<マトリクスで考える>

物事は、マトリクス(下のように区分けされた表)で考えると、スッキリ整理される。
いずれもよく出回っているものだが、自分の行動チェックとして便利なので、活用していただきたい。
生活の中で何かに迷って、自分の軸がぶれそうになったときは、オリジナルのマトリクスを作って考えることをお勧めする。

■重要性と緊急性

  緊急 緊急ではない
重要な行動 (1)すぐやる (2)向上
重要ではない行動 (3)緊急中毒 (4)無駄

(1) 重要で緊急(すぐやる)
 最優先で済ませること。
 病気の治療や、期限のある仕事など。

(2)緊急ではないが重要(向上)
 日頃から計画的に取り組むこと。
 読書や、人とのつながりなど。

(3)重要ではないが緊急(緊急中毒)
 やるに越したことはないが、やらなくても大問題にはならないこと。
 職場や家庭での雑用、急な遊びの誘いやメールの返信など。

(4)重要でも緊急でもない(無駄)
 単なる時間つぶし。
 意味のないテレビ番組やゲーム、ネットサーフィンなど。

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人生を豊かにするコツは、まず(4)「無駄」と(3)「緊急」を無くす、または減らすこと。
やっかいなのは、単に緊急である(3)にも、重要かつ緊急な「達成感」があるということ。
雑用にふり回されてドタバタやっていても、充実した生活のように「錯覚」してしまうので要注意。

(2)は非常に重要ではあるが、緊急性がないため、後回しになる危険性を持つ。
私の場合は、家族とゆっくり過ごす時間がここに入り、気持ちの上では(1)より優先させる。

■何のために勉強するか

  社会を生き抜く技術 人間力を高める知恵
ゴールがある勉強 (1)記憶勉強 (2)趣味勉強
ゴールがない勉強 (3)仕事勉強 (4)人生勉強

(1)ゴールありの技術(記憶勉強)
 受験勉強や、資格試験のための勉強。
 合格というゴールが設定されているので、暗記に徹するほか、受験テクニックなども有効。

(2)ゴールありの知恵(趣味勉強)
 生活を楽しみ、人とのコミュニケーションにもつながる勉強。
 「好き」をキーワードに、カルチャー講座に通うなど。

(3)ゴールなしの技術(仕事勉強)
 仕事に「アマチュア」はない。
 専門の書物は最低100冊読む、師匠と呼べる人たちを「守・破・離」する、オリジナルのマニュアルを作成する。

(4)ゴールなしの知恵(人生勉強)
 本を読む、人と話す、経験を積む、自分の頭で考え抜く。
 教養を深め、人として成長していくことが、すべての人間に与えられた人生のテーマである。

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ただ言われるまま、やみくもに勉強しても、途中で意味を見失ってしまう。
「何のために勉強するの?」というのは、人生のテーマを考えたことのない、幼稚な人から発せられる問いであることが多い。
すべては相互作用して、最も大切な(4)につながっていく。

参考:『竹中式マトリクス勉強法』(竹中 平蔵)

■批判されたとき

  資格がある 資格がない
根拠がある批判 (1)プロのアドバイス (2)素人の感想
根拠がない批判 (3)思い込み (4)嫉妬

(1)資格あり・根拠あり(プロのアドバイス)
 いちばん意味があり、必要な「アドバイス」である。
 最高裁の判決ではないので、感謝して「改善」すればよい。

(2)資格なし・根拠あり(素人の感想)
 参考程度にすればよい。
 それ以上でも、それ以下でもない。

(3)資格あり・根拠なし(思い込み)
 ある意味、「専門家とは、できない理由を見つける天才である」。
 あの作詞家の阿久悠さんでさえ、山口百恵さんの才能を見抜けなかったという。

(4)資格なし・根拠なし(嫉妬)
 読んでもいないのに、Amazonに誹謗中傷のレビューを書く。
 自分は安全な群れの中にいて何一つ行動せず、リーダーの悪口ばかり言って悦に入る。
 いずれも「床屋談義」の域を出られない、足を引っ張るだけの人たちである。
 「鈍感力」を最大限に使い、1秒たりとも、人生の貴重な時間を捧げるべきではない。
 自分に問いかけるべき質問は、こうだ。
 「あの人が言ったことをそんなに気にしなければいけないほど、私はあの人のことを大切に思っているのか?」

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批判されたら、誰でも感情的になり、怒ったり落ち込んだりする。
反論や仕返しを考える人もいる。
しかしそれで終わっては、あまりに「普通の人」のままだ。

向上心を持つ人は、その感情を味わいつくしたあと、上のマトリクスで批判を分析する。
そしてそこから何かを学び、自分のさらなる成長に役立てる。
一方、あなたに(2)(3)(4)の批判をした人は、今後もそのレベルのままである。

また、批判に対しては、「評価価値」と「本質的価値」を分けて考えねばならない。
これを混同してしまうと、誤った落ち込みに苦しむことになる。
心理学の基本ではあるが、大人でも意外と意識しない人が多い。

(1)評価価値
 他人の評価や時代の流行、その時の気分によって決まる。
 基準が一定していないから、同じ人に対する評価がコロコロ変わってしまう。
 
(2)本質的価値
 いわゆる、親の子に対する「条件なしの愛」のような、本質的な存在価値である。
 人として生まれ持った価値で、特に何も成し遂げなくても、ただいてくれるだけで意味がある。

「本質的価値」は何があろうと一定のままだが、「評価価値」は何を基準とするか、または時代の流れによって変化する。
芸能人の人気(評価価値)がなくなって、荒れた生活を送ったりするのは、「本質的価値」まで一緒に落ちたとカン違いするから。
謙虚だった人が、出世してチヤホヤされる(評価価値)と偉そうになってしまうのは、「本質的価値」まで一緒に上がったと勘違いするからである。

参考:『天使は歩いてやってくる』(犬飼ターボ)

(2009/1/25)

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