<幸せの前半分現象>
ブルース・リーのカンフー映画などでよく見かけるこのマークは、中国の陰陽五行説の「太陰大極図」と呼ばれるものです。
意味は、世界のすべてのものは、陰と陽の2つで成り立っているという考え方です。
光・ポジティブ・善は「陽」、闇・ネガティブ・悪は「陰」。
黒の中に白、白の中に黒の小さな丸は、悪の中にも善はあり、善の中にも悪はある。
完全なものなどなく、すべては混ざり合っているということのようです。
人生の成功と幸せについて考えていくと、この東洋的な図は、とてもよくできていることがわかります。
白と黒が融合するバランスなど、絶妙です。
自然界の例として、卵の黄身と白味のように、一見分かれているように見えて、もともとは同時に存在するものなのです。
西洋の成功哲学の価値観は、「幸せとは、今持っていないものを、頑張って努力して手に入れること」といえます。
この価値観で生きる人は、「これさえ解決すれば、幸せになれるのだが」と言いながら、ひとつの目標を達成すると、また次の問題を探してきては、自らストレスの原因をつくり続けます。
そして、もし幸運であれば、真の幸せはお金や物とは関係ない、と気がつくことになるでしょう。
東洋の人生観は、「今この瞬間が幸せそのもので、自分にとって必要なものは、すでに全部与えられている。平穏な日々が淡々と過ぎていくこと自体が奇跡で、心から感謝すべきものだ」という視点です。
若い人には物足りないかもしれませんが、「競わない・比べない・争わない」「自分にやさしく、人にはもっとやさしい」「大きな力にゆだねて流れていく」「頑張らない」生き方は、今すぐ幸せになれる秘訣です。
現代の日本の教育は、残念ながら90%は西洋の考え方に基づいています。
しかし、大人も子どもも、教師も生徒も、10%だけどうしてもそのマジョリティに染まらない、すでに幸せである人たちが存在します。
その10%に入るためには、ある条件が必要となります。
病気をした、事故にあった、災難やトラブルに巻き込まれた、辛く悲しく苦しい思いをした。
リストラにあった、会社が倒産した、離婚をした、子どもが障害を持って生まれてきた、祖父母の介護をしなければならない…。
これらの一見マイナスで、ネガティブで、悪い出来事が、「幸せを手に入れるための前半分現象」だったのです。
闇がなければ光は見えない、ネガティブがなければポジティブは評価されない、悪がなければ善は存在しない。
「陰」と「陽」があってはじめて、宇宙が成り立つのです。
幸せという現象は、実は、不幸のように見える前半分の現象を必ず伴ってきます。
このことに気づけば、今日、たった今から、あなたの人生観は変わります。
以上の視点から、もう一度、上のマークをじっと見つめてみてください。
(2004/10/10)