<ボート部とヨット部> 小林正観
人間関係で悩まない秘訣は、「ボーッとした人」になることです。
心の許容度が広くなって、何も感じなくなった人を「ボーッとした人」といいます。
「ボート部」の人です。
一方、自分の思う通りに人生をつくり上げないと気がすまない人は、いつもイライラしています。
「そういう人もいるよね、そういうこともあるよね」と認めるのが嫌な人は、たとえば散歩をしているときに目の前に大きな石があったとすると、それを避けて歩いていけばいいのに、無理にその石を「あらよっと」と声を上げて取り除きます。
「ヨット部」の人です。
ボートとヨットの違いはどこにあるかといいますと、
ボートは「オールあり」なのです。
ヨットは「オールなし」です。
もうひとつの違いは、マスト(MUST)があるかないかです。
マスト思考の人は、「ねばならない、ねばならない」と思っています。
これを「ねばねばした人」といいます。
マスト=執着です。
ヨット部の人は、よく航海(後悔)します。
ボート部の人は航海しませんが、ボーッとしているので、「ボーッ」という霧笛を聞きます。
霧笛を聞く人は、無敵なのです。
「無敵」とは、敵をなぎ倒すことではなくて、「敵が無い」ことなのです。
「ボーッ」としていると何でも受け入れられるので、戦う必要がなく、敵がありません。
これが、実はいちばん強いのです。
*****
つぶやき:
小林正観さんの講演で出てきたダジャレより。
思わず、「うまい!」と口に出た。
心安らかに暮らしていくには、「こだわり」や「執着」は、できるだけ少ないほうがいい。
年齢を重ねるにしたがって、そういったものを少しずつ脱ぎ捨て、淡く枯れていくのが理想だと思う。
アメリカ的成功哲学でいう「マスト思考」は、人生後半はほどほどにしておきたい。
一方、斉藤一人さんは、商売への取り組みについて、次のように熱く語っている。
執着して、執着して、執着するんだよ。
熱入れて、熱入れて、熱入れるんだよ。
考えて、考えて、考え抜くのよ。
そうしたら、お客さんがひとりでも入ってくるんだよ。
「一体どっちが正しいんだ!?」と混乱していたのは、昔の話。
どちらも正しいし、そのときに自分がピンときたほうを使えばいいと思うようになった。
「がんばらない」生き方は、さんざん「がんばった」あとにできるようになるものだから。
(2004/1/20)