<ひとつずつ>
ある夕暮れ時、友人の一人がメキシコの寂しい浜辺を散歩していた。
そのとき、遠くの方に人の姿が見えた。
近づいてみると、土地者らしい男がかがみ込んで何かを拾い、水の中に投げ込んでいる。
その男は何かを、くり返しくり返し、海に投げ込んでいた。
そばに寄って見ると、男は浜に打ち上げられたヒトデを拾い、一匹ずつ海に投げ返している。
友人は首をひねった。
彼は男に近づいて「こんばんは。何をしているんですか」と話しかけた。
「ここにあるヒトデを海に返しているのさ。
今は引き潮で、このヒトデはみんな浜に打ち上げられたんだ。
海に返してやらなきゃ、酸素不足で死んじまう」
友人は答えた。
「そうですか。でも、この浜には何千というヒトデがいる。
全部を海に返してやることなんてできないでしょう。数が多すぎる。
こんなこと、どこの浜でもあることだ。
あなたがやろうとやるまいと、たいした違いはないんじゃないかな」
その男はにっこり笑って身をかがめ、もう一つヒトデを拾って海に投げ返した。
「こいつには大きな違いだろうよ」
(ジャック・キャンフィールド/「こころのチキンスープ」著者)
"You're waisting your time, do you tihnk you make any difference at
all?"
"I made a difference to that one, didn't I?"
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プチ紳士を探せ!運動というものに参加しています。
「プチ紳士(プチ淑女)」というのは、日常生活のふとした場面で、つい見過ごしそうな親切をさり気なくやっている人のことです。
たとえば、後ろの人のためにドアをちょっと押さえておく、レジで店員が順番を間違えたら「この方のほうが先ですよ」と言う。
道路に出ようとしている車を自分の前に入れてやる、譲ってもらったら会釈をして、バックのライトをチカチカやる。
たいしたことではなくても、ちょっとだけ心が温まるような親切をみんなが心がければ、いい世の中になるのではないでしょうか。
いきなり大きなことはできない、一人ですべてをやることもできない、短期間で人間の器が広くなるわけではない。
しかし、今すぐ自分なりにひとつだけ、目の前の人にしてあげることはあるのです。
ごみをひとつ拾えば、世界はひとつだけきれいになります。
「ゆっくりでいい。
一歩ずつでいい。
自分のできる範囲でいいから、
周りのことを思いやる世の中を作ろう」(プチ紳士を探せ!運動の理念)
(2005/11/24)