害や恐ろしい事件がいくらあっても、この世界はやはりすばらしい。
見慣れた星の空だって、
年に一度しか見られないと思えば、感動するでしょう?
なんでも、そう思ってみては、どうかしら。
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みんなが本当に欲しいのは、物ではなく心の充足です。
幸福になりたいというのは、心が充たされたいということでしょう。
わたしは、ここの何もかもに満足しています。
家にも庭にも、動物達にも天気にも、バーモントのすべてに。
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家族でおもしろ半分に、スティルウォーター教という宗教を作りました。
スティルウォーター(じっと動かない水)と名づけたのは、
ストレスのない平安な生活を信奉する、という意味。
スティルウォーター教は、生活を楽しみます。
重荷にしてはいけません。
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楽しいことは、そえrを楽しみに待つ喜びも大きいものです。
楽しい行事は、その日が来るのを楽しみに考え、
その日が来たら思う存分楽しみましょう。
そして、その楽しみをできるだけ長引かせましょう。
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現代人は忙しすぎます。
夕方、ポーチのロッキングチェアに座って、
カモミールティーでも飲みながら、
ツグミが澄んだ声で鳴くのに耳を傾けてごらんなさい。
毎日の生活が、もっと楽しくなりますよ。
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昼間ちょっと一休みして、
動物達も交えておやつを食べる。
そんなことで生活はとても楽しくなるわ。
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冬は大好きです。
庭仕事に追われることもない。
絵を描くにも、いちばんいい季節です。
だって、雪が降って訪問者がなくなると、絵に集中できるでしょ?
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外は雪で、寒くて静か。
家の中は暖かく、クリスマスの喜びでいっぱい。
これほど充ち足りた気持ちになれることが、ほかにあるかしら。
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午後のお茶の時間はわが家の伝統で、一年中、欠かしたことがありません。
どんなに忙しくても、四時半になったらお茶にします。
とくに忙しい時など、これが、リラックスにとてもいいの。
だから、急いではだめ。
ゆっくりした気持ちで、会話を楽しみます。
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絵を描くのは、自然の光の中でなければだめなの。
だから、日が落ちたあとは、針仕事の時間。
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料理のコツで強調したいのは、できるだけ新鮮な材料を使うこと。
それと、スープやシチューは、調味料を入れたら何度も味見をすること。
スープの味の薄いのは、がっかりですからね。
それから近道を探そうとしないこと。
価値のある良いことはみんな、時間も手間もかかるものです。
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人には、自然との触れあいが必要です。
わたし達はみな宇宙の一部なの。
宇宙を傷めることは、自分の体を傷つけているのと同じことよ。
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グウェンおばさんの家族と暮らしたことは、生涯で最高のできごとでした。
楽しい毎日でしたけど、そこへ戻りたいとは思わないわ。
歳を重ねることは、それよりもっと楽しいことですもの。
わたしはフルに楽しんでいます。
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わたしには怖いものがありません。
死さえ、怖いとは思いません。
どんな経験か、楽しみじゃありませんか。
つまり、人生に悔いがないということなのでしょうね。
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つぶやき:
1915年アメリカ生まれ、絵本作家。
バーモント州の山奥でナチュラルライフを満喫する、素敵なおばあちゃん。
本の執筆で多忙な日々が終わり、立ち寄った書店で目に入った「思うとおりに生きればいいのよ」より。
子どもの頃に見た、「世界偉人伝」とかいうテレビアニメ番組のナレーターの言葉を覚えている。
「昔は何もありませんでしたが、考える時間だけはたっぷりありました」
なんと豊かな時代だったことか。
物が少なくなればなるほど、質素で優雅に生きられるような気がする。
私が今年(2003年)いちばん心が和んだのが、山奥の河原で水に足をひたしたときと、秋風に吹かれながら、木に吊るしたハンモックでまどろんだ昼下がりだった。
いちばん美味しいと思ったのは、塩でにぎった1個のおにぎりだった。
(2003/12)