<もう成功している>

昭和30年代、白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機が「三種の神器」と呼ばれていました。
40年代あたりから、自家用車・クーラー・カラーテレビのいわゆる「3C」が「新三種の神器」。
2000年以降は、しばらく前まではパソコン・携帯電話・カーナビ、最近ではデジタルカメラ・薄型テレビ・DVDレコーダーだそうです。

今、昭和の三種の神器である電化製品や車を持っていない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
2000年代のハイテク機器も、もし必要であれば、買えないことはないと思います。
私たちはすでに十分豊かな生活を手に入れているのであり、表現を変えれば、すでに「成功者」なのです。

昔の貧しい人が、「一度でいいから、白い米を腹いっぱい食べてみたい」と言ったと聞いたことがあります。
そんなささやかなことが、かなわぬ夢だった時代もあるのです。
普通に働いていれば、たまにちょっとぜいたくな外食ができる私たちは、大成功をおさめています。

それにもかかわらず、世の中にはさらに成功したい人が増えてきたようです。
現代の成功者のイメージは、一生困らないほどのお金を稼いだ億万長者、といったところでしょうか。
若くして仕事をリタイアできるといった、成功法則がブームになっています。

もう成功しているにもかかわらず、精神的な悩みをかかえている人も多いようです。
仕事や人間関係でうつ病になったり、自殺者は年間3万5000人近く(交通死亡事故の4倍)に達しています。
「モノだけでは幸せになれない」ことの証明ではないでしょうか。

もう成功しているにもかかわらず、争いごとはいつまでも絶えません。
親の遺産相続争いで、いい年をlした大人が傷つけ合う事件さえ起きています。
「カネだけでは幸せになれない」ことを物語っています。

20世紀を「モノ・カネ」の時代とすると、21世紀はまちがいなく「心」の時代です。
「モノ・カネ」に執着しすぎるのは、やめましょう。
すでに成功しているのだから、もういいじゃないですか。

(2005/1/11)

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