<セルフイメージの力>
映画es[エス]という映画を見たことがありますか?
1971年にスタンフォード大学で行われた心理実験を描いた、見ごたえのあるサスペンス作品です。
改めて社会の中でのアイデンティティや、自分自身に与えているセルフイメージの大切さを感じました。
教授たちは、報酬目当てに集まった一般人の被験者を看守役と囚人役に分け、模擬刑務所でそれぞれの役割を演じさせます。
最初はふざけ合って談笑していた被験者たちですが、「看守は囚人を服従させねばならない」とのイメージから、態度や行動に変化が表れ始めます。
やがて看守役と囚人役たちは憎み合い、ついには数日で本当の殺し合いにまで発展し、以後この実験は禁止となりました。
人間を行動を支えている価値基準は意外と脆く、容易に環境に左右されてしまうようです。
この映画のように、ある役割を与えられただけで、短期間のうちに人格まで変わってしまいます。
普段は虫も殺せないような人が、徴兵で戦争に駆り出されて「自分は祖国を守る兵士だ」というセルフイメージを持った場合、次々と人を殺すことになるでしょう。
セルフイメージとは、自分自身が決めている「自分はこんな人間だ」というイメージです。
サラリーマンに部長などの役職がついたら、いかにもその肩書きらしくふるまい始める、という例があります。
「自分は部長なのだから、こうあらねばならない」という、無意識のモチベーションがそうさせるのでしょう。
es[エス]ではセルフイメージの力の大きさが悪いほうに描かれていましたが、良いほうに使っても同じ効果を発揮します。
「自分は○○である」と言い聞かせることによって、驚くほど自分を変えることができるのです。
どうせ影響されやすいのなら、自分のセルフイメージを意識的に高めることに集中したほうが得です。
セルフイメージを高める方法のひとつとして、自分に望ましい「ニックネーム」をつけるというものがあります。
たとえば仕事なら、単なる職業の名前ではなく、「カリスマ○○」「スーパー○○」「○○の達人」など。
日常生活なら、「幸せな○○」「豊かな○○」「ラッキー○○」など。
商売においても、たとえば自分はただの喫茶店のオヤジだと思っていれば、そのままです。
しかし、お客さんの心を和ませ元気を与える「コーチ」というセルフイメージで接すれば、存在感は変わります。
美味しい珈琲を飲ませるだけでなく、コーチングの手法で話を聴いたり、冊子やCDをプレゼントしたり、お客さんを喜ばせるアイディアは次々とわいてきます。
高級車に乗ったり、ブランドものの服を着て出かけるだけでも、気分が違ってきます。
つき合っている友だちや恋人の存在価値も、自分のイメージを左右するでしょう。
あなたは、自分自身にどんなセルフイメージを与えますか?
(2005/10/30)