<行動は感情より重要>
「答えはあなたの中に在る」の著者で、米国人気モチベーターのジョン・フォッピ氏には、生まれつき両腕がありません。
ある日彼の母親が、向かいの家に生まれた健康なかわいい赤ちゃんのお祝いに行ったときのこと。
彼女の中に矛盾した感情が激しく波立ち、くいしばった歯の間から「こんにちは」だけを言い、憎しみと嫉妬心をかかえたまま戻ってきたそうです。
「ありがたい、この子には足がある」「ありのままに受け入れましょう」などという発想は、普通はできません。
彼女の苦しみと悲しみを聞いた司祭は、「それが人間の感情なのですよ」と母親に言いました。
彼女が母親として偉大だったのは、ここからです。
ジョンは次のように語っています。
「私の障害に対する母の“感情”は、とても自然なものです。
でも、母を立派な母親にしたのは、母のとった“行動”です。
母が自分の感情のままに行動しなかったという事実は、すばらしいと思います」
(参考文献:「答え」はあなたの中に在る/成甲書房)
私は根が感情的なタイプで、ちょっとしたことで落ち込んだり、他人の言動にイライラしがちです。
そこで本を読んだり人の話を聞いたりして、なるべくハッピーな気分で過ごせるよう工夫してきました。
もちろんうまくいかないことも多く、そのたびに自分にガッカリします。
しかし考えてみたら、人間なのだから、怒りや悲しみなどのマイナスの感情もあってあたりまえです。
それを否定して無理にプラス思考などするから、いつまでたってもネガティブな状態が続くのです。
どんな感情でも、やがては雲のように消えていくのだから、そのときの感情をじっくり味わうほうがいいようです。
何よりも大切なのが、感情と行動を分けて考えること。
前向きになれないときでも、前向きな行動をとることは選択できます。
前向きな行動をとっているうちに、気持ちも前向きになってくるもので、周りからも前向きな人だと言われます。
人の評価が決まるのは、その人が言っていることではなく、ましてや感じていることでもありません。
その人がどういう行動をしているか、それがすべてです。
どうしようもない感情だけにとらわれて、劣等感を持つ必要などないのです。
困っている人に親切にした人が、「やさしい人」です。
思い切って行動に出た人が、「勇気のある人」です。
逆境にあるときに頑張った人が、「強い人」です。
今、あなたは悲しんだり、怒ったりしているかもしれません。
嫉妬に胸を焦したり、落ち込んでいるかもしれません。
何かやましい気持ちや、よこしまな感情が出てきているかもしれません。
それはそれでいいんです、人間なんだから。
問題は、次です。
思い切って行動に出るのか、それとも冷静に感情を抑える(それもひとつの行動)のか。
感情にかかわらず行動が正しかったとき、あなたも私もお互いに、自分をほめてあげましょう。
(2006/10/6)