<全体性ということ>

今年の春に自己史上最デブを記録、たまったお腹の脂肪は、まるで「浮き輪」のようでした。
そこで、ゴールデンウィークから2〜3日に1回、フィットネスジムに通っています。
シャワーやマッサージまで入れて1回2〜3時間、内容は次の通りです。

(1)有酸素運動(ジョギングorウォーキング) 心拍数120〜130をキープして30〜60分
(2)ウェイトトレーニング(マシンorバーベル・ダンベル) 全身で60〜90分
(3)ストレッチ 約30分

これを書いている今で2ヶ月半ですが、1ヶ月半の時点で、自分でも驚くほど見違える体に変身しました。
全体がスッキリとスリムになり(ウエスト10センチ減)、筋肉が発達して逆三角形の上半身と、引き締まった下半身をゲット。
しかしいちばん驚いたのは、長年悩まされてきた首や肩のこりがウソのように消えてしまったこと。

普通なら、こう考えるでしょう。
「お腹が出てきたから、腹筋でもしないと」
「肩がこったから、もんでほしい」

実は、お腹の脂肪だけ取るというのは理論的に不可能。
お腹にサランラップを巻いても、エステでもんでもらっても、脂肪は減りません。
肩をもんでもらっても、気持ちがいいのはその時だけで、またすぐにこってしまう。

ジムで運動して全身をまんべんなく鍛えて、改めて実感しました。
「部分だけどうにかしようとしても、絶対ダメ」
「全体」を動かすことによってはじめて、「部分」が変わってくるのです。

お腹の脂肪が気になるなら、実はそれ以外にも全身にタップリと脂肪がついているということ。
肩こりは、実は肩そのものに問題があるのではなく、全身の血の流れが滞っているということ。
そろそろ無駄な抵抗はやめて(笑)、重い腰を上げる以外には、根本的な解決策はありません。

ある著名な頭皮マッサージの専門家が、次のように語っていました。
「頭も顔も同じ皮でつながっているのだから、頭皮をマッサージすることで顔が上がり、美肌効果が得られる。
 結局、人間は一枚皮なのだから、トータルで考えていくことが大切」

これを「お腹の脂肪」や「肩こり」に置きかえると、よくわかるのではないでしょうか。
脂肪も肩も、全身で1つにつながっています。
「全体」を整えることによってはじめて、「部分」が落ち着くのです。

私はここで、日頃つい見失いがちな「全体性」の大切さを、くり返し強調しようと思います。
全体性、つまりバランスがとれていないためにうまくいっていないことが、あまりにも多いからです。

「美しく」やせるなら、食事制限だけでなく、運動が絶対に必要。
女性が「○○ダイエット」だけに偏ると、胸からやせて下半身からリバンドするのは、よく言われることです。
運動を敬遠した時点で、「全体性」が失われています。

ちなみに「運動」も、上の(1)(2)(3)をバランスよくやることが「全体性」につながります。
柔軟性は優れていてもすごく太っているとか、スタイルはいいがあまりにも非力というのでは困る。
トータルに鍛えておくことが大切です。

英語学習も、カタコト英会話「だけ」、文法「だけ」では使えません。
「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能が、バランスよく伸びていくのが自然です。
聞き流す「だけ」で英語ペラペラ、なんてことは絶対にありえません。

宝くじが当たった人の多くは、あっという間に散財したり、気を病んでしまうらしい。
大金を持つだけの器量にまだ達していなかったため、全体性を欠いたということでしょう。
「億万長者になりたいならまず人格を磨け」というのは、このあたりに理由があるのかもしれません。

もっとわかりやすく、愛する家族を例にとります。
家族の誰かが極端に不幸な場合、心の底から喜べる毎日を過ごすことは難しい。
全員が笑顔で、楽しくやっていることがいちばん心地よく、自然な姿のはずです。

最後に「幸せ」について、全体性の法則から。
「自分さえよければいい」
この考え方がいかに不自然で、成り立たないことがおわかりでしょう。

(2007/7/24)

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