<頑張らない>
幼い頃から、私はドライブが好きでした。
父の運転する車で、どこへ行くのにもついていきました。
運転席の前には、なにやらいくつものメーターがあって、それを操る父がカッコ良く見えたものです。
はじめて高速道路を走ったとき、そのスピードに驚きました。
「もっと、もっと早く!」
とせがむと、父は100キロが制限速度なのだと教えてくれました。
でも、スピードメーターを見ると、180キロまで書いてあります。
幼いながら疑問を抱きました。
すると、父はこう教えてくれました。
「それが『遊び』なんだよ。
100キロまでしか出せない性能の自動車で、100キロのスピードを出したら壊れちゃうだろ。
180キロまで出せる自動車だからこそ、安心して走れるってものなんだ。
ハンドルも同じだな。
少しくらい持つ手がブレても曲がらないだろう。
それが『遊び』というヤツさ」
そのときは、わかったようなわからないような気分でしたが、なぜかその答えが印象に残り、歳を重ねるごとに納得できるようになってきました。
人生だって同じことなのです。
ずっと100%の力で走っていたら、壊れちゃいます。
毎日が、一生懸命の人がいます。
120%の「頑張り屋さん」がます。
でも、ホントにそれで、ずっと走り続けられるのでしょうか。
私は、せいぜい60%の力で十分だと思います。
ついつい、日本人は「頑張って」しまいます。
よほど自分自身で力を抜こう、と思わないかぎり100%を超えてしまうからです。
60%をめざして、せいぜい80%に落ち着くのが関の山です。
それでも十分に効果があるというものです。
もしも、いつも100%の力で「頑張って」いたら、「いざ」という時どうするのでしょう。
急停止どころか、ハンドルも切れません。
100%は「いざ」というときまで蓄えておくのです。
ところで、あなたの人生で、今までに100%の力を出さなきゃならないような一大事が、いったい何回あったでしょうか。
そうしてできた40%の心の余裕は、周りの人への優しい気づかいに使ってあげてください。
きっと人生が上手くゆきます。
「頑張らなくても」うまくいく
「頑張らないほうが」うまくいく
志賀内泰弘(「プチ紳士を探せ!運動」代表)
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つぶやき:
楽しく参加させてもらっている、「プチ紳士を探せ!」運動。
日常に埋もれそうな「小さな親切」に出会ったら、みんなでその話を分かち合う。
この運動を広げて、世の中を暖かい優しさでいっぱいにしようという活動だ(関連コラム)。
義務ではないが、季刊の定期購読誌(朗読CD付)は大人のみ有料。
集まった好意から経費を除いたお金で、全国の小中学校に無料で同じものを配布している。
文武企画の理念と同じスタイルに賛同して、私も購読し、原稿も載せてもらっている(1 2 3 姫)
サポーターズクラブは無料で登録できるので、よかったらあなたも入りませんか?
毎日の生活の中の「プチ紳士(プチ淑女)」を探していると、自分の中におもしろい変化が起きる。
今まで見過ごしていた、人のいいところがたくさん見えてくるのだ。
それこそ「頑張らなくても」、自然と幸せな気持ちになれる。
学生時代、原付のスクータから中型のバイクに乗りかえた。
原付の制限速度30キロを、中型で走ってみて驚いた。
同じ速度なのに、余裕がまったく違うのだ。
あの時、「ゆとりを残しておくすごさ」を実感した。
しかし、社会人になった私は、ついつい「頑張って」しまった。
仕事もプライベートも毎日がいっぱいいっぱいで、今思えばいつもイライラ、ピリピリしていた。
すべてを失って、私は頑張るのをやめた。
頑張らなくなって、すべてがうまくいくようになった。
「頑張らないほうがうまくいく」と言うと、「努力する尊さを否定するのか」と極論に走る人がいる。
頑張って努力するのは、趣味の問題だから好き好きでいいと思う。
ただ、どうせエネルギーを使うなら、大好きでワクワクすることがいい。
いくらやっても疲れない、夢中になれて、できれば人のためになることを顔晴ろう。
(2006/4/27)