<まずは「聴く」ことから>
カウンセリングの基本、「傾聴」(話を聴いて共感的理解をする)を勉強中である。
私は人から悩みを相談されたとき、どうにかして解決してあげたくなる。
数々の挫折と修羅場を乗り越えてきた経験から、視点を変えて立ち直る方法を知っているからだ。
必要な情報を持っていれば、すべて与えたくなる。
しかしこれは「価値観の押しつけ」や「依存関係」を生むことになり、カウンセラーの対応としてはマズイらしい。
「まず変えようとするな、わかろうとせよ」
まずはじっくり話を「聴き」、つらい気持ちを受け入れる。
相手の鏡となって、混乱した話を整理してもらう。
このプロセスを無視していきなり解決策を与えても、相談者は受け入れにくい。
超ネガティブに落ち込んでいる人に、いきなり「ポジティブになるとうまくいくよ!」と言うようなものだから。
グチを聞いてもらいたい人に、「それはこうすべきだ」とエラそうに説教されたら、イヤになるだろう。
私が最近あまり読まなくなった、「自己啓発本」と「癒し本」。
「成功する(幸せになる・癒される)30の方法」みたいなやつ。
ページを開くと、「前向きになろう」とか「そのままでいいんだよ」などと書いてある。
それはわかっているんだけど、できないから悩んでいるんだよね(笑)。
まずは、このやり場のない感情をわかってほしい。
その上で、「話を聞いてもらうだけでスッキリした」または「何かいい解決法を知りたい」に分れていく。
カウンセラーだけでなく、すべての指導者や親も見逃しがちな事実だ。
「プロの聞く技術が身につく本」(頭にガツンと一撃をくらった)によると、私たちが陥りやすいパターンには、次の5つがある。
(1)教えてやろう
(2)気づかせてやろう
(3)つきとめてやろう
(4)気分転換してやろう
(5)とりあえず切り抜けよう
いや〜マイッタ、おっしゃる通り(笑)。
これらのパターンが生じる原因は、相手の話の内容がすべて自分にとって「都合の悪い内容」だからだそうだ。
話を聞く時間がないのも、心に余裕がないのも、相手の悩む姿を見たくないのも、つまらないことで悩んでいるものだと思うことも、悩みを通して相手が成長するのを待てないことも、すべて私に「都合が悪い」。
都合のいい話を聞くことは、誰にでもできるし、楽なこと。
都合の悪い話をじっくり聴いて、相手の気持ちを理解しようとすることこそ、愛情。
ちなみに「聞く」という漢字は「耳」だけ、「聴く」という漢字は、「耳+目、心」と書く。
(2007/6/2)