<11億人の先祖>

あなたには、2人の親がいる。
両親にも、それぞれ2人の親がいる。
この祖父母にも、またそれぞれ2人の親がいる。

このようにたどっていくと、20代前で104万8576人の先祖がいたことになる。
さらに30代までさかのぼると、ほぼ平安時代の末期になり、先祖の総計は10億7374万1824人という膨大な数になる。

この11億人近くのうち、たった1人でも何かの拍子に早死にしたり、男女の組合せが1つでも違っていたら、あなたがこの世に生まれてくることはなかった。
それぞれの人が、自分の人生を懸命にまっとうしてくれたから、今ここにあなたがいる。
あなたが今こうして生きていることは、確率としては奇跡としかいいようがないのだ。

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10億7,374万1,824人の先祖一人ひとりに、心から「ありがとう」を言いたくなります。
さらに、私もあなたも、子宮をめざした1〜3億個精子のうち、唯一勝ち抜いた奇跡的な存在なのです。
年末ジャンボ宝くじの当選確率(1,000万〜500万分の1)など、問題にもなりません。

ここまで選ばれてこの世に生まれ、今日も大切に生かされているというのに、ともすると感謝の気持ちを忘れてしまいます。
今ここにいなかった確率のほうがはるかに高いのに、これ以上、何を望むというのでしょう。
うまくいかないからといって、すぐに落ち込んで愚痴を言うのは、もしかすると傲慢な態度なのかもしれません。

個人的な夢や目標にこだわりすぎるのも、大きな流れに逆らうことになるようです。
与えられた環境に対する不満の宣言であり、今あるものに感謝せず、まだないものばかり要求する行動だから。
1つ手に入れても、また次々と「ないもの」を追い求める人は、常に理想と現実のギャップに苦しむことになります。

自分がこうしたい、ああなりたい、何々がほしい…、こんなことばかり言っていると、なかなか幸せになれそうにありません。
私たちが心がけるべきことは、今自分が存在していることに感謝しながら、他人を喜ばせる存在になることのような気がします。
特別なテクニックなど使わず、お客さんをどうやって喜ばせようか考え続けた結果、日本一のお金持ちになった人もいるほどです。

すでにすべてが与えられていて、生まれただけで、生きてるだけで、「まる儲け」なのです。
儲けた分は、他人や社会に少しでもお返しするのが、筋というものでしょう。
10億7,374万1,824人の組合せは、感謝することが正しい生き方だと教えてくれる、自然のシステムなのかもしれません。

(2004/9/24)

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