<正負の法則>

この世の中には、どうも「正負の法則」というものが働いているような気がします。
何かいいことがあれば、必ずといっていいほど、そうでないことも起きる。
逆に悪いことがあると、そのうち同じくらい良いことに出合うことになる。

考えてみれば、これはあたり前のことかもしれません。
私たちの生きる世界は、そのような原則で成り立っているのだから。
「プラスとマイナス」「表と裏」「上と下」「右と左」、すべてがセットになっています。

昔の人は、「楽あれば苦あり」と言いました。
苦労しないと楽な思いができないかどうかは、あなたの考え方次第でしょう。
しかし「楽」を味わうためには、比較のために「苦」という状態を知っておかねばなりません。

片方だけに振れる振り子はありません。
必ず同じだけ、もう一方の方向に振れるものです。
それが、自然界の法則なのです。

人気のある芸能人は、テレビに出てちやほやされる代わりに、プライバシーを失います。
成功して大金持ちになっても、その陰で代償を払っている人がほとんどのようです。
逆に無名で平凡な人には、意識するしないにかかわらず、自由や心のやすらぎがあります。

何かを得れば、何かを失う。
何かを失えば、何かを得る。
人生は結局、「プラスマイナスゼロ」に精算されて終わるようです。

表だけの手のひらなんてありません。
裏があるから、手のひらが存在できる。
物事は、すべて「表裏一体」なのです。

マイナスを一切背負わずに、プラスだけ得ようとしても無理な話です。
考えてもみてください。
生まれた瞬間から、あなたは同時に「死」という負をかかえています。

今生きているということは、必ず死ぬという運命にあるわけです。
死がちゃんとあるからこそ、「生」が存在できるのです。
その意味で、「死」は悪いことではありません。

さて、ここで問題です。
この「正負の法則」を利用して、幸せになれる方法を3つ考えてください。
解答は、次の通りです。

(1)負の先払いをすること。
(2)楽しく与えること。
(3)負を受け入れること。

負の先払いとは、自然が代償を求めてくる前に、あらかじめ支払いをすませておくことです。
ただしこの「負」とは、「悪いこと」「怖いこと」「マイナス」ではありません。
慈善事業への寄付、小さな親切、トイレ掃除やゴミ拾いなど、他人のためにやることすべてが「負」と考えられます。

楽しく与えると、豊かに受け取ることができます。
与えるのはお金やモノに限らず、自分の時間やエネルギー、優しい笑顔でもオーケーです。
自然界は空白を埋めようとするので、出ていった分だけ、また新しく入ってくるのです。

一般的に言う「悪いこと」が起きたら、「負の先払いができた」「大きな負を分散してもらった」と受け入れます。
このとき、決してそのことについて不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句を言わないこと。
そうすれば、「正負の法則」がオートマチックに働くことになるでしょう。

「正負の法則」の活用法で、試してみたいことが他にもあります。
「負の先払い」をするときに、なるべく人知れずやったほうが、展開がおもしろいかもしれません。
なぜなら、人に親切にして感謝されたら、その時点で清算がすんだことになるからです。

(2005/6/29)

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