<ふるさと宮崎にあって>

休日の朝、いつもの喫茶店でモーニングを注文して、雑誌に目を通していました。
「週刊ポスト」4/21号の、「日本全国格差の実態」という記事が目に止まりました。
いくつかのカテゴリーに分けて、全47県のランキングが掲載されています。

私が住んでいる、宮崎県の順位をチェックしてみました。

サラリーマンの平均給料は、29.8万円で41位。
1位は東京都で、43.3万円。

パートの平均時給は、751円で47位と最低。
1位は東京都で、1056円。

家庭の平均貯蓄額は、836万2000円で46位。
1位は奈良県で、1984万1000円。

大学入試センターの試験平均点は、591.4点(5教科7科目950点満点)で最低。
1位は東京都で、713.2点。
高卒者の大学進学率は、38.4%(全国平均47.3%)。

こうして見てみると、都会との賃金や教育の格差が歴然で、印象の悪さは否定できません。
しかし記事にもあるように、地方には都会と比べていい面もあるはずです。

「大企業に就職して高給を取ることだけが幸せではない」
「庭の広い家が持てる、空気や海がきれいなどといった環境の良さや近所との付き合いの深さなど、数値化できない魅力があることも事実だ」

宮崎は自然が美しくて、海・山・川とすぐに行けるし、宮崎市は生活するに十分な大きさの街です。
物価が安いし、人も穏やかでストレスが少ない。
若い頃都会に住んで全国を旅した経験からも、こんなに住みやすい場所はないと思っていました。
ところが…。

人口10万人あたりの自殺率が31.8人で、なんと全国6位。
1位は秋田県で、主な原因は厳しい経済事情だそうです。
ちなみに、都会は自殺率が比較的少ないのです。

救急車の現場到着所要時間は7.7分で、下から2番目の46位(1位は京都で5.5分)。
殺人や強盗などの凶悪犯罪件数が、1年に135件(人口1万人あたり1.2件)で31位。
さすがに大阪や東京の周辺県がトップですが、地方もそれほど平和で安全というわけではなかったのですね。

最後の砦、物価の安さはどうでしょう。
宮崎は土地や家、アパート・駐車場の賃貸料、食べ物が安いと言われています。
しかし、給料が全国最低に近いことを考えれば、あまりメリットは感じられません。
最近は100円ショップも登場して、生活必需品や食料品の値段の差はほとんどなくなりました。

記事にはありませんが、残念ながら宮崎は離婚率や中絶率も全国トップです。
田舎には遊ぶ場所や刺激的なイベントがなく、若者たちがセックスに走るからだと言われています。
その結果として中絶や、未熟な「できちゃった結婚」から離婚に至るケースが多い。
退屈している主婦の不倫も多く、平日昼間のファッションホテルも満室だと聞きます。

健康面はどうでしょう?
宮崎県の平均寿命が特に高いとは、聞いたことがありません。
交通機関が発達していないので、学生でも車を持っていて、すぐ近くのスーパーにも車で行く。
毎日の通勤で駅からオフィスまでよく歩く都会人のほうが、意外と長寿だと聞いたことがあります。

以上のことをふまえてもなお、私個人としてはひとつの疑問が出てくるのです。
口はばったい言い方ですが、「それなら、どうしてこんなに幸せで、何の不満もないのだろう」と。
思うに、これが年を取ることのよさかもしれません。

宮崎の民放チャンネルはたぶん全国最低で、たった2つです。
でも私はテレビはNHKしか見ないし(K-1を除く)、映画を見るほうが心が潤います。
騒がしいイベントよりも本を読むほうが楽しいし、散歩をしたり、自然と親しむのがいちばんの娯楽です。

給料が安くても、お金をかけずに工夫するのがおもしろい。
グルメなので週末は外食で贅沢をしますが、平日はお茶漬けや玉子かけごはんがうれしい。
お金持ちになっても豪華な物や所有物が増えるだけで、生活自体は楽にはならないような気がします。

要するに、お金と幸せ感とは直接の関係はないように思うのです。
そして、比較して競争してもキリがない、と知ること。
幸せそうなお金持ちは、私の知る限り2〜3人しかいませんが、結局はその人の性格と考え方ではないでしょうか。

いくら数字で説得されても、やはり自分の生まれ育った故郷がいちばんです。

(2006/4/16)

もどる