<人は変わっていく>
幼少時代の私は、とても内向的で、人見知りな子どもでした。
保育園に連れて行っても泣き続けて、とうとう通うことができなかったそうです。
地区の運動会でも、みんなでやる綱引きにさえ、参加することができませんでした。
小学生の頃の写真を見ると、二重あごの肥満体です。
運動が苦手で、走るのも遅かった。
当時のあだ名は、「カバ」。
学校の運動会では仮病の腹痛で、徒競走から逃れていました。
そんな中、よかったことで思い出せることが2つだけあります。
妹のことを書いた作文を、ドキドキしながら校内放送で読んだこと。
読書感想文が全国で優秀賞に選ばれて、賞品として50冊の本をもらったこと。
中学時代は、授業を抜け出して裏山に隠れたり、教室の壁を蹴って壊していました。
体育の教師から目をつけられて、しょっちゅう叩かれたり正座をさせられました。
勉強もせず、今となっては懐かしい、女の子との「交換日記」に夢中でした。
その反面、外人っぽい発音をモノマネして、英語弁論でいきなり全国大会に出場。
周りが田んぼの田舎の中学校だったから、けっこう話題になりました。
教師によって、ここまで極端に評価の分かれる生徒は、あまりいなかったと思います。
高校では、反抗期が頂点に達していました。
頭には剃りこみを入れて、髪はパーマに脱色、目つきはヘビのようだと言われた。
教師からは嫌われ、職員室では「人間のクズ」「社会のダニ」とまで罵られました。
母を階段の上から突き飛ばしたこともあり、父からは馬乗りになって殴られることも。
大学に入ると、どういうわけか変人路線に。
演歌やフォークソングばかり歌っていて、言うこともいちいち古臭く、アパートの住人たちからは「オッサン」と呼ばれていた。
髪を伸ばし、下駄をはいて大学に通っていました。
社会人になってからも、ロクな人間じゃなかった。
教員採用試験には毎年1次で落ちる、路上のトラブルで車の中からヤンキーを引っ張り出して殴る。
恋愛関係はメチャクチャ、やっと落ち着いたかと思えば離婚。
今までの流れを書くとキリがないのですが、気がついてみると、今の私と昔の私では違う人のようです。
人前に出るなんてとんでもない、話も下手、ましてや人にものを教えるなんて…。
それが今では、まがいなりにも「センセイ」などと呼ばれている。
空手を始めてからは、脂肪が落ちて急速に筋肉質の肉体に。
どういうわけか足まで早くなり、万能とは言えないがスポーツは何でもオーケー。
41歳の今も学生時代とそう変わらない体型と、体脂肪率10パーセント台をキープ。
極端に短気な性格で、すぐキレて暴れていた。
いつも眉間にしわを寄せて、ガンをとばしていた。
最近はいつもニコニコ、言葉づかいや態度もマイルドで、生徒からはよりにもよって「やさしい」などと言われたりします。
人は、変わるのです。
たとえ本質は同じでも、トレーニングと心がけ次第では、「第2の天性」が育ってくる。
だから、今の他人からの評価なんて、ぜ〜んぜんあてになりません。
な〜んにも気にすることはないのです。
(2005/5/14)