<ピカソになると思うな>

「おまえは私のような画家になれる。
だが、ピカソになると思うな。
ほかの誰にもなると思うな。
松井守男になれ」

(ピカソ)

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つぶやき:

松井守男さんは、若い頃にフランスに渡り、パリに30年、コルシカ島に8年住む画家。
2000年にフランス政府のシュバリエ芸術文化勲章、2001年にはレジョン・ドヌール勲章を受章した、世界に通用する日本人だ。
ナポレオンの末裔からは、「ナポレオンは戦争によってコルシカの名を高めたが、きみはそれを一滴の血も流さずにやった」と賞賛された。

「さすがにパリです。
カップルが二人で生活を始める、そんな時にまず買うのが絵なんですね。
そういう文化が根づいている。
だから、ほかのバイトをしなくとも、生活ができました」

「私がパリに行った動機の最大のものは、そこにピカソがいたからです。
画家というのは、自分の画風を確立すると、それだけでいくのがほとんどです。
だが、ピカソは違う。
画風を変えて求めるものを追求していく。
その自由奔放さに憧れていました」

冒頭の言葉は、松井さんがピカソが亡くなる数年前に会ったときに、直接言われたもの。
すでに90歳を越えていたが、
「目に力があるというのか光があるというのか、いや、そんな言い方は平凡すぎますね。
こいつはいつか自分を追い越すかもしれなという、熱っぽい真剣勝負の目でした」

自分の目標となる人物に憧れて、理想のモデルを真似ることも必要だろう。
悩みや問題を解決してくれそうな人を追いかけたり、著作をむさぼるように読む時期があってもいい。
武道で「守・破・離」と言うように、まずは同じようにやってみて、少しずつやり方を変えて、やがて自分の個性にしていく。

しかし、その人に依存するのはやめよう。
その人がいなくなったら、心の支えを失ってしまうような生き方では、自分の存在が軽すぎる。
私は他の誰でもなく、中元康夫を極める。
あなたも、自分自身を追求しよう。

(2005/5/15)

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