<自分の機嫌をとる>

書店に行くと、仕事や人間関係がうまくいくといった類の本が、あふれるほど並んでいます。
いずれも効果的な方法なのでしょうが、どうもルールが多すぎるように感じます。
もっとシンプルで、すべての局面に対応できる根本的な方法でないと、すぐに忘れてしまいそうです。

ハリウッド映画の人気女優が、成功の理由を聞かれて、次のように答えたのが印象的でした。
「いつも自分がハッピーな気分でいられるように。心がけているのは、それだけです」
周りをハッピーにするのではなく、自分がハッピーになることに、全エネルギーを集中させているそうです。

彼女のスタイルは、他人の機嫌をとるのではなく、「自分の機嫌をとる」ということなのでしょう。
いつも他人の機嫌ばかりとって、気をつかって疲れ果てている人は、不機嫌で暗い表情をしています。
つくづく人生はパラドックスだと思うのですが、そんなことでは逆に他人をハッピーにできないのです。

うまく自分の機嫌がとれていれば、いつもニコニコ楽しそうで、周りの人も自然と明るい気分になっていくものです。
自分が不機嫌だと、ついつい人とぶつかり合ったり、自分のための仕事や勉強までイヤになってしまいます。
上機嫌なときだったら、楽々軽々とこなせることが、機嫌が悪いと、イライラする面倒なことに見えてきたりします。

自分の機嫌をとるために、次のようなことに気をつけてみましょう。
睡眠を十分にとる、美味しいものを腹八分目に食べる、適度な運動をして軽く汗を流す、これは基本です。
自分の気持ちを明るく、心を軽くしてくれる本や音楽、講演テープなどを、常にインプットする。
前向きな言葉を口ぐせにして、気分にかかわらず笑顔を保ち、胸を張って堂々と歩く。

自分が気をつけていても、他人からの精神的攻撃を受けることもあるでしょう。
それでも、その人の機嫌をとろうなどとはせず、ひたすら自分の機嫌をとることだけに専念する。
相手は相手の勝手な都合で機嫌が悪いのだから、こっちだって自分の勝手な都合で上機嫌なんだと割り切るのです。

英語では、自分の機嫌をとることを“extreme self-care”(極端なほど自分の世話をする)と言います。
自分の体と心に気持ちがいいことを、徹底的に行うことによって、他人を思いやるゆとりを持つわけです。
そのためには、自分をabuse(ひどく扱う)する人に対しては、はっきりと不快感を主張して自分を守るのです。

自分の人生にとって、どうでもいい人のためにエネルギーを浪費するのは、もう今日で終わり。
嫌味を言われて落ち込まない、行きたくもない飲み会につき合わない、くだらない噂話や陰口に加わらない、愛想笑いをしない。
自分の機嫌をとるために、整体や指圧に行って体をいたわり、温泉に行ってくつろぎ、大自然を眺めながら深呼吸をして、いい映画を見て感動しましょう。

(2004/9/16)

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