<エフェメラリゼーションと黒光り>
「ミリオネアの教え、僕の気づき」という本の中で、ある成功者がEphemeralization(エフェメラリゼーション)というコンセプトについて語っています。
エフェメラリゼーションは、Ephemeral(エフェメラル=1回限りの)という語から派生した言葉です。
情報ビジネスや教育ビジネスにおいて、自分が同じことを何度もくり返すことはしないという意味で使われています。
自分の専門分野について、多くの人が同じような質問をしてくるとします。
たとえば私のような英語教師の場合、「どうしたら英語が話せるようになるんですか?」とよく聞かれます。
しかし、一人一人にいちいち答えていたら、時間がいくらあっても足りません。
そこで、自分が説明する内容をまとめて、本に書いておく。
そうすると、「私の本を読んでください」と言えばすむ。
もちろん、ホームページや自作のレポート、CDやDVD化するのもいいでしょう。
Just do it.(ただやる)ではなく、Just do it once.(ただ1回だけやる)。
そこで考えたいのが、仕事のエフェメラリゼーション化。
日々の業務をできる限りエフェメラライズしておけば、浮いた時間をクリエイティブな企画に使えます。
これは仕事内容によって異なるので、それぞれ考えて工夫してみましょう。
私の場合は、英語の授業やその他のセミナーも、できることなら録画して流したいくらいです。
同じようなレベルの内容を、毎年くり返して教えているのだから。
しかし、自分の成長や経験に応じて、マイナーチェンジながらバージョンアップしているのも事実なのです。
何事においても毎日のように同じことをくり返し重ねていけば、芸が磨かれていく面もある。
ごく単純な動作や言葉であっても、圧倒的な量稽古をこなしてきた人のそれは、どこか「黒光り」するような重厚さが感じられるものです。
プロとアマの間に、絶望的な差があるように。
また、相手が人間である場合、どうしても人として時間を共有しなければならない場面も出てきます。
そういうときには、機械や物には任せておくわけにはいきません。
必要なことに十分な時間を投入するためにも、エフェメラリゼーションが必要となってくるのです。
「エフェメラリゼーション」と「黒光り」。
いつもこの2つの連動を意識しながら、いい仕事をしていきたいですね。
(2005/12/10)